【産後うつとは】主な原因・症状・治療法、産後うつの全てを徹底解説!

メンタルヘルス

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出産後から、精神状態が不安定かも…

待望の赤ちゃんに会えたのに理由もなく気分が落ち込んだり、家事や育児だけでなく趣味も楽しめなくなったり、将来を想像して心配になったり。また、泣いている我が子を見て、いつまで続くのか不安になった経験はありませんか。

気分の不安定さが産後急に現れたのなら、それは産後うつの前兆かもしれません。ほとんどは一過性のマタニティブルーで2週間以内に気分の波は落ち着きますが、長引く場合には注意が必要です。

産後うつとは?

産後うつ(Postnatal Depression)とは、出産後およそ10%の女性が発症するうつ病のことです。気分の落ち込みやイライラ、子育てへの不安といった症状が現れることが多いでしょう。

同じような意味の言葉に「マタニティブルー」があります。マタニティブルーは軽度の産後うつで、出産後2〜3日で症状が現れ、2週間以内に治まるのが特徴です。

DSM−5(アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアル)では、産後うつは出産後数ヵ月以内に発症し、症状が2週間以上続くものと定義しています。マタニティブルーより長くなりやすいでしょう。

2016年以降、妊産婦の自死が母体の死亡原因の1位であることが厚生労働省の調査で明らかになっています。また、経産婦よりも初産婦のほうが産後うつになる割合は高いといわれています。

産後うつは妊産婦の命に関わることがある精神疾患です。そのため、正しい知識と対処法を知っておくことが大切です。

参考:産経新聞「産後の「鬱」、妊娠中から注意を 周産期の死亡原因は自殺が最多」

【産後うつ】よく見られる5つの原因

産後うつには複数の原因があり、それらが重なり影響しあった結果、発症すると考えられています。

うつになると、泣いてばかりの赤ちゃんを見て「うまくあやせない私が悪い」と自分を責めてしまうことがあります。自責感もうつ病の症状のひとつです。母親のせいではなく、産後うつのせいで負の感情がわくのです。

パートナーや家族は「なぜ自分だけがこんなに不安でつらいのか」と母親が思わないようにサポートすることが大切です。

1.マタニティーブルー

赤ちゃんが生まれ幸せなはずなのに理由もなく涙が出る、気分が落ち込んでしまうのがマタニティブルーです。2週間以内におさまるなら、産後の正常な心身の変化と捉えて問題ないでしょう。

マタニティブルーが起きるのは、妊娠中に多く分泌されたプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)が出産後、急激に減少するのが原因といわれています。慢性化すると産後うつへ進行するおそれがあるため、パートナーや家族は産後のサポートが特に重要になるでしょう。

2.パートナーの協力・サポート不足

産後数週間以内はホルモンバランスが乱れ、イライラしやすくなります。子育てに没頭するあまり、ついパートナーにきつい言葉をあびせてしまうことも。もし、パートナーのサポートが不足しているなら、さらにイライラしてしまいますよね。

イライラしたら「ああ、イライラしてるな」と機嫌が悪くなっている自分を認めてあげましょう。子どもが生まれると、ぜんぶ自分でやろうとがんばりすぎる人がいます。だからこそ、完璧な母親になろうと思い込まないのが大切です。

3.分娩後に見られるホルモンの乱れ

普通分娩は体に外傷が見られないので、「退院=元気に育児ができる状態」だと勘違いされがちです。しかし実際は骨盤や子宮の痛み、ホルモンの乱れによるメンタル不調などさまざまなトラブルを抱えている状態なのです。

ホルモンの乱れによるトラブルを軽減するには良質な食事が欠かせません。大豆食品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをすることで有名です。豆腐や納豆、味噌など大豆食品を積極的にとるよう心がけましょう。

4.妊娠前・妊娠中に発生したうつ病が続いている

うつ病の既往歴がある人が妊娠すると、胎児への影響を考慮し、抗うつ薬の中断を選択することがあるでしょう。一部の抗うつ薬は心奇形の確率をわずかとはいえ高めるとされ、薬を中断した場合うつ病を再発する確率は68%だといわれています。

妊娠中も抗うつ薬を飲むべきかどうかは、メリットとデメリットを比較して決めましょう。うつ病の薬物療法ガイドラインでは、うつ病の再発リスクが高いなら、妊娠中も産後も抗うつ薬を使用したほうがいいと定められています。

参考:ひだまりこころのクリニック「うつ病で治療中の妊娠、注意したほうがよいことは?」

5.コロナ禍の経済的な不安

株式会社ベビーカレンダーが2020年4月に調査したアンケートでは、コロナ禍でも就労妊婦のおよそ26%が時差出勤や在宅勤務をせず、「通常通りの出勤」をしていました。また、退職を選択した人は全体の約3%でした。

データからわかるように、時差出勤や在宅勤務が認められず、感染リスクを抱えながら働かざるを得ない人、自主的に退職した人がいるということです。就労を続ければ感染リスクが、退職すれば金銭的な不安が高まります。

参考:株式会社ベビーカレンダー「妊婦さんに緊急アンケート!新型コロナウイルス感染拡大による影響は?就労妊婦の約4人に1人は「通常出勤」が続き不安の声」

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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