心理カウンセラーは、悩みを抱える人のお話を伺い、寄り添う仕事です。そんなカウンセラー系の資格にはどんなものがあるのか、資格を取得するにはどんなルートがあるのか、資格取得後の進路選択肢など、わからないことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は、株式会社ポルトクオーレ代表・喜田さんに、信頼性の高い心理カウンセラー系の資格や資格の取得方法、資格取得後の進路などを伺いました。
心理カウンセラーの資格にはどんなものがある?信頼性が高いものを3つ紹介
——心理カウンセラーの資格を取りたいと思っている方に向けて、主な種類を教えてください
心理カウンセラーの資格はたくさんあります。公認心理師や臨床心理士、認定心理士や学校心理士、健康心理士など数え切れないほどです。「心理カウンセラーに興味はあるけれど、どの資格を取れば良いかわからない」という人がたくさんいることも頷けますね。
——そんなにたくさんあるんですね……!そのなかでお仕事につながる、あるいは信頼性の高い資格はありますか?
「カウンセラーに興味があり、資格を取るからには仕事にしたい!」と思っている方におすすめしたい資格を3つ抜粋しました。
①公認心理師(国家資格)
②臨床心理士
③産業カウンセラー
これらの3つは資格取得できる時間や経済的余裕があれば、すべて取得して損はないといえます。
あえて1つに絞るのであれば国家資格である公認心理師は外せません。実際、求人条件をみてみると「公認心理師の資格は必須、臨床心理士の資格があればさらに優遇」という記載も多いです。ちなみに、認定心理士や学校心理士、健康心理士などの資格が求人の必須条件になることはほとんどありません。
産業カウンセラーは、民間企業など産業の場面で心理カウンセラーとして働く際に使える可能性が高い資格です。
社会人からでも心理カウンセラーを目指せる!主な資格取得ルートは?
——心理カウンセラーを目指すにあたり、資格は必須ということですね。資格取得ルートにはどのようなものがありますか?
国家資格である公認心理師、および臨床心理士の主な資格取得ルートはいくつかありますが、現実的なハードルを考慮すると1つしかないと考えるのが現実的です。それは、「大学、及び大学院で臨床心理を学んだのち公認心理師の試験を受けること」です。
他のルートでは、以下の経験を積んだあとに公認心理師、および臨床心理士の試験を受けることで資格取得ができます。
- 大学で臨床心理を学び、その後2年間指定された施設で実務経験を積む
- 諸外国の大学で教育歴があり、同等以上の知識・技能があると認定される
- 医師免許取得後、心理臨床経験が2年以上ある
しかし、これらのルートはあまり現実的ではありません。
——仕事につながる資格を取得するには、高いハードルがあるんですね……!産業カウンセラーはどうでしょうか?
産業カウンセラーは先に紹介した2つに比べて資格取得もしやすく、心理職の入口としては適しているかと思います!産業カウンセラーの受験資格取得条件は以下の通りです。
- 成年に達している
- 産業カウンセリングの学識および技能を取得するための講座を終了している
講座には自宅で受けられる通信教育もあります。講座受講にかかる時間は半年から1年ほどです。費用も20万円程度のため、大学や大学院に通うよりは抑えられるでしょう。
——なるほど!産業カウンセラーであれば、働きながらでも資格取得が目指せそうですね。
おっしゃる通りです。資格取得にかかる時間や費用も加味すると、「どうしても心理職として働きたい!」という方は、まずは産業カウンセラーの資格取得から始めることが、社会人から心理カウンセラーを目指すには現実的なルートだと思います。
しかし、産業カウンセラーはあくまで心理カウンセラーの入口です。産業の場では役に立つ可能性が高いですが、病院などで患者さんの個別ケアに当たる際に評価をするのは少し難しい可能性が高いと考えられます。産業カウンセラーの勉強をきっかけに、心理カウンセラーの役割や心理療法、心理査定について深めていっていただければと思います。
資格取得後の活動の場は大きく分けて5つ!目指しやすいのはどの領域?
——資格取得後についてお聞きします。心理カウンセラー、産業カウンセラーなどメンタルヘルス系のお仕事は色々と聞きますが、具体的にどのような仕事がありますか?
心理カウンセラーとしての活動の場は大きく分けて5つあります。
①医療(公認心理師が必要な場合が多い)
②教育(公認心理師が必要な場合が多い)
③産業
④福祉(介護施設・介護職の人に対してカウンセリングを行う)
⑤司法(法務省・家庭裁判所調査官・鑑別所で法務技官などを行う。公務員試験に受かる必要あり)
多くの人は医療や教育の現場にいます。心理カウンセラーというと病院で検査をする人、学校でカウンセリングをしている人を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。ただ、医療・教育の現場で心理カウンセラーとして働くには、やはり公認心理師、臨床心理士の資格が必要な場合がほとんどです。
——なるほど……!医療・教育領域での活動をいきなり目指すのはハードルが高そうですね。社会人からでも比較的目指しやすい領域があれば教えてください。
主に民間企業が対象となる産業領域での活動は、社会人からでも目指しやすいと思います。なぜなら、企業での就業経験がない公認心理師や臨床心理士は、産業領域で活動する心理カウンセラーとして採用されていない可能性が高いためです。
産業領域で活動する心理カウンセラーの場合、組織での経験を重視される場合もあります。組織の論理がわかるカウンセラーの活動が必要とされている、ともいえるでしょう。
決して楽な道ではありませんが、社会人から心理カウンセラーを目指すのであれば産業カウンセラーが入口とすれば現実的かと思います。現場や研修でカウンセリングやアセスメントの技能を磨き、「さらに学びたい!」となったときに大学院に入り直す選択をしても良いでしょう。
——産業カウンセラーがいる企業は少ないイメージがあるのですが、現在産業カウンセラーの数自体は多いのでしょうか?
実は現在、産業領域で働く公認心理師、臨床心理士の数はそこまで多くありません。上述の理由に加え、「社内の人にカウンセリングしてもらうことに抵抗がある」「話した内容が社内で共有されるのではないか」と心配する人がいるため、外部の機関に委託している企業が多いのが現実です。
2015年に義務化されたストレスチェックの導入により必要性は高まっているため、産業領域で活動する心理職のニーズは高くなってきています。
産業領域で活動するカウンセラーの働き方としては、
①心理カウンセラーとして企業に属する
②外部の機関(EAP企業等)に属し、委託先の企業で心理カウンセラーとして働く
の大きく分けて2つがあります。
現段階で割合として多いのは②の心理カウンセラーとしてEAP企業等に属するパターンですが、社内でとして心理カウンセラーと契約する企業も徐々に増えてきています。求人情報などにも、一度目を通してみるのもおすすめです。
経験や強みを活かしながら、自分に合った働き方を選択してみてください。
——最後に、これから心理カウンセラーの資格を取得し、カウンセリングをしたいと思っている方に向けてアドバイス・メッセージをお願いします。
心理カウンセラーは、苦しさや葛藤を抱いている人に寄り添う仕事です。「人を助けたい」という使命感と、学び続ける向上心を持つことが大切になります。
心理カウンセラーは社会人からでも比較的チャレンジしやすい仕事と思いますので、諦めないでください。これまで生きてきた全ての経験が活かせる仕事だと思っています。
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