【自律神経失調症の症状】原因やセルフケアを臨床心理士が解説

メンタルヘルス

この記事を監修してくれたのは…

更年期で情緒不安定になる…これって病気?

最近、何もなくてもイライラすることが増えた。頭痛や耳鳴り、肩こりもひどい。顔がほてる感じがして熱を測ってみるものの体温には異常がみられない。「これってもしかして更年期?」と思うものの、よく分からない。

上記のような症状がみられたら、自律神経失調症かもしれません。自律神経失調症は、どんな人も発症する可能性がある一方で、特に更年期に現れやすいという特徴もあります。

更年期にさしかかると女性ホルモンの分泌量が減少するため、脳の視床下部と下垂体がホルモンバランスを回復させようと一生懸命指令をだし、混乱します。

視床下部や下垂体は女性ホルモンの分泌だけでなく、自律神経や内分泌系、免疫にも関わる体の重要な器官です。視床下部や下垂体が混乱すると、その影響が自律神経にも及び自律神経失調症を引き起こします。

本記事では、自律神経失調症の特徴や症状、対処法をまとめています。思い当たる症状のある人はぜひ参考にしてみてくださいね。

更年期にも現れやすい自律神経失調症とは?

人間の神経は脳から脊髄を通り腰まで届く中枢神経と、身体中に網の目のように張り巡らされている末梢神経に分かれています。コンピュータに例えるなら、前者は本体で後者は情報を伝えるケーブルコードです。

末梢神経はさらに、自分の意思で動かすことのできる運動・感覚を司る体性神経と、自分の意思で動かすことのできない交感・副交感神経を司る自律神経に分かれます。自律神経は、肺の呼吸や心臓や血管の循環、胃腸などの消化器の活動を調節する神経です。

自律神経失調症とは、不規則な生活リズムや精神的ストレスなど、何らかの原因により自律神経のバランスが崩れた状態をいいます。自律神経のバランスが崩れると不眠や体のだるさ、動悸、息切れ、めまい、イライラ、気分の落ち込みなどのさまざまな症状が現れます。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経失調症」

自律神経失調症の原因

自律神経は、人間の心身が脅かされるストレスフルな緊張状態でパフォーマンスの発揮に役立つ交感神経と、休息・睡眠時に働く心身のリラックスに関わる副交感神経に分かれます。

車のアクセルとブレーキのように、両者は1日の中で入れ替わり立ち替わり働きます。主に日中の活動時は交感神経が優位になり、休息・睡眠時は副交感神経が優位になることが多いです。

1.不規則な生活リズム

連休や海外出張の影響で夜更かしや不規則な生活リズム、偏った食生活が続いているとき、季節の変わり目の時期などに自律神経が乱れやすくなります。

不規則な生活リズムの影響で体内時計が狂ったり、偏った食事によりビタミンやミネラルなど体の機能を調節する栄養素が不足したり、日照時間や気温、湿度が変化したりするためです。

2.精神的ストレスが多い

人体はストレスフルな状態に居続けると、ストレスに対処するため交感神経が優位になります。緊張状態が一時的なもので済めば良いのですが、慢性的なストレスにさらされ続けていると体はアクセルを踏み続ける状態となり、心身に負担がかかります。

本来、夜間は副交感神経が優位になる時間帯ですが、ストレスの影響で常に交感神経が優位な状態が続くと、体を休息モードに切り替えにくくなり、不眠症やうつ病を発症しやすくなってしまうのです。

3.更年期障害の影響

女性が閉経(1年間月経のない)状態となるのは平均50.5歳ですが、これを挟んだ前後10年間を更年期と呼びます。卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンは、20〜30代をピークに40代以降急激に減少するため更年期障害が起きるのです。

女性ホルモンの影響で自律神経が乱れると、交感神経が優位になりほてりや発汗、冷え、めまい、頭痛、動悸、イライラ、無気力、不眠などさまざまな症状が現れやすくなります。

参考:厚生労働省研究班「更年期障害とは?」

自律神経失調症の症状

自律神経は全身の器官をコントロールしているため、バランスが崩れると全身の機能に影響を及ぼし、体中にさまざまな症状を引き起こします。症状の程度も人によってさまざまで、軽度のこともあれば重度なこともあります。

中には気分の落ち込みや疲労感、食欲低下などうつ病と症状の重なる部分もあります。自律神経失調症の症状だと思っていても、他の身体・精神疾患の可能性があることを覚えておきましょう。

1.全身的な症状

自律神経失調症の状態になると、交感神経が優位の状態が続くため、体はエネルギーを消耗します。結果として体のだるさや疲れが取れないといった症状が現れます。

夜間の睡眠時は副交感神経が優位になるはずですが、自律神経失調症の状態になると交感神経が優位となるため、寝つきが悪くなり、眠れないといった症状が現れることも。

2.器官的な症状

体の各部位に生じる症状には、体のほてりや冷え、頭痛、耳鳴り、めまい、瞼のけいれん、喉の詰まった感じ、動悸、息切れ、首肩の凝り、皮膚の痒みなどが含まれます。

自律神経が乱れると免疫系にも影響が及ぶため、風邪を引きやすくなったりウイルスに感染しやすくなったりします。

3.精神的な症状

精神的な症状としては集中力の低下、物忘れ、イライラ、不安、気分の落ち込みが該当します。交感神経と副交感神経が目まぐるしく切り替わることにより気分に波が生じ、情緒不安定になるのが特徴です。

ストレスの影響で神経が過敏になるため精神的エネルギーを消耗し、集中力の低下や無気力、気分の落ち込みに影響します。

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

関連記事

特集記事

TOP