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感情のコントロールができない…喜怒哀楽が激しい…
事故や認知症の影響で脳血管障害を抱えている家族が突然、ささいなことで怒ったり泣きだしたりするようになった。原因がはっきりわかることもあれば、理由なく感情のコントロールができなくなることもある。あまりに喜怒哀楽が激しいので、家族やパートナーとしてどう接するべきか悩んでいる。
上記に思いあたることがあれば、それは感情失禁かもしれません。感情失禁は決して本人の甘えで生じるものではなく、前頭葉に影響の及ぶ疾患や障害により生じる状態です。
本記事では、感情失禁とは何なのか、原因や症状、その対処法などを順番に紹介しています。身近な人が感情失禁であり、どう接するべきか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。
感情失禁の意味とは
感情失禁とは脳出血や脳梗塞、脳損傷など脳機能に関わる障害を抱える患者が、通常であれば感情が大きく動くほどでもないささいな出来事に対して気分が高揚し、泣いたり笑ったり、怒ったりする様子をいいます。
尿失禁が本人の意思に関係なく尿が漏れてしまう様子を指すのと同様に、感情失禁は本来そこまで感情が揺れる出来事でなくても泣き笑いしてしまう様子を指します。認知症のひとつである血管性認知症も、感情失禁の生じやすい疾患であるといわれています。
感情失禁は精神医学用語であり、日常ではあまり耳にする機会のない言葉かもしれません。用語は患者の状態を決めつけるためでなく、理解を深めるために用いることが大切です。
感情失禁の症状
感情失禁とは、通常であれば感情が大きく動くほどでもない出来事に対して気分が高揚し、泣いたり笑ったり、怒ったりする様子をいいます。脳機能に関わる障害や、血管性認知症により生じるのが特徴です。
他の精神疾患、例えば躁うつ病でも怒りっぽくなることはありますが、これはささいなことをきっかけにして周囲に対して不機嫌な態度で反応する易刺激(いしげき)性であり感情失禁とは異なります。うつ状態で涙もろくなることも、原因が異なるため区別されます。
1.ささいな出来事にも大きく反応してしまう
極端な例を挙げるなら、道端に咲いている花をみただけでも感動してしまい、涙を流しながら「きれいね」というように、感情の振れ幅が大きくなります。周囲の人からみたらささいな出来事でも本人にとっては大きな出来事となるのです。
ネガティブな感情もより大きく感じられてしまうのが玉にきずですが、ポジティブな感情もより大きく、感情豊かに感じられるようになる良い面もあります。支障が出ない範囲であれば感じやすさもその人の個性の一部といえます。
2.場面にそぐわない感情が出てくることがある
外出中や、親しい人以外にも人が集まる場所にいる場において、場面にそぐわない感情が突然出てきてしまうことがあります。泣いたり笑ったり、怒ったりとその時々で生じる感情はさまざまです。
このような場面では、本人も周囲の人も気づかないうちに何らかの刺激が本人に影響を及ぼし、場面にそぐわない感情が誘発されている可能性が高いです。
3.一旦、感情が高揚すると自分では抑えられない
場面に応じているかそぐわないかに関わらず、いったん感情が高揚すると自分では抑えられなくなるのも特徴のひとつです。特に怒りは、瞬間湯沸かし器のように一度湧くとなかなか止められません。
周囲の人が止めに入ると、それが刺激になりさらにヒートアップしてしまうこともあるため注意が必要です。本人も、高揚したくてしているわけではないのです。本人の意思とは関係なく、感情に突き動かされている状態です。
4.周囲の人とのコミュニケーションに支障がでる
感情失禁により感情表現が大きくなったり、場にそぐわない感情が生じたり、いったん高揚するとなかなか止められなかったりすることで家族やパートナー、友人など周囲の人との関係に支障をきたすことがあります。
極端に大きな感情表現をされてしまうと、受け止めきれずに戸惑ってしまう周囲の人は多いかもしれません。感情的な患者に対してつい周囲の人も感情的になってしまい、収拾がつかない状態になることも。