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精神対話士とはどんな職業?必要な資格はある?
私たちはみんな、少なからず心に寂しさや孤独を抱えています。ときには自分でストレスを発散したり、誰かに話を聞いてもらったりして心をメンテナンスし、前向きな気持ちであるように努めます。
精神対話士は、この「耳を傾けて熱心にきくこと=傾聴」に特化した職業です。民間資格のため公認心理師のような国家資格に比べて誰でも取得しやすく、悩める人の心のケアができる職業として今注目されています。
今回は、精神対話士の仕事内容や資格の取り方についてご紹介します。医療現場だけではなく、老人ホームや福祉施設、学校などさまざまなシーンで活躍できる精神対話士。職業への理解を深め、未来へのビジョンにつなげていきましょう。
精神対話士とは
精神対話士は1993年に誕生した民間資格です。一般財団法人メンタルケア協会が発行しており、心理資格の中では比較的歴史があります。対象となるクライアントは、孤独や寂しさなどの心の問題を抱えている人です。
心理カウンセラーとの違いは、心理療法を行わないことです。精神対話士はあくまで対話を主軸にして心を癒し、クライアントが前向きな心を持って日々を過ごすためのサポートを行います。また精神対話士は派遣業務として訪問によるメンタルケアも行います。
精神対話士の業務では、心の病の治療は目的としていません。傾聴と助言の中でクライアントの自己理解を支援しつつ、聞き手のスペシャリストとして苦しみに寄り添います。
参考:内閣府認可一般財団法人メンタルケア協会「精神対話士とは」
精神対話士の主な仕事内容
精神対話士の主な業務はクライアントの悩みを傾聴することです。正しい知識を身に付けた上での傾聴は、さまざまなシーンでクライアントの心をケアします。
ここでは、精神対話士の仕事内容についてご紹介します。主な業務として3つをご紹介しますが、精神対話士は他にも幅広いシーンで活躍しているためぜひ調べてみてくださいね。
1.企業の健康相談センターでのメンタルケア
精神対話士の活動は幅広く、心に悩みを抱えているあらゆる人に寄り添いながら問題解決の手助けをします。なかでも企業の健康相談センターでは、仕事や子育てなどさまざまな不安を抱えている多くの人に対してメンタルの専門家としてアドバイスを行います。
カウンセラーとして企業に所属することもあれば、ハローワークで失業や就職に関するメンタルケアを行ったり、老人ホームや児童センターなどから依頼がかかったりすることも。フリーランスとして活躍することもあれば、派遣先に出向く場合もあります。
2.スクールカウンセラー
スクールカウンセラーは、学校施設に配属され生徒や教職員の心のケアを行う仕事です。思春期特有の悩みを聞くことや、引きこもりやいじめなどのトラブルの解決にも心理面から関わります。ときには生徒の保護者にカウンセリングを行う場合もあります。
スクールカウンセラーの目的は、学校や教育に関わる人たちの精神的な負担を軽くすることです。業務の中心はカウンセリングですが、教職員や保護者に講演を行うことで課題を共有し、学校生活におけるトラブルの予防・解決に努める場合もあります。
3.指導精神対話士
メンタルヘルスへの理解が重要視されている昨今では、精神対話士を始めとした心の専門家の需要が高まっています。次世代に続く精神対話士を育成するための職業が、指導精神対話士です。
精神対話士になるためには民間資格の取得が必要ですが、資格取得後に専門課程を修了することで指導精神対話士になることが可能です。指導精神対話士は、精神対話士・指導精神対話士・講演会講師になりたい人たちへ向けて指導を行います。
精神対話士になるために必要な資格
精神対話士は、「内閣府認可一般財団法人 メンタルケア協会」に認定されることで付与される資格です。認定されるためにはメンタルケアスペシャリスト養成講座を修了した上で、精神対話士選考試験に合格する必要があります。
メンタルケアスペシャリスト養成講座では、基礎課程と実践課程の2種類の過程を受講・終了します。精神対話士選考試験では集団面接と個人面接が行われ、基礎課程と実践課程の修了レポートの評価により合否が判定。約1ヵ月後に結果が発表されます。
精神対話士選考試験の試験料は無料ですが、不合格になってしまうとメンタルケアスペシャリスト養成講座の基礎課程から受講し直す必要があります。またレポート採点で不合格となった場合には、基礎課程と実践課程のうち不合格になった課程の再受講が必要です。
精神対話士の試験の合格率は、平均15%ほど。決して高い合格率ではないことがわかります。とくに面接やレポートでの審査が重要視されるため、参考書を丸暗記して試験に臨む方法は使えません。
合格のためにはしっかりと講座の内容を聞き、情報を整理してまとめる力を身に付ける必要があります。