躁状態のサイン

双極性障害の症状のひとつは、躁状態です。躁状態のときには気力に満ちあふれて、何でもできる気持ちになってしまいます。一睡もせずに働き続けたり、過度な買い物をしてしまったり極端な行動をとります。普段よりもよくしゃべる、高価な買い物をする、攻撃的な発言をする、など普段と違ったアクティブな活動は躁状態のサインです。

まわりからみると、元気いっぱいで調子が良いと感じる程度で、見過ごしてしまいがちですが、いつも接しているまわりの人からみて、いつもより活動的な様子があれば、本人にも伝えるなど適切な対応をするとよいでしょう。

参考:大塚製薬株式会社 すまいるナビゲーター「家族や身近な皆さまに知っておいていただきたいこと」

鬱状態のサイン

双極性障害の症状としてもうひとつ、うつ状態があります。これはいわゆる「うつ病」「抑うつ状態」と診断される状態と症状は同じです。気分が落ち込み、なにもやる気がおきません。ひどいときには寝たきりになってしまいます。

自己嫌悪や自己肯定感が低下して「自分には生きている価値が無い」と思うことがあります。躁状態のときとは別人のように、ふさぎ込んでしまいます。会話も少なくなるので普段の会話の中で挨拶をしても反応がなかったり、笑顔が出なくなったりしたら注意が必要です。

うつ状態になると、希死念慮を持つこともしばしばあるため、家族などまわりの人の見守りも大切です。

参考:大塚製薬株式会社 すまいるナビゲーター「家族や身近な皆さまに知っておいていただきたいこと」

双極性障害(躁鬱病)の方への上手な接し方

双極性障害の人は気分の波があります。その振り幅が大きいためまわりの人が振り回されて、長期的に良好な人間関係を持続することが困難です。

しかしこれは病気に起因するものなので、本人の努力や工夫だけでは対処できません。家族や友人、恋人などまわりの人が双極性障害について正しい理解をもち、どのように接すればよいかを知ることが重要です。

今の状態が、どのような状態か(躁状態なのか、うつ状態なのか)。本人の状態に合わせた接し方をすることで良好な人間関係を築くことができます。

参考:ハートクリニック「双極性障害と家族」

1.過度な励まし・気晴らしは控える

双極性障害の原因はまだ明らかになっていませんが、最新の研究では脳内の情報伝達がうまくいかずに発症していると考えられています。これは本人の努力や工夫だけで対処できるものではありません。

一番悩み、苦しんでいるのは本人です。まわりの人から「もっと頑張れはよくなるよ」とか「気持ちの問題だからそのうちよくなるよ」など、無責任な励ましは、かえって本人には、「この人は自分のことを理解してくれていない」と感じてしまいます。まわりの親しい人が、双極性障害を理解したうえで適切なサポートすることが大切です。

参考:患者さんと家族のための双極性障害の手引き

2.うつ状態の時は絶対に叱らない

うつ状態のときは気分が落ち込み、何もできなくなってしまいます。まわりへの興味もなくなり何をしても楽しく感じることができません。また疲れやすく活動も上手くできないため、寝込んでしまうことあります。

このような状態は、まわりの人からみると「怠けているのではないか」と思われる人もいるでしょう。しかし絶対に本人を責めたり叱ったりしないでください。うつ状態のときに本人は怠けているわけではないのです。

うつ状態のときは、本人が一番自分自身に失望しており自己嫌悪に陥っています。そのような状態で、まわりの人からも叱られてしまうとさらに落ち込み、うつ状態が悪化する恐れがあるので気をつけましょう。

3.「頑張って」など、心に負担をかけない

双極性障害の人は躁状態、うつ状態を繰り返して、さまざまな失敗を経験しています。躁状態のときにはまわりの人に迷惑をかけてしまうこともあり、うつ状態ではそんな自分に嫌気がさし、落ち込むということを繰り返します。精神的に追い込まれてしまうこともしばしばあります。

しかしこれは病気に起因するものなので、誰が悪いということではなく、どのように病気と付き合っていくかということが大切です。本人にとっては切実なことなのです。

まわりの人も本人を励ます気持ちで「頑張って」と声をかけたくなる気持ちもよくわかりますが、ときには善意のつもりで声をかけても、本人にとっては大きなプレッシャーとなりストレスの原因になるでしょう。本人はすでに頑張っているのです。安易な「頑張って」は控えましょう。

4.「大丈夫」「絶対治る」など、根拠のないことは言わない

双極性障害など精神疾患は再発を繰り返しやすい病気です。安定している状態が続く「完寛」という状態になっても環境要因により再発するリスクは高いのです。服薬や普段の生活リズムを整えることで長期間にわたって付き合っていく必要があります。

まわりの人も双極性障害のことを十分に理解し、本人を励ますつもりで「絶対に治るから大丈夫」など、根拠のない励ましはやめましょう。再発を繰り返す本人は調子がわるくなってしまったときに、落胆し「やっぱりダメなんだ」とひどく落ち込みます。

双極性障害は主治医の診断、治療方針に沿って適切な治療を長期的におこなう必要がある病気ということを十分に理解してください。

5.中立の立場で接する

双極性障害になったからといって、その人が変わってしまうわけではありません。躁状態のときには過活動になり振り回されてしまうこともあるでしょう。またうつ状態のときには心配で、ついつい頻繁に励ましの言葉をかけたくなることもあるかもしれません。

しかし、まわりの人が本人の症状で一喜一憂していては、関わる人全員が疲弊してしまい、誰にとっても良いことはありません。とくに症状が出ているときこそ、冷静に中立的な立場で接してください。

躁状態のときは、調子がよいと感じているので通院をやめてしまったり、服薬をやめてしまったりします。そんなときこそ、まわりの人は冷静にいつもと違うことを指摘し、通院を促してください。また、うつ状態のときには休養が必要な時期です。すこし長い目でみて過度な干渉はしないようにするとよいでしょう。

心理師Shingo

心理師Shingo

公認心理師(カウンセラー)。障がい者就労支援のプロ。現在鎌倉市で障害福祉サービスの就労移行支援事業所「就職予備校」の管理者。 今まで支援で関わった人は 100 名以上。

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