母親がヒステリック…これは病気?臨床心理士が教える、対処法&正しい接し方

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すぐ怒る母親に疲れた…正しい接し方が知りたい…

何かの拍子に一旦、怒りに火がつくと、誰が何をいってもおさまらない。怒ったかと思いきや突然泣き出すこともある。怒ると手が出たり、物を投げたりすることも。こちらが正しいことを言うと、逆上して「うるさい!黙れ」と支離滅裂なことを言う。

母親が上記の特徴に当てはまると感じるようであれば、あなたは相当怒りに振りまわされ、疲れているはずです。このように感情の起伏の激しい人のことを一般的に「ヒステリー」と呼ぶことがあります。

本記事では母親のヒステリーについて、そもそもヒステリーとは何なのか対処法も合わせて紹介しています。自分を必要以上に疲弊させてしまわないためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ヒステリックとはどんな症状・状態?

ヒステリーという言葉は、一般用語と心理学用語のどちらにも用いられる言葉です。

一般的に「ヒステリー」は突然怒りだしたかと思いきや泣き出す、感情の起伏の激しい人を意味する言葉として用いられます。「彼女がヒステリックで困る」、「お局さまがヒステリックで……」といった言い回しは、誰しも一度は耳にした経験があるのではないでしょうか。

ヒステリック(hysteric)の語源はギリシャ語のhusteros(子宮)に由来します。昔のギリシャ人は、女性のさまざまな病気の原因が子宮に由来するものと考えていました。現代においても、月経前症候群(PMS)の女性はイライラしやすい、といった表現として受け継がれています。

一方で心理学用語のヒステリーは、無意識の心の不安や葛藤が体の症状として現れるものを意味し、一般用語とは区別して用いられます。

母親がヒステリーを起こしてしまう原因

母親がヒステリーを起こしてしまう原因は躁うつ病を含む精神疾患、月経前症候群や更年期障害、母親自身のトラウマなどさまざまです。原因が身体疾患であれば、婦人科を勧めるのもひとつの対処方法です。

母親を1人にせず、頼れるサポート先を持っていてもらうことで、ヒステリックにならずに済む環境を作ることは大切です。母親自身の生きづらさや精神疾患が疑われる場合は、信頼できる人から専門医やカウンセラーを勧めてもらうようにしましょう。

1.躁うつ病を含む精神疾患

躁うつ病は、気分の高まる「躁状態」と気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す心の病気です。躁うつ病の人は、気分が高揚する躁状態の時に怒りっぽく攻撃的になる特徴を持っています。

統合失調症を発症すると、神経が過敏になりイライラしたり怒りっぽくなったりすることがあります。ほかにも、アルコール依存症の場合はお酒が切れるとイライラしやすくなることも。

参考:厚生労働省「双極性障害 躁うつ病」
参考:厚生労働省「統合失調症」

2.月経前症候群や更年期障害

月経前症候群とは、月経前3〜10日の間に生じるイライラや不安などの情緒不安定、むくみやお腹の張りなどの身体症状をいいます。月経前のイライラや怒りっぽさが著しい場合は月経前不快気分障害(PMDD)の可能性が高まります。

更年期障害が起きると女性ホルモンが減少し、幸せホルモン「セロトニン 」が不足するため、感情コントロール力も弱まりイライラや起こりっぽさを生じやすくなります。

参考:厚生労働省 eヘルスネット「更年期障害」
参考:厚生労働省「月経前症候群(PMS)月経前不快気分障害(PMDD)チェック」

3.母親自身のトラウマ

ヒステリックな母親は、自分自身にトラウマ記憶があり、過去に実の母親からヒステリックに怒られたり、なじられたりして傷ついた経験があることが少なくありません。これを世代間連鎖といいます。

母親自身にトラウマがあると、子育ての中で過去の自分の傷つき体験が再体験(フラッシュバック)し、つらい記憶や不快な気分から逃れるために心身が過剰に戦闘モードとなり、イライラしたり怒りっぽくなることがあります。

ヒステリーを引き起こす病気

突然怒り出したかと思いきや泣きだすといった、感情の起伏の激しいヒステリーの起こりやすい病気は複数あります。躁うつ病や統合失調症などの精神疾患と、月経前症候群(PMS)や月経前気分障害(PMDD)などの身体症状が代表的なものです。

そのほか、甲状腺関連の病気でもイライラは生じます。例えば甲状腺機能低下症(橋本病)になると、代謝が落ち疲れやすさやむくみを感じやすくなります。一時的にホルモンが過剰になるとイライラや動悸が起こることもあるため注意が必要です。

大人の発達障害の場合も、母親にパニックが生じるとイライラしたり爆発したりしてしまう場合があります。仕事や家事など同時にこなさなければならないタスクが複数あったり、予定通りに物事が進まなかったりすると許容量を超えてしまいやすいです。

参考:日本内分泌学会「橋本病(慢性甲状腺炎)」

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あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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