メンタルの苦しみをフラットに相談できる世の中へ。Mentally代表・西村が語る創業への想い

ウェルビーイングを保つために大切にしていること

ストレス社会と呼ばれる現代では、メンタルヘルスに問題を抱えるビジネスパーソンが増加しています。しかし、抱えている苦しみをなかなか相談できない方や、受診行動がとれない方も少なくありません。

参考:「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」結果

株式会社Mentallyでは、メンタル不調を抱える人が、悩みをフラットに相談できるマッチングプラットフォーム「mentally」を開発しています。今回は、株式会社Mentally代表・西村 創一朗に、自身のメンタル不調の体験談やMentally創業への想いについて聞いてみました。

3回のメンタルダウンを経験。精神科への受診を恐れていた過去

──過去に3回のメンタル不調を経験されたとのことですが、当時のエピソードについて教えてください。

はい。僕は独立後、双極性障害により3回のメンタルダウンを経験しています。

1度目のメンタルダウンはかなりひどく、半年間ベッドで寝たきりのような状況でした。そこから少し回復して元気になったものの、1年後に再発し、3ヶ月ほどメンタルダウン。また体調が回復してきたタイミングで3回目のメンタルダウンが1ヶ月半程度続きました。

現状、ここ1年半程度は大きなメンタルダウンを引き起こすことなく、ウェルビーイングな状態を維持できています。

──当時は病院に通われていたのでしょうか?

「最終的に通院した」というのが正しい回答です。現代社会ではメンタル不調で、病院や精神科を受診することに対して大きな心理的抵抗を抱いている方が大勢います。僕も御多分にもれずなかなか受診できずにいました。

もちろん、うつ病などの精神疾患の存在は知っていましたし、風邪を引いたら内科に行くことと同じようにメンタル不調に陥ったら精神科に行くべきことも理解しています。しかし、「精神科を受診したら人生終わりだ」と考えるほど、精神科にマイナスなイメージを抱えていたんです。

──精神科に対してマイナスなイメージを抱えていた理由について教えてください。

実は、僕の母が重度のうつ病を患っており、僕が中学1年生の頃から精神科病院に通院していました。薬物療法を行いながらなんとか症状を抑えているような状態で……。薬がないと眠れず、薬の副作用で太っていく母の姿を直近で見ていたため、精神科にマイナスなイメージを抱いたのだと思います。

当時の精神医療と現在の精神医療は全く違うものだと理解はしていながらも、心の奥深くではストッパーがかかっていました。周囲の人から見れば明らかに受診すべき状態なのに「僕はそんなにひどい状態じゃない」と頑なに受診をしない時期が続き、症状は悪くなる一方でしたね。

──頑なに受診を拒否していた西村さんですが、最終的に受診をしたきっかけは何だったのでしょうか?

起業家の先輩が“ある方”を紹介してくれたことがきっかけでした。元々『みんなのウェディング』の取締役をされていた中村義之さんです。中村さんは取締役時代に僕と同じ双極性障害Ⅱ型を発症されました。今は病気とうまく付き合いながら生活されています。

同じ病気を経験していて、同じベンチャー業界の中村さんになら安心して相談ができると感じ、家族や友人に話せないような悩みを打ち明けました。精神科へのネガティブなイメージについても相談しましたが、「病院は西村くんの思っているようなところじゃない。花粉症にかかったら耳鼻科に行くのと変わらない。適切な治療をしてもらえる場所だよ」とアドバイスをいただいて……。

中村さんの一言で受診を決断し、結果的に適切な治療を受けることができました。起業家の先輩や中村さんとの出会いに感謝しています。

病気と上手く付き合うための意識は「自分がやらなくていいことはやらない」

──西村さんはご結婚をされ、3人のお子様がいらっしゃいます。メンタルを守りながら、子育てや家事と仕事を両立させるのは大変ではありませんか?

僕の場合は、仕事においても家事育児においても「自分がやらなくていいことはやらない」ことを意識しています。

家事を全て夫婦で分担する必要はなく、作り置きサービスやお掃除ロボットを活用するのも一つの方法です。家事や育児をパパやママがやっても、ロボットや家事代行の方がやっても、その家庭の自由。家事や育児や仕事など、「今自分が抱えているタスクを全部自分でこなさなきゃ」という思い込みを捨てるところからスタートすれば、少し負担が軽減されるのではないでしょうか。

──なるほど。日常生活の中で病気と上手く付き合っていくために意識していることはありますか?

メンタル不調が再発する可能性がある前提でリスクマネジメントすることを意識しています。特に、再発の兆候を知っておくことが大切です。

例えば、メンタル不調を起こす前兆として、睡眠時間が短くなったり、1日の中でダラダラする時間が長くなったりなど、人によって特徴がありますよね。僕の場合は毎日のルーティンが3日連続できていなければ、メンタル不調の波が来る兆候だと認識しています。

その兆候を理解できていれば、早めの受診や悪化する前に対処することが可能です。自分なりにメンタル不調の傾向と対策を知っておくことが病気と上手く付き合っていくために重要だと考えています。

ともだ

ともだ

関西在住のフリーライター。うつ病の既往あり。HSP気質な自分を受け入れながらマイペースにフリーランスとして活動中。好きなものはお寿司◎

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