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メンタルヘルスマネジメント検定って何?どんな資格?
メンタルヘルスマネジメント検定とは、働く人の心身の不調を未然に防ぎ、活気ある職場づくりを目指すために、職場での役割に応じてメンタルヘルスを学ぶ検定試験です。
実際に心理士として精神科クリニックや学校のスクールカウンセラーとして働くための資格ではありません。産業分野で生かせるメンタルヘルスに関する基礎知識の獲得や対処方法を学ぶためのものです。
メンタルヘルスマネジメント検定は、平成18年に厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき、大阪商工会議所と施行商工会議所が実施しています。
参考:大阪商工会議所「メンタルヘルス マネジメント検定試験」
メンタルヘルスマネジメント検定の概要
本検定は、職場での役割により、経営幹部や人事労務管理スタッフ対象のⅠ種(マスターコース)、管理職用のⅡ種(ラインケアコース)、一般社員向けのⅢ種(セルフケアコース)など、3つのコースが設定されているのが特徴です。
マスターコースでは、社内のメンタルヘルス対策を目的に、経営指針にそったメンタルヘルスケア計画の立て方、産業保険スタッフや専門機関との連携、従業員への教育・研修法を、ラインケアコースでは、部下の不調を見逃さない、安全配慮義務に則った対応方法を学びます。
セルフケアコースでは、社員自身が不調に気づき自らケアを行ったり、メンタル不調に陥っている同僚を助けたりする力を養うことを目指します。
メンタルヘルスマネジメント検定を受ける目的
メンタルヘルスマネジメント検定は、産業分野において、自分や同僚、部下のメンタル不調に対処し、問題が生じないよう未然防止の取り組みを行い、より健全な組織を形作ることを目指す目的で行われます。
身近にメンタル不調を抱えている人がいるが、どう対処し声をかけてあげるべきかわからない。その対処法を知りたいという方にはおすすめできる資格です。
1.精神疾患への正しい理解を深める
メンタルヘルスマネジメント検定では、ストレスの定義や仕組み、対処法を学ぶことができます。そのほかにも、うつ病や双極性障害(躁うつ病)、適応障害、パニック障害など、代表的な精神疾患への正しい理解を深めるのにも役立ちます。
精神疾患は、脳神経伝達物質の分泌量の変化や障害により、心や体、行動に変化がみられるものを指します。心の症状は目には見えないため、自分自身でも気づかないことがあり、側からみてもわかりにくい特徴があることを理解します。
2.うつ病の予防
誰でも一時的な気分の落ち込みはありますが、長期間続くと、うつ病を発症する可能性が高まります。うつ病とは、精神的ストレスを背景に、脳がうまく働かない状態になることをいいます。仮病や甘えではなく、脳の機能低下が原因です。
うつ病の特徴的な症状には、気分の落ち込みや興味関心の低下、不眠が含まれます。これらの特徴をあらかじめ知っておくことで、同様の症状が現れている部下や同僚の不調のサインに気づくことができ、うつ病の未然防止につながります。
3.自分や周りの人がうつ病になったときの対処法を知る
自分や部下、同僚がうつ病になってしまったときは、無理をせず、まずは休養をとることが大切です。有給休暇を利用し一時的に休養をとることもあれば、休職制度がある場合には利用し一定期間休みをとることもあるかもしれません。
もし、部下や同僚がうつ病を発症したようであれば、産業医や医療機関へつなぐとともに、職場環境を見直すきっかけにすることも大切です。ハラスメントがないか、仕事の量や質は適切かなどを振り返ることも対処法の1つであることを学びます。
4.精神疾患の兆候を捉えて医療専門家への橋渡しをする
もし、うつ病を含む精神疾患のサインが部下や同僚に表れていたら、組織内の産業医や心理士、外部の精神科病院やクリニックを紹介し、橋渡しをしましょう。「がんばれ」「期待している」などの励ましは禁物です。また、「誰だってそうだ」などと非難していけません。
本人が受診を嫌がる場合は、率直にあなたが心配なのだという気持ちを伝え、精神科の受診に気が引けるなら、食欲や睡眠についてかかりつけの内科に相談することを勧めてみるのも1つの方法であることを学びます。
メンタルヘルスマネジメント試験はカウンセリング手法を学ぶわけではない
メンタルヘルスマネジメント検定は、あくまで働く人の心の不調の未然防止と活気ある職場づくりを推進するための資格です。メンタルヘルスやケアに関する基礎知識を得ることはできますが、カウンセリング手法を詳しく学ぶには不向きです。
もし、医療機関や学校、企業などで心理士として働きカウンセリングをしたいと思うなら、臨床心理士や公認心理師、産業カウンセラーの資格を取得するのをおすすめします。
臨床心理士や公認心理師は、医療機関や学校、裁判所や児童相談所など、活躍の場が多岐に渡りますが、産業カウンセラーは一般企業やEAP(従業員支援プログラム)機関に限定されるのが特徴です。