ひとつのきっかけで人生が変わることはない。行動の積み重ねで「思い込み」に気づくことが大切

──そこからどのようにして立ち直ったんですか?

悩みを抱えている中で、Mr.マリックさんとお会いする機会がありました。有楽町のレストランで、ランチをご一緒させていただきました。

そこで、思い切って悩みを打ち明けてみたんです。そうしたら「マジシャンも人を喜ばせる仕事ですし、医者も人を喜ばせる仕事なんだから、両方できたら鬼に金棒じゃないですか。両方やったらいいんじゃないですか」と言ってくださって。

──マリックさんのおかげで立ち直れたのですね。

ひとつのきっかけだったとは思います。でも、その後も1年ぐらいはうつ病が治りませんでした。

マリックさんから言われたことは象徴的なエピソードで、よくテレビでもお話します。ただ魔法のようにそれだけで人生が大きく変わったわけではありません。行動を積み重ねていったことで、初めて変化が起こったのだと思っています。

当時のぼくは、自己啓発セミナーに参加してみたり、瞑想の専門家に相談したり、とにかく思い当たることに挑戦していきました。試行錯誤していくうちに医者かマジシャン、どちらかを選ばないといけないというのは「思い込み」かもしれないと気づいたんです。

──志村さんご自身も思い込みにとらわれてしまっていたんですね。

はい。

医学の中には精神医学という分野があり、ここでならマジックが使えるんじゃないかと仮説を立てることができました。マジックは「思い込み」を使って人を楽しませるもの。精神医学は人の「思い込み」を解くもの。どちらにも「思い込み」という共通点があると気づいたんです。

それでマジックと医学が融合したショーを始めていきました。その活動を続けていたら、テレビ番組への出演や出版、講演などの依頼がくるようになって。今みたいに働けるようになっていきました。

「思い込み」に気づけば、生きづらさが宝物に変わる

──思い込みを外すためにはどうすればいいんでしょうか?

もがくことが大切です。

思い込みにとらわれているときは、檻に閉じ込められていて、脱出できないみたいな状態です。でもそこにはトリックが必ずあります。それに気づければ脱出できます。

これはどんなトリックなんだろうと必死にもがいているうちに、いつか見破れるようになるんです。医者とマジックが両立できると気づいた瞬間は、まさにマジックのトリックが分かったときのような感覚でした。

──もがくことが重要なんですね。ただ、なかなか行動に移せない人も多いのではないでしょうか。

そうですね。例えば、仕事で大きな失敗をしてしまったときは、「ダメだ、自分」みたいに思い込んでしまって、仕事が手につかなくなったりしますよね。それに「また失敗するんじゃないか」という不安が募ることもあると思います。

そんなときは、まずいまから教える呪文を唱えてみてください。

──呪文!?

はい。「ダメだ、自分」という言葉のあとに「って思っていることにいま気づいている」という呪文を唱えてみてください。これはメタ認知と言って、上空から自分のことを眺めるように、自分を客観視する方法です。これができると、思い込みに気づきやすくなります。

そもそも、なぜ人間が思い込んでしまうのかというと「ダメだ、自分」みたいな考えに、色々な考えを紐付けてしまうからです。例えば、「あの人は仕事がデキる。有名大学出身なのか。自分は普通の大学出身だからな。だから仕事もできない人間なんだ」みたいな。こうやって思い込みを自分で強固にしてしまうんですよ。

だから、ネガティブな感情が湧いても一旦脇に置いておきましょう。もっと仕事で成果を残したいなら、どうすれば成果が残せるようになるのかを考える。そこだけを考えて、行動を積み重ねていけばいいんです。

──ネガティブな考えにとらわれないことが大切なのですね。

はい。そうはいっても、中々切り替えづらいですよね。結果が伴っていないと、ついついネガティブな気持ちに襲われます。しかし、ネガティブな考えに囚われるのはあなたのせいじゃなくて、脳のメカニズムのせいなんです。研究によると人間は1日の思考のうち70%位ネガティブな事を考えているといいます笑。

だから、本当にやりたいことがあるのなら、結果がまだ出てなくとも、根拠なく自分はできると思っていいんです。

──少し勇気が湧いてきた気がします。根拠のない自信を持つ!

そうです。根拠はなくていい。自分が見ているもの、考えているものは思い込みかもしれないんですから。無理だと思うことにも根拠なんてありません。

そう思うようにすると、目標に対してブレなくなります。あとは、その目標に向かって行動を起こしていくだけです。行動した結果、どうなるかはやってみないとわかりません。でも諦めずにずっともがいていけば、いつか光明が差すはずです。

──今後ネガティブな考えが浮かんだときは「呪文」を実践してみます。

はい、ぜひ。たぶん同じように他人と比較して苦しんでいる人は、世の中にたくさんいると思います。今の時代は、SNSで他人の情報が見え過ぎてしまうので。すごく生きづらい世の中ですよね。

でも誰かと比較して、自分なんかダメだという考えが浮かんでも、それは全部思い込みかもしれません。

真に受けてもいいですが、落ち込んでしまうだけで、得することは何もないですよね。だから脇に置いておいておきましょう。そして「今の自分が本当に得たいものは何か」「充実させるために何をすればいいだろう」と考えて、諦めないで行動し続けてほしいんです。

そうすると、だんだんと突破口が見えて、本当に自分らしい人生が開けていきます。今生きづらさを抱えている人も、いつかそれが宝物に変わると思って、行動し続けてもらいたいです。

 

——————————————

悩みを打ち明けられるこころのオンライン相談アプリ『mentally』は、同じメンタル不調や状況を経験した先輩に、1対1で相談できるサービスです。

「自分の悩みを身近な人に知られるのが怖い」「同じ経験をした人に相談したい」そんなお悩みもmentallyなら、安心してご相談することができます!

ご興味のある方は、以下のバナーから詳細をチェックして、ぜひご利用ください!

佐藤純平

佐藤純平

1990年生まれ。フリーランスのライター兼ライフコーチ。うつ病で引きこもりの兄を持つ。

関連記事

特集記事

TOP