警察にまで相談された2回のうつ病経験──そこで学んだ“笑顔を取り戻す方法”とは

今、自分がここにいること

「うつ病になったことで自分としっかり向き合えた気がします」

そう笑顔で話すのは2回のうつ病を経験し、今でもメンタルの波とともに生活を送っている、株式会社Mentally・CTOの仁田脇 理史(にたわき さとし)さん。激しい気分の落ち込みを経験し、「自分は役立たずだ。死んでしまいたい」と感じたこともあると言います。

この記事では、仁田脇さんがメンタルダウンから乗り越えた方法やメンタルの波と向き合うコツなどを、過去に経験したメンタルダウンのエピソードから紐ときます。

2回のメンタルダウン。警察沙汰を起こした過去

──仁田脇さんは、過去に2回うつ病になった経験があると伺っています。当時の状況について教えてください。

初めてうつ病になったのは、新卒で入社したIT企業で働いていたときでした。大きな原因は職場環境や人間関係だったと思います。責任が重い仕事を個人単位でこなしたり、周囲に相談できるような雰囲気ではなかったり。

「同期もみんな頑張っているし、自分よりつらい立場の人もたくさんいるんだから、自分も頑張らなきゃ」という追い込み精神も相まって、メンタルダウンに至りました。

──1回目のメンタルダウンではどのような対策をとったのでしょうか?

自分がうつ病になっているとは思ってもいませんでした。はじめは吐き気や頭痛などの症状が出ていたのですが、精神的なものだとは考えてもいなかったので内科に行きました。内科ではもちろん「異常はありません」と診断されるので、頑張って出勤を続けていたものの、もう限界で……。

結局、そのまま無断欠勤をするようになってしまったんです。

──なるほど……。

無断欠勤をするようになってから、電話にも出ず、誰とも話さずに引きこもっていました。「自分は役立たずだ。もう死んでしまいたい」と思うことが増え、かなり危険な状態だったと思います。

そんなある日、宮崎県の実家に住んでいる両親が、東京の僕の家まで来てくれたんです。精神状態が不安定だったので、休職をして一旦実家に帰ることになりました。

当時、両親には会社を休んでいることや体調のことを話していなかったので、なぜ会いにきてくれたのか不思議だったのですが、あとから「警察沙汰になって大変だった!」との話を聞きました。

──警察沙汰……!?

当時住んでいたのが治安の悪い地域だったんです……。僕が無断欠勤をしていたので、何度か上司が家に来ていたのですが、出られる状態ではなかったため居留守をしていました。ただ、家の電気がついたり消えたりしていたので、家の中にいることはバレていて。あまりにも反応がないので、誘拐や立て篭もりなのではないかと事件性を疑われたようです(笑)。

大家さんもすぐにこれる状態ではなかったので合鍵がなく、壁に穴を開けるかどうかという話し合いになった最中で両親に連絡がいったのだとか。

──すごいところまで話が広がっていたんですね……!宮崎のご実家に帰ったあと、病院で治療などを行なったのですか?

休職の申請に診断書が必要だったため、仕方なく病院へ行きました。そこではじめてうつ病だと診断されたのを覚えています。原因のわからない苦しさに病名というラベルがついたような感覚で、正直に言うとホッとしました。

──2回目に経験したうつ病についても伺ってよろしいでしょうか?

2回目のうつ病は、東京に戻ってから2社目に入った会社で働いていたときですね。人間関係の悩みとハードワークが重なり、精神的な余裕がなかったことが原因ではないかと思っています。1回目ほど症状はひどくはなかったものの、かなり落ち込んでいましたね。2年ほど勤務した会社でしたが、休職をして、そのまま退職することになりました。

──2回目のうつ病も病院での治療で回復を目指したのでしょうか?

病院でもらった薬での治療ももちろんありましたが、休職期間中に知り合った今のパートナーの支えも大きかったです。独りじゃないと安心感を与えてくれたパートナーの存在は生きるモチベーションにもなりました。本当にいくら感謝しても足りません。

好きなときに、好きなことを、好きなだけする

──うつ病を乗り越えるために意識していたことはありますか?

食べたいものを食べて、寝たいときに寝ること、ですかね。僕の場合、うつ病で働けなかった期間は、完全に昼夜逆転の生活を送っていました。昼間は“普通に働いている人たち”と自分を比べてしまい、とてもつらい気持ちになったので、寝ることでしか目や耳をふさげなくて。その代わり、みんなが寝静まった深夜に好きなことをしていました!

──好きなこと……というと?

