病名すら知らなかった双極性障害を発症して6年。メンタルの波を抱える中で学んだ『サステナブルな生き方』とは

今、自分がここにいること

2016年に双極性障害と診断され、今も通院を続けている株式会社Mentally・CPO(Chief Product Officer)の坂田 一倫(さかた かずみち)さん。診断された当初は双極性障害という病名すら知らなかったと話します。

双極性障害と付き合っていく中で、「メンタルダウンをした過去を誰もが気軽に話せる世の中をつくりたい」という目標を見つけた坂田さん。過去のメンタルダウンを振り返りながら、現在に至るまでのお話を伺いました。

「双極性障害ってなんですか?」診断を受けてはじめて知った病名

──はじめに、双極性障害だと診断されたきっかけについて教えてください。

はじめて双極性障害の診断を受けたのは2016年でした。

当時勤務していた会社では、上司や上層部とのコミュニケーションの中で仕事へのプレッシャーを感じることが多かったんです。レビューミーティングでいただくツッコミや指摘の言葉遣いやトーンが怖くて段々とつらくなってきたのを覚えています。

ある日、通勤中に手が震えて涙が止まらなくなったことがあり、その日のうちに人事に相談。そのまま産業医と話をすることになり、最終的にはその足で直ぐに通える職場近くの精神科を紹介してもらいました。

そこで「双極性障害」と診断されたんです。

もともとあがり症な一面があり、ミーティングで心拍数が上がることはあったのですが、手が震えたり涙が出たりなどの大きな症状はその日が初めてでした。あがり症については、後の診断で対人恐怖症もあるとの話を受けたのですが。どちらにせよ、ただ事じゃないな……と思いましたね。

──はじめて診断を受けたとき、どう感じましたか?

当時は双極性障害という病名すら知らなかったので「なんですか、その病気?」と思ったのが率直なところです。これまで仕事を無事にこなせてきた自分には無縁だと思っていましたし、メンタル系疾患についての教育を受けたこともありませんでした。

周囲にもメンタル系疾患を公言していた人はいなかったので、双極性障害がどんな病気なのかまったく知りませんでした。

──なるほど。産業医の紹介で精神科を診断するときに抵抗はありませんでしたか?

精神科を受診することへの抵抗はまったくなかったです。僕は学生時代からスポーツをしていたのですが、ケガをした時はすぐに病院へ行く習慣がありました。放置していたら後遺症になりますから。その習慣があったからなのか、症状を放置しておくことのほうが怖かったです。

──名前も知らない病気だと診断され、素直に受け入れることができましたか?

名前も知らない病気だからこそ「主治医の言うことをちゃんと聞こう。どんなことも真摯に受け止めよう」と思いました。
手の震えや涙が止まらない症状が出ていることが自分にとっては最悪の状況だったので、同じ体験を繰り返したくないという気持ちが大きかったです。

「サステナブルな働き方」を重視するようになった

──双極性障害の診断を受け、どのような対応をとりましたか?

まずは診断書をもらい休職しました。会社の定める休職期間である3ヵ月間はフルで休みましたが、結果的に復職は難しく、そのまま退職することに。その後は転職して別の会社で働きましたが、病気の波もあり、これまでに3回ほど休職を経験しました。

──なるほど。今でも病気の波を抱えているのですね。

そうですね。もともと主治医にも「治る病気ではなく、長く付き合っていくもの。人によっては生涯付き合い続けることもある」と言われていたので、再発することや病気の波があることは覚悟していました。

主治医とは2016年から今までで約6年くらいの付き合いで、今でも多くて2週間に1回、少なくて月に1回は通院をしています。

──双極性障害と付き合っていく中で、苦しいことや大変なことはありますか?

もともとの性格でもあるのですが、僕は色々なことを考えすぎてしまう癖があります。先のことばかりに目がいってしまって、不安になったりパンクしたりすることが多いので大変だな……と感じますね。

──双極性障害とうまく付き合っていくために意識していることはありますか?

まず無理をしないことですね。自分に対しても、周囲に対しても無理をしないことが大切だと思います。

例えば、仕事とプライベートのメリハリをつけることや、任せられる仕事は任せること、生活の中での優先度を決めることなどです。僕の場合は17時までは仕事に集中して、それ以降は家庭に集中すると決めています。そのようにメリハリをつけて、無理をしない工夫が大切だと感じますね。

──「仕事も家庭も!」だとしんどくなってしまいますよね。では、双極性障害を患ってから仕事や生活の基準は大きく変わったのではないですか?

