【統合失調症の接し方】家族や身近な人に求められる対応の仕方とNG行動

メンタルヘルス

この記事を監修してくれたのは…

家族・恋人・ご友人の方へ

統合失調症は100人に1人がかかるといわれる、ごくありふれた精神疾患です。有病率は人口の1%なので、ぜんそくと同じくらいです。心の病気なんて自分には関係ないと思っていても、身の回りの家族や恋人、友人が発症する可能性は十分にあるといえます。

一般的に統合失調症はどんな病気か想像しにくく、漠然と「治療が難しそう」「怖い」といったイメージを持たれやすい疾患です。もし身近な大切な人が統合失調症になったとしても、怖がらないでくださいね。

病気についての正しい知識を身につければ、ほかのうつ病といった精神疾患と同様に対処が可能です。もしかしたら家族の中には「私たちのせいなのでは」と心配している方がいるかもしれません。統合失調症は育ちの問題から起こるものではないので安心してくださいね。

参考:統合失調症 医療法人社団有朋会 粟田病院

【統合失調症】初期症状のサインに気づこう!

統合失調症は前兆期、急性期、休息期、回復期の経過を辿ることが多いです。

発症のしやすさについて性差はありませんが、発症時期や経過についてはそれぞれ特徴があります。男性の方が女性より発症が早く、発症年齢のピークは男性で10〜25歳、女性で25歳〜35歳であるといわれています。

女性の発症年齢がピークを迎えるタイミングは2回あり、中年期にも発症のピークがあるといわれます。もし統合失調症の初期症状のサインが発症しやすい時期と被るようであれば、統合失調症を疑った方が良いでしょう。

統合失調症の前兆期は初期症状が現れる時期で、ここで症状のサインに気付けるかどうかはとても重要です。統合失調症の治療には、早期発見と早期治療が欠かせません。症状に気づいてから治療を開始するまでの期間が短いほうが治療効果が高いといわれています。

参考:発症からの経過と症状 Mentally 統合失調症の方にしてはいけないこと|家族の正しい接し方・治療法

統合失調症の初期症状

統合失調症の初期症状では、病気の前触れの変化がみられます。

感覚が過敏になり、ささいな物音や光に敏感に気づくようになります。人混みの中にいると誰かから「見られている感じ」がすることも。見られている感じは自室にひとりでいる時でも生じます。

自分の意図しないタイミングでとりとめのない考えが頭に次から次へと浮かんでくる「自生思考」が現れます。忘れていた昔の記憶をふと思い出したり、急に頭の中に言葉やイメージが浮かんできたりして、目の前の物事に集中できなくなりがちです。

何に追われているわけでもないのに緊張感が起こり、焦る気持ちがわいてくることもあります。落ち着かないため、睡眠不足になりやすく、過労が生じやすいでしょう。人によっては食欲不振や頭痛が起きることもあります。

上記の症状は他の精神疾患にも当てはまるものです。症状が2週間以上続いているようであれば、一度精神科や心療内科を受診してみるのをおすすめします。

統合失調症の方への上手な接し方

統合失調症の幻聴が起こる原因は不安や孤立、過労や不眠であるといわれています。精神科の薬は、不安や不眠にはよく効きます。過労にも半分くらいの効果はみられますが、負担の全てを取り除くことはできません。

また孤立の問題は、服薬治療のみでは癒されない部分として残ります。孤立の問題に薬が効かないからこそ、癒すためには人の力、家族の協力が欠かせません。家族や周囲の人が適切な接し方を知っていることも必要です。

参考:大塚製薬株式会社 すまいるナビゲーター「回復を促す家族の接し方」

参考:2016年 日本評論社 原案・監修 高森信子 マンガ・構成 中村ユキ『マンガでわかる!統合失調症 家族の対応編』

1.甘やかしすぎない・子ども扱いをしない

例えば、患者の部屋が散らかっているのをみて家族が「いい加減に片づけなさい!」といってしまう時。この場合、上からものをいう「縦の関係」になってしまっているといえます。患者とはいえ、子ども扱いをすればプライドが傷つきます。

聞き入れて欲しいことがある時は、お願いとして声をかけるのがポイントです。「お願い、部屋の机の周りだけでも掃除してもらって良いかな?」と声をかけることで「横の関係」を作ることができ、動いてもらいやすくなります。

2.相手の意思・発言を尊重する

家族や周囲の人は普段、忙しいことが多いので、つい本人が何か話したそうにしていても適当に聞き流してしまいがちです。患者は絶えず家族の顔色を伺い、愛情をはかる敏感さを持った人たちです。自分の気持ちが大切にされない雰囲気があると不安になります。

話をするときは手を休めて、視線を合わせるだけでも「受け止めてもらえている感」が伝わります。相手の方をきちんと向くことも忘れずに。

3.話は最後までしっかりと聞く・遮らない

幻覚や幻視、妄想を私たちは体験していないので、本人がいくら訴えても「そんなことないよ」と安心させるつもりでつい否定してしまいがちです。家族が良かれと思ってする助言は、時と場合によっては本人を否定する言葉になってしまいます。

本人の話を最後までしっかりと聞く。話し終えるまでは遮らないことを心がけるだけでも、本人は「聞いてもらえた」と救われる気持ちになるものです。

4.冷静さを失わない・大袈裟な反応をしない

患者から「隣の住人を殴ってやりたい!」と物騒なことをいわれれば、家族や周囲の人は当然衝撃を受けます。つい本人の発言に巻き込まれ、大騒ぎをしてしまうかもしれません。この場合は「反復確認」が効果的です。

反復確認は、とっさにどう返事をして良いかわからない場面で効果を発揮します。「隣の人を殴ってやりたいと思ったの?それはどうしてかな」と反復確認に続けて質問をするようにすると、本人がそう考えるに至った事情を理解でき、共感につなげることができます。

5.自分でできることは全て任せる

統合失調症は患者の甘えで発症するわけではありませんが、だからといって過保護にしすぎるのも問題です。本人が自分でやりたいと思うことや、やればできることまで手を出さないようにしましょう。

ある程度できることが増えてきているなら、少しずつ本人に任せることも大切です。受診の際の送り迎えをやめてみて、本人が自分で公共の交通機関を使って行き帰りできるよう任せてみるのも1つの方法です。

6.無理してる時は休みを提案する

例えば、算数が苦手な小学生を塾に通わせようと思うなら、その子が今何年生レベルであるのか確かめますよね。たとえ4年生だったとしても本人の実力が2年生レベルであれば2年生のドリルから学習を始めると思います。

それと同じで、統合失調症の患者でも本人のできることは何か、できないことは何かを見極めるのが重要になります。できるけれど疲れる場合もあるので、無理していそうであれば休みを提案することも大切です。

7.本人の習慣やルールを邪魔しない

一見、家族や周囲の人からみると問題行動にみえても、本人なりの解決行動だったということはよくあります。電気を消さない、部屋を片づけないといった問題行動でも、いったん本人に理由を聞くようにしましょう。

電気がついていたり、物が部屋にあったりした方が安心できる人もいます。安心のための解決行動であれば、無理の本人の習慣やルールを邪魔しないようにするのも大切です。また、問題行動以外の方法で安心感を得られるようにし、問題行動を減らす方法もあります。

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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