メンタルYouTuber・ほっしーが発信活動で“自分優先”の選択をし続ける理由

今、自分がここにいること

2014年にうつ病を発症し、現在も闘病を続けながら、SNSで自身の体験や素直な気持ちを発信するメンタルYouTuber・ほっしーさん。YouTubeチャンネル『ほっしーのメンタルハックちゃんねる』は登録者数が7.3万人(2022年4月現在)にものぼり、同じようにうつ病と付き合っている方たちからのコメントも数多く集まっています。

最近ではメンタルの不調について、インターネットで情報収集をする人や仲間を見つけて励まし合うことは珍しくありません。しかし、ほっしーさんが発信活動を始めた2016年頃は、メンタルの不調に関する理解がまだ進んでいませんでした。

周囲からの理解を得る過程も必要となるうつの闘病。今回は、ほっしーさんがうつ病の発症を経て、同じように悩む人へ言葉を届ける仕事を始めた背景、発信活動で大切にしていることを聞きました。

「社会人なんだから、我慢すべき」の積み重ねでうつ病に

──過去にうつ病に罹患し、ご自身の体験やメンタルヘルスについての発信活動をしているほっしーさん。最初にうつ病になった経緯を教えてください。

24歳のときに、仕事のストレスなどさまざまなことが重なってうつ病になりました。今振り返ると、生活の中での我慢や環境の変化がうつ病へつながっていたのだと感じます。

私は大学在学中の就職活動がうまくいかず、専門学校へ進学しました。もともと勉強熱心なタイプではなかったですが、専門学校で初めて必死に勉強をして、エンジニアリング技術に関する国家資格を取得しました。

そして、IT関係の会社に就職。選考フローの段階で高評価をいただいていたこともあり、同期の中で私一人だけ立ち上がったばかりの名古屋支店へ配属が決まりました。結果、同年代のいない職場環境や見知らぬ土地での生活……専門学校から慣れない勉強ばかりしていた反動で、意欲が燃え尽きてしまいました。

体調不良がずっと続き、日に日に悪化。「社会人なんだから、このくらいのことは我慢すべきだ」と自分に言い聞かせるうちに、仕事で小さなミスが増えて、眠れなくなっていきました。典型的なうつ症状が表れていた最中、会議中に倒れたことが決定的となり病院へ行きました。

──生活を送ることもままならなかったようですが、そこからどのように回復していったのでしょうか?

病院で「3ヶ月の休職をとりましょう」と言われ、そのまま会社を休むことに。食欲が低下し、どんどん痩せ細っていく私を見かねた上司が実家に帰ることをすすめてくれ、実家で生活を立て直そうと決めました。

結局、半年間の休職を経ても復職できないまま、うつ病と向き合うことに専念しました。

──ご両親にうつ病になったとを伝えることに抵抗はありませんでしたか?

心配をかけまいと体調不良についてはまったく伝えていませんでしたが、「このままだとずっと話せないだろう」と予想できたので、病院で診断を受けてすぐに電話をしました。やはりショックを受けていたようでしたが、理解するのは早いほうだったのではないでしょうか。

──打ち明けたあとのご両親との関係で悩んだことはありましたか?

実家での暮らしは、母親との距離感で悩みました。心配してくれるのはありがたいものの、「外へ出てみたら?」「そろそろ働いてもいいんじゃない?」などと行動を起こさせようとする声掛けが多く……。自分のペースが乱れるような気がして、ストレスを感じていましたね。

その中で「私の気持ちや状態を主観的に伝えるだけでは、母には効果がないんだ」と気づき、客観的情報で伝えることを試みました。当時、私は「症状が緩和されるように」とうつ病やメンタルヘルスの本をたくさん読んでいたんです。

そこで得た知識を用いて母と話をすることで、互いにバランスのいい接し方を学んでいきました。

自分を助けてくれた知識を、多くの人へ届けたい

──ほっしーさんが現在、うつ病やメンタルヘルスについて発信しているのは、積極的に身につけた知識が土台となっているのでしょうか?

そうですね。当時はSNSが今ほど盛んではなかったので、インターネットを探しても目にするのはつらい体験の共有ばかり。回復へのヒントとなる行動を知ることはできませんでした。

一方、本にはたくさんの有益な情報が書かれていました。実際に自分の生活に取り入れてみると、うつ病の回復の助けになっていることを実感できたんです。そのような体験から「もっと情報にアクセスしやすくなればいいのに」という思いを抱き、ブログやTwitterでの発信活動を始めました。

顔出しでうつ病を公表する存在は、当時は珍しかったのではないでしょうか。

──今ではその発信活動がお仕事につながっています。仕事にしようと考えたきっかけはあるのでしょうか?

生活を立て直すことができても、一度うつ病での休職を経験した事実に変わりはありません。「またあのときのようになってしまったら……」と想像すると怖くて、なかなか新しい仕事を始める気になれませんでした。

そこで、クラウドソーシングサイトで仕事を受注し、ライターとして自分のペースで仕事をしようと思ったんです。ただ、一生懸命してもなかなか収入が伸びず……。体力的に厳しかったこともあり、仕事を受注するフリーランスではなく自分のコンテンツを育てていくことに注力しはじめたことがきっかけです。

“自分優先”で好きなものに囲まれる生活を送ろう

──SNSで発信活動をしていると、心ない言葉を投げかけられることも多いのではないでしょうか。また、ほっしーさんの元にはさまざまな体験談が届くので、気持ちが暗い方へと引っ張られそうですが……。

そうですね。SNSとの付き合い方には注意が必要です。YouTubeでは再生数が伸びるほど多くの人の目に触れて、賛否両論の意見が集まります。

私は2021年7月にうつ病が再発し、現在も療養中なので、批判的な意見やネガティブなコメントに気持ちを奪われすぎないように注意しながら活動を続けています。

発信活動においては、なによりも長く続けることが大事です。そのために、自分を優先する行動を選択しています。自分を優先することが、結果的に応援してくださるみなさんへ継続して情報を共有することにつながり、プラスに働くと信じています。

──ほっしーさん自身が、自分を大切にしているからこそ、そのメッセージがより深く伝わるのだと感じます。ほかに、うつ病の療養中に大切にしていることはありますか?

人によって効果がある方法は異なりますが、私の場合は刺激が少ない環境に身を置くようにしています。私たちの生活にはメディアやSNS、他人の存在があり、意識しないと刺激を避けるのは難しいですよね。疲れているとき、調子が悪いときは刺激から受けるマイナスな影響が増幅するので、刺激を避けることは特に大切です。

また、私の場合は不特定多数の人へ向けたメッセージや、真偽の定かでない情報はなるべく排除しています。その代わり、好きな漫画やゲームからの刺激には触れています。負の感情が湧きづらい環境を作り、好きなものに囲まれてゆっくり休むことがおすすめです。

休んでいる状態に居心地の悪さがある人も多いのではないでしょうか。しかし、うつ病の回復には休むことがとても重要です。

「このくらい休めば、元気なときに戻れる」と自分で思っている期間の10倍は休むべきです。もし今、読者の方が「早く元気にならなければ」と焦っているのだとしたら、なにより自分のことを優先して、ゆったりした気持ちで過ごしてほしいと思います。

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野里 のどか

野里 のどか

フリーライター。社会福祉士の国家資格取得を目指し、専門学校で学んでいる。両親の離婚・再婚、精神的虐待、うつ、セクハラ被害、友人を亡くした経験を持つ。LGBTQ/家庭/子どもの人権に関心あり。

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