【ピアサポートの意味とは】ピアサポート5つの役割&効果を徹底解説!

メンタルヘルス

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苦しみや悩みが分かち合える「ピアサポート」をご存じですか?

「病気や障害に苦しんでいることを誰に相談をすればいいのかわからない……」。このような悩みを抱えていませんか?

資格を持つ専門医やカウンセラーのサポートを受けながら治療に専念していても、「このままでいいのだろうか」「本当に治るのだろうか」と漠然とした不安を抱えてしまうことが多いのではないでしょうか。

家族や友人、パートナーに悩みを相談しても、自分の苦しみは自分にしかわかりません。またインターネットにおける情報が大量に存在する現代では、どのような考え方や障害との向き合い方が自分にとってベストなのか、わからなくなることも珍しくありません。

今回は、さまざまな苦しみを当事者同時で分かち合えるピアサポートについてご紹介します。悩みを1人で抱え込まずに、同じような悩みを持っている仲間とシェアすることで、安心感や気付きを育めるでしょう。

ピアサポートの意味や内容とは

ピアサポートとは、似た悩みや課題を持っている人がお互いに支え合うことです。ピアとは英語で「仲間」、サポートは「支える」を意味します。同じような課題を持つ者同士でサポートし合える関係性を作り、問題の解決を支援し合うことが目的です。

ピアサポートには大小さまざまな団体が存在し、大きな目的は共通していますが団体によって細かな内容の違いがあります。グループでディスカッションのような形で会話をすることもあれば、輪になって一人ずつ悩みや現状を話すことも。

ピアサポートでは、参加者の一人ひとりが話し手であり聞き手です。自分が話すことで感情をシェアして楽になるのも、相手の話を聞いて安心感を得つつ新たな気付きを得られるのも、等しくピアサポートの価値といえるでしょう。

参考:NPONEWS「ピアサポート・ピアサポーターとは?活動や目的、分野ごとの団体を紹介」

ピアサポートはどのような人たちに必要か

ピアサポートの対象は特定の悩みや病気のみに限らず、さまざまな分野において団体が展開されています。

もともとはアメリカの精神保健福祉の分野から始まったピアサポートですが、現在はがん・難病の患者や産前産後で悩みを抱えた親、薬物依存者、アルコール依存者、引きこもりに悩む人など、幅広い悩みを持つ人が利用しています。

また、本人だけではなく悩みを持つ人の家族にも広がっており、現在は学生同士で支え合えるピアサポート制度を導入する大学も増加中です。

他には、非労働者やLGBTなどのピアサポートを行う団体も増加傾向にあります。どのピアサポートにおいても、参加者は同じ仲間として相談に乗り合ったり、社会参加や地域での交流を通したりして問題の解決を目指すことが目的です。

ピアサポートの5つの役割・効果

ここでは、ピアサポートの役割やもたらされる効果を5つご紹介します。ピアサポートでは、専門的な病院やカウンセリングによるものとは違う特有の安心感やメリットが存在します。

参考:NPONEWS「ピアサポート・ピアサポーターとは?活動や目的、分野ごとの団体を紹介」
参考:NPO法人ピアサポートしぶや「ピアサポートってなに?」
参考:マイナビコメディカルセラピストプラス「ピアサポート・ピアサポーターとは?活動例からわかる効果や役割」

1.フェアな関係性の中で悩みを分かち合える

ピアサポートでは、参加者がお互いにフェアな関係性の中で悩みを分かち合うことが可能です。

通常、医療従事者や専門の支援者からのサポートを受ける場合は、「支援する側・される側」という関係性が発生します。当事者ではない相手には話しづらいケースが多く、「本当に自分の気持ちや悩みを理解してもらえているのだろうか」と不安を感じるケースも珍しくありません。

しかしピアサポートでは参加者全員が当事者であるため、同じ目線や共通した苦しみを持っています。立場が似ている者同士だからこそ本音を話しやすくなるのです。

2.自分の抱えている課題に気付き向き合える

ピアサポートを利用することで、自分の抱えている課題に気付き向き合えるきっかけが作れます。悩みや苦しみの本質は、頭の中で考えているだけでは明確にわかりづらいものです。相手に伝えるために言語化をすることで、自分が何に悩んでいるのか・乗り越えるべき課題は何かに気付けます。

また相手の経験に耳を傾けることにより、自分が抱えている悩みの多面性を見つけられることもあります。感情や苦しみをシェアし合うことで視野が広がり、解決のために必要な方法は一つではないことにも気付けるのです。

3.他人と親密な人間関係を築ける

ピアサポートは、他人と親密な人間関係を築くためのサポートにもなります。病気や疾患に悩む人の中には、親しい人や医療従事者への不信感を抱いてしまっている人も少なくありません。

さまざまな提案をしてもらっても受け入れられなかったり、自分への自信を喪失しているために健全なコミュニケーションが取れなくなったりしていることも。

ピアサポートでは「参加者はみんな自分と同じ当事者で、共通の悩みを持っている」という意識を持てるため、相手に一定の信頼感を持って接することが可能です。他人を信頼し、健全なコミュニケーションを取るための足掛かりとしても機能します。

4.治療や改善に必要な安心感を得られる

ピアサポートで当事者同士の交流を行うことで、「苦しんでいるのは自分一人ではない」という安心感を得られます。心身に不調を患っていると不安な気持ちが大きくなり、健康な人と比べて孤独を感じてしまうものです。

同じような苦しみと闘っている仲間と出会えると、治療や改善に必要な勇気や冷静さを得られます。対話を通じて安心やつながりを感じることにより、本来は誰もが持っている「自分で解決する力」を呼び起こします。

参考:日本ピア・サポート学会「ピア・サポートの理念」

5.当事者にしかわからない情報を得られる

ピアサポートでは悩みや感情のシェアだけではなく、悩みに関わる情報を共有することが可能です。

現代はインターネットが普及しているため、小さな疑問や一般的な情報は調べればすぐに知ることができます。しかし自分の生活における具体的な症例や感情の機微な動きへの対応は、なかなか答えを見つけられません。

当事者同士がリアルタイムで会話をすることで、実際に経験した人にしかわからない対処法やセルフコントロールの方法を学べます。同じ境遇にいる仲間の言葉だからこそ信頼感を持て、ポジティブな気持ちで情報を受け入れられるでしょう。

ピアサポートで精神障害や病気を持つ人が生きやすい社会へ

今回は、ピアサポートの意味や役割などをご紹介しました。

ピアサポートの最たるメリットは、対等な関係性のもと仲間同士で支え合えることです。人には言いづらい悩みを抱えている人は、身近な人物にもなかなか心を開けずに孤独を感じやすく、精神的に不安定になりがちです。

年齢や性別の垣根を超えた「当事者」という共通項を持つ参加者たちと話すことで、信頼関係が芽生えて心にゆとりが生まれます。現在苦しみを抱えている人は、病気や障害に捉われない自分らしい生き方を取り戻すためにも、ぜひピアサポートの利用を視野に入れてみてくださいね。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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