そうですね。双極性障害と診断されるまでは睡眠を削って仕事をしていることも多かったので。転職をするときも、残業時間はどうか、就業時間がきちんと決まっているかなど、規則正しい生活リズムを維持できるかは、会社を選ぶ際の基準として優先度を高く持っていました。

「サステナブルな働き方ができるかどうか」に価値をおくようになりました。

──サステナブルな働き方。たしかに重要ですね!

そうなんです。あとは、主治医を信頼することも大切ですね。薬を飲むことに対して抵抗がある人や、面倒くささを感じる人も多いと思いますが、僕は主治医に言われたことはきちんと守るようにしています。主治医をきちんと信頼するためにも、自分に合った病院探しは大切かもしれません。

ほかにも、ハイになりすぎている自分を認識してコーヒーブレイクを挟んだり、無意識にハイになっているときは家族に声をかけてもらうなどの協力をあおいだり、自分の力だけでなく他人の力も借りるように意識しています。

メンタル疾患を抱えていてもパフォーマンスを発揮できる場所はちゃんとある

──Mentally代表の西村さんと出会ったときのエピソードについて教えてください。

もともと働いていた会社が西村さんと同じだったので、西村さんのことは知っていたのですが話す機会はそれほどなくて。西村さんがMentallyを立ち上げるときに、サービスについて相談をしてくれたことが関わりをもつきっかけでした。

──それからMentallyにジョインしたきっかけは何だったのでしょうか?

Mentallyを西村さんと一緒に創り上げていった、という表現が正しいかもしれません。

西村さんから受けた「メンタルヘルスに関するサービスを作りたい」という相談の中で、西村さんが双極性障害のII型を経験していたことを知りました。僕と同じ病気です。西村さんは4人の子どもを育てるパパでもあるので、2人の子どもを育てる僕としては親近感が強くて。

西村さんが描いているMentallyのサービス内容を聞いて、すごく興味を持ったことが大きかったですね。そのときはざっくりとしたサービスのイメージしかできていなかった段階だったので、その後「手伝ってくれませんか」と話を受け、副業でジョインしました。

メンタルの苦しみをフラットに相談できる世の中へ。Mentally代表・西村が語る創業への想い

──現在はMentalyのCPOに就任されていますが、Mentallyにフルコミットすることに対して迷いはなかったのでしょうか?

もちろん迷いはありました。これまで大きな企業でしか働いたことがなかったので、スタートアップに入社するのは初めてで。家族もいるので色々と考えましたが、西村さんも僕と同じように家族を守る立場ですし、その不安はわかってくれていると思ったんです。

だから、思い切って飛び込んでみようと思いました。

──そうだったのですね。坂田さん自身がMentallyを通して叶えたい目標はありますか?

メンタルダウンをした経験や、メンタル疾患を抱えていることを隠さずに言い出せる世の中を作りたいと思っています。

Mentallyに副業で入っていたころから色々な人と話す機会があったのですが、「実は私……」とメンタル疾患にかかった経験を打ち明けてくれる人がたくさんいたんです。僕も会社や周囲に双極性障害を抱えていたことはあまり公言していなかったタイプなのですが、僕と同じような人はたくさんいることを知りました。言えないことで生きづらさを抱えている人も多いと思います。

最近、日本でも著名人がメンタル疾患にかかったことを公表することで、病気の名前や概要が少しずつ広がっていくようになりましたが、まだまだ言いづらい風潮はありますよね。

今後、メンタルダウンの経験を気軽に話せる世の中になれば嬉しいですし、その中でMentallyを利用する人がたくさん増えてほしいと思います。

──気軽にメンタルダウンの経験を話せる世の中!素敵ですね。

Mentallyにはメンタルダウン経験者やメンタル疾患を抱えている人がたくさん在籍しています。

Mentallyがどんどん成長していく過程で、メンタルダウンの経験やメンタル系疾患の症状を抱えている人がいても会社が機能すること・成長することを証明していきたいですし、「メンタル疾患を抱えていても、パフォーマンスを発揮できる場所はちゃんとあるよ」と伝えていきたいです。

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ともだ

ともだ

関西在住のフリーライター。うつ病の既往あり。HSP気質な自分を受け入れながらマイペースにフリーランスとして活動中。好きなものはお寿司◎

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