深夜徘徊……とか(笑)。当時は夜の田舎道をとぼとぼ歩き、パチンコ屋さんの立体駐車場で走り回り、近くのネットカフェで漫画を読んで、無料のモーニングを食べて帰るのが日課でした。

──楽しそうですね(笑)。好きなことをするのが一番ですね。

そうですね。自分の中にある感情を無視しないことが大切だと思います。ポジティブな感情も、ネガティブな感情も。

深夜徘徊のほかにも、その頃から家族がよく温泉に連れて行ってくれたので、温泉やサウナが好きになりました。今でもメンタルの波を感じたときには温泉に行きます。

──今でもメンタルの波を感じることがあるんですね。メンタルが落ち込んだときに気をつけていることはありますか?

僕の場合、睡眠のバランスが崩れるとメンタルが落ち込む傾向にあるので、睡眠を意識的に取ることや、メンタルダウンの傾向が出てきたときは積極的に休むようにしています。また、今でも定期的に病院に通いながら、薬を処方してもらっています。

──自身の傾向を把握することが大切なのですね。

うつ病になって良かったことがあるとすれば、自分のメンタルや体調、メンタルダウンが起こりやすい傾向を把握できたことです。うつ病になったからこそ、自分ときちんと向き合えた気がします。

例えば、僕はリモートワークなどでずっと1人で作業をしているとメンタルが落ち込む傾向にあります。なので、パートナーが出社している時間はコワーキングスペースへ行ったり、人と会えるタイミングがあれば積極的に足を運んだりしています。

ほかにも、僕はメンタルが落ち込むと1人で抱えてしまう傾向があるので、社内のメンバーに体調が悪いことを伝えることや、パートナーにもきちんと話をすることを意識しています。

Mentallyを通して「笑顔をたくさんつくっていきたい」

──現在、MentallyのCTOに就任されている仁田脇さんですが、Mentallyとの出会いについて教えてください。

昔は職種にこだわりやプライドを持っていなかった僕ですが、前職で書籍を出させていただいたこともあり、エンジニアとしてのプライドがだんだん強くなっていきました。そこから「エンジニアとしてのキャリア」を意識する機会が増え、技術を磨くべきかマネジメントの力をつけるべきかの2択で考えていたのですが、僕にはどちらもしっくりこなくて迷っていたんです……。

コーチングや色々な人とお話をする中で、「どちらも手段でしかなくて、目的のために手段は選べばいい」という言葉をいただいたのですが、それが腑に落ちて。改めて、エンジニアとしてのプライドよりも、自分が本当にしたいことは何かを考え始めることに。

結果的に自分はメンタルヘルスの領域に関わっていきたい!と決意したのですが、タイミングよくMentally代表・西村さんの募集が目に入りました。そこに書かれていた西村さんの想いや、Mentallyのビジョン・目指す世界を知り、「これだ!」と思ったんです。

メンタルの苦しみをフラットに相談できる世の中へ。Mentally代表・西村が語る創業への想い

──自分がしたいことと、Mentallyにマッチするものがあったんですね!

はい。僕は、メンタルダウンを経験したとき『いのちの電話』を利用したことがあったのですが、かなり勇気を出して電話をかけたのにもかかわらず、30分くらい待たされた経験があって……。

この経験から、話を聞いてほしい人と話を聞きたい人がすぐにマッチングするサービスがあれば、僕のように悲しい気持ちになる人が減るのではと考え、自分でサービスを作ろうかと思っていた時期がありました。ただ、色々な壁があり断念したままだったんです。

Mentallyの開発しているサービスは、僕がやりたいと思っていたことそのもの。たまたま目に入ったのが1人目のエンジニアの募集だったので、これを逃したら後悔する!と思い、めちゃくちゃアピールしました(笑)。

その甲斐あって、Mentallyにジョインすることができました。

──Mentallyを通して、成し遂げたいことや目標はありますか?

笑顔になる人がたくさん増えたらいいな、と思っています。僕はうつ病になっていたころ、ほとんど笑顔になる時間がありませんでした。表情筋が固くなってしまうくらい、本当に笑顔になる回数が少なかったんです。でも、笑顔になれないのは気持ち的にも、体調的にもよくなかったなって……。

いまはコロナ禍の影響もあり、笑顔が減った人もたくさんいると思います。Mentallyを通して、自分や自分の周りの人がたくさん笑顔になれば嬉しいですし、結果的に日本全体に影響を与えていきたい。笑顔の輪がどんどん広がるように、頑張っていきたいです!

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ともだ

ともだ

関西在住のフリーライター。うつ病の既往あり。HSP気質な自分を受け入れながらマイペースにフリーランスとして活動中。好きなものはお寿司◎

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