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3 .徐々に依存が強まり症状が悪化していく
「今日は5000円しか使わない」と決意を持って公営ギャンブルに出かけたとします。最初はそれで済んでいたのでしょう。
しかし、高配当の馬券や舟券を当てて脳内物質に異常が起き、高揚感を得ると、同じ決意を持っていても徐々に使う金額が大きくなります。その結果、自分の給与を全部使ってしまったり、家族のお金に手をつけてしまったりすることもあります。
4.周囲の人を巻き込んでしまう
ゲーム障害の場合、家に1台しかないテレビを占拠することが原因で、そのことで家族トラブルになることもありえます。そのため、新しいテレビを買いに行かねばならなかったり、兄弟姉妹たちをなだめたりする必要があります。
昼夜逆転の生活になってしまうと、生活リズムの違う生活をしている家族に対して邪魔だと怒ったり、殴ることもあるでしょう。
このように周りの人間を巻き込んでいくのが依存症なのです。
5.依存しているものを中心にした考え方や生活になる
依存しているものを中心にした生活や考え方になります。覚醒剤を使って性行為に及んだり、覚醒剤を手に入れるために売人を探しに行ったりします。
時には会社に行くこと、学校に行くこともやめてしまい、依存している仲間と連れ立ち、小言を言うような人から離れていきます。そして、覚醒剤を手に入れるお金を稼ぐため夜のお仕事に手を出したり、パパ活に手を出したりします。
参考:神奈川県警:薬物乱用者
6.最終的には全てを失う
依存症を最終的に治療しなければと決意するのは、底尽き体験というものが必要であるという考え方があります。
底尽き体験というのは、依存症を中心とした生活になり、依存している物質のために家にある金銭を使ったり、家庭内暴力に及んだりすることが続いたために、家族から見捨てられます。
さらに、会社や学校も素行にあまりにも問題があれば、クビになったり退学を余儀なくされたりします。
本人が持っているものを何もかも失うことを「底つき体験」といいます。ここまでの経験をすればさすがに治療意欲が湧くのではないか、という考え方がありました。
現在では底つき体験の状態に至るまでに早期発見・早期治療をしましょうという考え方になっています。底つき体験までいくと社会的損失が大きいからです。
依存症が生活に与える5つの影響
1.睡眠が疎かになる
人間は寝ないと生きていけません。しかし、寝ずにゲームをしたり、お酒を飲んだり、生きていくために必要な睡眠よりも優先してしまうのが依存症の人です。
2.食事が疎かになる
食事を適切に摂ることも生きていくために必要です。依存症の人は必要な食事すらも疎かにしてしまいます。ご飯を食べずにアルコールを飲み続けて栄養失調になる人もいます。韓国では食事を取らずにゲームをし続けて死んだ人もいるのです。
3.正しい選択ができなくなる
仕事に行く前からお酒を飲んだり、仕事に行かないでギャンブルをしたりするのは、常識から考えればあり得ません。依存症の人は正常な判断ができなくなっているので、仕事に支障をきたすありえない行動をとってしまいます。
4.物事の継続(仕事など)ができなくなる
仕事の間は依存しているものに触れることができなくなります。それが耐えられなくて仕事をすぐに辞めてしまったり、仕事中にお酒を飲んでクビになったりすることもあります。働き続けられないのも依存症の特徴です。
5.家族が共依存の関係になる
依存症を持つ人と家族の関係はとても難しいものです。
依存症が作り上げる家族の関係性は、実は依存症の患者とそれに抵抗する家族という単純な構図だけではありません。ここでは「イネーブル」という家族の関係性を紹介します。
イネーブルとは、依存症に陥っている本人と、依存度を助長するような家族との関係のことを言います。
例えば、本人に暴力を振るわれるのが怖くて、自ら進んでお酒を買いに行ったり、本人をスーパーまで連れて行ったりして、どんどん依存させていきます。
また、けんかの尻拭いをしたり、本人も家族もどちらも非難される行動をとるため、気持ちがお互いだけに向き合ってしまいます。これを共依存といいます。
何かに依存してしまう理由は?
何かに依存してしまう理由はさまざまです。アルコールであれば、最初は週に1回の晩酌で済んでいたのに、何かストレスがかかって晩酌の回数が増えていきます。気付けば休肝日もなくなり、どんどん飲酒の量が増えていき、アルコール依存症になることもあります。
覚醒剤であればダイエットに効くとだまされて使いはじめ、気づいたら依存症になり、抜け出せなくなることもあります。
ただ、どんな依存症にも言えることは、きっかけは「ささいなこと」なのです。そのささいなことが積み重なって依存症になってしまうのです。誰にでも依存症になることはあるのです。