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適応障害の人にかける言葉がわからない…
4月は入社や異動で環境の変化が生じやすくストレスをため込みがち。5月〜6月は気温の上昇に伴い体にも疲労がたまり、ますます心身の調子を崩しやすい時期です。
そんな状況の中、過剰に仕事や家事の責任を負ってしまったり、仕事量の負担が大きすぎたりすると生じるのが適応障害です。適応障害は、一時的に強いストレスを抱えることにより心身に負荷がかかると発症する精神疾患です。
アメリカ精神医学会の調査によると、適応障害の有病率は2〜8%といわれています。100人いればそのうち2〜8人がなるものと考えると、ずいぶん身近に感じますよね。部下や同僚、家族、友人がいつ適応障害になってもおかしくありません。
もしあなたの身近な大切な人が急に適応障害になったとしたら、なんと声をかけて接するべきでしょうか。本記事では、適応障害になった人への言葉かけや接し方をまとめているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
適応障害・パニック障害とはどんな病気?
適応障害とは環境の変化に適応できず、心身のバランスが崩れ、社会生活に支障がでている状態をいいます。きっかけとなるストレス要因がはっきりしており、ストレス要因から離れると症状が良くなりやすいのが特徴です。
アメリカ精神医学会の『精神障害の分類と診断の手引き(DSM-5)』では、ストレス要因となるものが始まって3ヶ月以内に発症し、ストレス要因が解消されてから6ヶ月以内におさまるものと定義されています。
パニック障害は、パニック発作が繰り返し起こる状態を指します。例えば、電車やバスに乗ったときなど特定の状況でパニック発作が起こります。パニックを避けるために公共交通機関を使うことや特定の場所に行くことができなくなり、行動範囲が狭まってしまうことも。
「また発作が起きるかもしれない」と予期不安が生じることもあります。心筋梗塞やてんかんといった他の身体・精神疾患のように原因が特定できないのが特徴です。
適応障害・パニック障害の人が悩んでいること
適応障害とパニック障害は、合併する場合があります。出勤のために電車やバス、車に乗ろうとすると、めまいや動悸などのパニック発作が生じます。会議や発表の場も、「もし発作が起きたら逃げられないかもしれない」と思って避けたくなるのです。
人前で発表や説明をする場面でも、緊張すると手や声が震える感覚や、喉がつまりうまく発音できない感覚に悩まされることがあります。大きなプレッシャーのかかる状況に加え、逃げ場がないと感じる状況では症状が出やすいのです。
1.短期的な強いストレス
適応障害は、大きな環境の変化が起こるときに新しい環境にうまく適応できず生じる場合が多いです。入社や異動、転職、昇進、結婚、出産、引越しなど、環境の変化は周囲から見てポジティブな理由でも本人にとっては負担となる場合があります。
適応障害の原因ははっきりしているため、原因を取り除けば症状も改善されることが多いでしょう。しかし、環境調整ができない場合には症状が長引きやすく、慢性化しやすいです。重症化するとうつ病になることもあります。
2.前触れなく起こる突然の発作
パニック障害の発作は、前触れなく突然生じます。息苦しさを感じたり、気持ち悪くなり吐き気がしたりします。動悸がし、手足がしびれるような感じがすることも。通常、パニック発作は長くても5〜10分程度で落ち着くことが多いです。
パニック発作は日中の外出中や移動中に起こることが多いです。特に密室や暗い場所ではいざというときに逃げられないイメージを抱きやすく、発作を起こしやすくなります。
3.症状を理解してもらいにくい
適応障害とパニック障害は、どちらも周囲の人に症状を理解してもらいにくい精神疾患です。「体に原因が見当たらないということは、気のせいなんじゃないの?」「それくらいでへこたれるな」などと本人の甘えや努力不足のせいにされやすいのです。
ストレスのもとから離れると、症状が改善されます。そのため、周囲の人からはいつも通り元気にみえて、病気であることを理解してもらいにくい雰囲気になることもしばしば。