適応障害・パニック障害の人への基本的な接し方

適応障害やパニック障害に苦しむ人の身近にいる家族や恋人、友人に求められる接し方は、ストレスの原因を取り除き、体調管理をサポートすることです。受診を促したり、治療中の付き添いをしたりする役割を担うこともあります。

患者の身近にいる人は、本人の生活に寄り添い、必要なサポートのできる存在です。基本的な接し方を知っておけると、患者としてもとても心強いはず。専門医や心理士と協力しながら、複数人で患者を支えられる体制を作ることが大切です。

1.ストレスの原因を取り除く

適応障害発症の原因が仕事の責任の重さや量にありそうであれば、職場の上司とも相談しながら負担を軽減したり異動の希望を出したりする必要があります。

もし夫婦の不仲や義理の両親との関係、家事育児負担の問題が原因なら、家庭内でよく話し合い、関係の改善や負担の分散をはかる必要があります。原因を取り除くことを何よりも優先しましょう。

2.体調管理をサポートする

適応障害は環境の変化の生じやすい4月や5月に、パニック障害は気候の変化の激しい8月や12月に悪化しやすいことが知られています。体調を崩しやすい時期は、睡眠や食事など生活リズムを整えることを普段よりも意識することが大切です。

家族からも、3食きちんと取る、運動する、カフェインやアルコールの摂取を控えるなどの面でサポートしてもらえると心強いです。症状が不安定な時期は対人関係が悪化しやすいため、余計な争いを避けるためにも疲労をため込まないようにしましょう。

3.発作が起きても慌てない

もしパニック発作が起こったとしても、周囲の人が慌てて騒ぎすぎないようにしましょう。周囲の人が騒ぐと患者本人の不安がますます強まり、症状を悪化させてしまいます。

発作が起きたら安全な場所に移動させ、背中をさする、「大丈夫だよ」と声をかける、落ち着くまで深呼吸を促すなど、冷静に対応してもらえると本人も安心できます。発作は多くの場合5〜10分程度で落ち着きます。

4.1人でいけない場所に付き添う

患者の中には、公共の交通機関に乗るのが怖い、ショッピングモールに出かけられないなどの理由で家族や恋人、友人に付き添ってほしいと思う人もいます。本人の意思や希望を尊重しつつ、必要があれば適宜付き添うようにしてあげてください。

パニック症の治療を開始している場合は、あえて公共の交通機関に乗り、始めは普通列車、慣れてきたら特急列車……と不安を感じる場面に慣れていく練習をしていくことがあります。始めは周囲の人に練習に付き添ってもらえると心強いです。

参考:NHK健康トップ「恋人がパニック症 接し方など、どうすればいい?」

5.病気のサインに気づき、受診を促す

自分の心身の調子の変化は、本人だけでは気づけないことも多いです。急に気分が落ち込み、不安になったり涙もろくなっている。寝つきが悪く食事もとれていないようだ。直近で何か強いストレスを感じている……こんな兆候があれば要注意です。

突然めまいやふらつき、動悸や息切れ、「死んでしまうかも」と不安になるような発作が生じる場合も注意しましょう。上記の病気のサインがある場合は、早めに医療機関を受診できるよう患者を説得し、受診を促すようにしてください。

一緒に住んでいる家族が適応障害になったときにかける言葉

家族が適応障害になった場合、やみくもに励ましたり焦らせたりするのはやめましょう。本人が「自分自身の甘えや努力不足なのでは」と自分を責める時期に周囲の人からも責められては、気持ちの逃げ場がなくなってしまいます。

まずは本人が休養できる環境を整え、「できないことがあっても大丈夫」と安心できる声かけをたくさんすることを優先してください。必要な社会保障制度を調べておき、必要になったときにすぐ使えるように準備することも役立ちます。

1.「今は心配せずゆっくり休んでいいんだよ」

適応障害やパニック障害になると、通勤時に調子が悪くなったり、大事な会議や発表のときほど声が震えてうまくできなかったりすることが増えます。周囲の人から甘えや努力不足だと思われないか、本人も不安に思っていることが多いものです。

症状から回復するためには、まずたっぷり休養をとることが大切です。「今は心配せずゆっくり休んでいいんだよ」と身近な人、とくに家族から休みを保証してもらえると、本人も気持ちが休まりやすくなるでしょう。

2.「いつも通りできなくても大丈夫」

病気により生活リズムが乱れ、朝起きれなかったり、家事の優先順位を付けられずに取りかかれなかったりします。適応障害やパニック障害により心身が疲弊していると、これまでできていたことができなくなるのです。

本人は焦りを感じ、このままではいけないと自分を責めるかもしれません。周囲の人から「いつも通りできなくても大丈夫」とフォローしてもらうことで、できない自分を認め、いたわることが可能になります。

3.「○○が利用できるよ(必要な社会資源を提示)」

本人が疲弊していて、とにかく休養が必要なタイミングでこの言葉を伝えるのはやめましょう。体力・気力が戻ってきて、次の行動を考えられる段階になったときに伝えるのがベストです。

例えば、長期的な通院が必要であれば自立支援医療制度、一旦休職し復職を視野に入れている場合はリワーク(職場復帰支援プログラム)が利用できます。必要な手続きをスムーズに行えるよう、周囲の人が調べておけると後々役に立ちます。

参考:自立支援医療|厚生労働省

【自立支援医療制度】「医療費が高い…」メンタル疾患での通院に役立つ支援内容とメリット

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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