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家族・恋人・ご友人の方へ
双極性障害は、本人はもちろんまわりの家族や恋人、友人など身近な人にも影響があり、病気への理解を正しく持っていないと振り回されてしまったり、本人の病状を悪化させてしまったりします。
精神疾患は外見からはわからないため、誤解されがちです。しかし本人はけっして悪意をもって行動しているわけではありません。特に親しい人は普段から本人と接する時間も長いので、病気を正しく理解して本人の状態に適切した対応を行うことが大切です。
大切な家族や恋人、友人が双極性障害でも、病気を正しく理解して適切な対応をすることで、良好な関係を維持することができます。それが本人の病状の悪化を防ぐことにもつながります。
参考:大塚製薬株式会社 すまいるナビゲーター「家族や身近な皆さまに知っておいていただきたいこと」
当事者が語る!発症中、身近な人に抱いている感情
双極性障害は、気分が良くて過活動になる「躁状態」と、気分が落ち込んでしまって、無気力になってしまう「うつ状態」を繰り返す病気です。躁状態のとき、うつ状態のときで異なる症状なので、まわりの人に誤解されてしまうこともよくあります。
ときには、まわりの人を振り回してしまうこともありますが、本人にはまったく悪意はなく、あとで迷惑をかけたことに気が付いて自己嫌悪に陥ります。病気だからしかたないと割り切ることは難しく、常にまわりの人に迷惑をかけていないかと気にしています。
1.否定的なことは言わないでほしい
双極性障害などの精神疾患は、まわりの人からの理解が難しい病気です。双極性障害の人は、躁状態のときにはとても調子が良く活動的なため、まわりの人からみてもそれほど問題はないと思われがちです。しかし躁状態の反動でうつ状態に入ると、一転してなにもできない状態になってしまいます。
まわりの人から見ると怠けているように誤解されたり、やる気がないようにみられたりします。また服薬の影響で日中に眠気がでてしまい、集中力が落ちることもあります。
これは本人の気持ちの問題ではなく、病気に起因することなので、「あまえているのではないか」とか「気の持ちようだよ」と言われたり、「薬なんか飲むから眠くなるのではないか」と言われたりすると、とても傷つきます。
双極性障害で一番大変な思いをしているのは本人です。否定的な発言はしないようにしましょう。
2.自分が原因で周囲が暗くならないか不安
双極性障害の人は気分の波が大きくゆれる特徴をもっています。躁状態・うつ状態で、それぞれの振り幅が大きく、さまざまな場面で身近な人に迷惑をかけているのではないかと感じています。
躁状態では、普段おとなしい人が突然相手を攻撃するような発言をしてしまうことがあります。しかしその後、躁状態が落ち着いたときに、過去の発言をひどく後悔してしまい自分のことが嫌になってしまいます。気分が落ち込み、自己嫌悪からうつ状態になることもあります。躁状態から今度は何もできない状態になってしまいます。
このように双極性障害の人は、躁状態と、うつ状態を繰り返すため、いつも「まわりの人に迷惑をかけている」と感じています。自分のせいで周囲を暗い雰囲気にしているのではないかと不安に感じています。
3.双極性障害について理解してもらえると嬉しい
双極性障害の症状は、病気に対する知識がない人には、なかなか理解が難しいでしょう。わがままな言動にみられたり、自分勝手な振る舞いだと思われたりします。しかしこれは、病気の症状として出てしまうものなのです。
まわりの人が双極性障害の正しい理解をもち適切な対応をすることで、本人も症状に気付き適切な対処をできるようになります。
双極性障害の人がひとりだけで病気と向き合い努力、工夫して、円滑な日常生活を送ることはとても難しいため、まわりの人の理解があることで本人の大きな助けになります。
4.治療の強要をされたくない
双極性障害は治療が必要な病気です。しかし、まわりの人から治療に対する意見を強要することは、本人を苦しめることにつながります。
とくに躁状態のときに本人は、とても気分が良く、体調も絶好調です。通院しなければならない理由がまったく理解できません。強く反発してしまうこともあります。治療は長期的に行う必要があるので症状に一喜一憂せず、長い目でみて本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
5.発症前と同じように接してほしい
双極性障害と診断されたとしても、その人がまったくの別人になるわけではありません。双極性障害になる原因はいまだに特定はされていません。しかし環境などに対するストレスを敏感に感じたり、ストレス耐性が弱かったりする部分には遺伝的な要因もあると考えられています。
躁状態のときには特徴として、人が変わってしまったようにアクティブになり、場合によっては乱暴な言葉を投げかけてしまうこともあります。しかし、これは病気の症状なので一時的なものにすぎません。
つぎに、うつ状態になると気力がなくなりエネルギーが切れてしまったようになり、寝込んでしまうこともあります。このように、気分の波が大きいことが双極性障害の特徴なので、まわりの人は症状に振り回されず、普段と変わらず接するようにしましょう。