女性の自律神経失調症の症状が重い理由は?

ライフステージに伴い変化する女性ホルモンの影響を受けやすいことから、一般に男性よりも女性に自律神経失調症が多いといわれています。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、精神を安定させたり自律神経を整える作用を持ちます。女性ホルモンは妊娠や出産にとどまらず、毎月の月経、更年期とライフステージに伴い大きく増減します。

また、ストレスの影響により心身に負荷がかかると、女性の体は子孫を残すより命を守ることを優先するため、女性ホルモンの分泌や月経が止まってしまうことがあります。月経が止まってしまうのは、心身が緊張状態にあるサインといえるのです。

参考:厚生労働省「女性ホルモンとライフステージ」

自律神経失調症の治し方

病院や専門施設で受けられる自律神経失調症の治療法には、漢方療法と薬物療法、カウンセリングの3種類があります。薬物療法は西洋医学に、漢方療法は東洋医学に基づく治療法です。

西洋医学は薬や手術により体の悪い部分に直接アプローチができ、短期間で病気を治療できる一方で体に負担がかかりやすく、東洋医学は鍼灸やあん摩、漢方などの方法を用いて、時間はかかるものの根本的に体質を改善できるメリットがあります。

1.漢方療法

漢方療法では、医師が患者の証(体質や身体の反応などの状態)に合わせて漢方薬を処方します。

ストレスによる神経の高ぶり、消耗には桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)が、女性ホルモンに関する自律神経失調症には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が用いられます。他にもさまざまな種類の漢方薬が存在します。

漢方薬は飲めば必ず効果が現れるものではなく、体質や病態との相性もあるため、医師や薬剤師とよく相談して服用するようにしてください。

参考:厚生労働省 ヘルスケアラボ「女性と漢方」

2.薬物療法

自律神経失調症に主に用いられる薬は自律神経失調症薬や抗不安薬、睡眠薬の3種類です。自律神経失調症薬は、視床下部に作用し自律神経のバランスを整えてくれる作用を持ちます。頭痛や肩こり、立ちくらみに効果的です。

抗不安薬は大脳辺縁系に作用し不安を和らげる作用を持ち、精神的ストレスが原因の自律神経失調症によく用いられます。不眠の症状が出現している場合には、睡眠薬で睡眠リズムをコントロールすることも。

3.カウンセリング

精神的ストレスが原因の自律神経失調症の場合、カウンセリングを受けることでストレスを感じやすいものの考え方を修正したり、ストレスそのものとの付き合い方を見直したりすることが可能です。

そのほか、自分の心身の状態を客観的に把握するために気分や体調の記録をつけることも。症状の現れ方を客観的に分析し、症状への対処法を検討するとストレスの元を解消しやすくなります。

家でできる自律神経失調症のセルフケア方法

自宅でできる簡単なセルフケア法として、規則正しい生活リズムや食事、照明、運動を意識することが挙げられるでしょう。通常日中は交感神経が優位になり、運動や集中力の維持を助けるため、神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンが多く分泌されます。

夜間は副交感神経が優位になり、ドーパミンとノルアドレナリンの調節作用のあるセロトニンが分泌され、心身の休息をサポートします。自律神経のバランスを整えるため日中と夜間の自律神経の切り替えを意識し、メリハリをつけるのがポイントです。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」

1.規則正しい生活リズムを意識

自律神経のバランスを整えるために、昼は交感神経が優位に、夜は副交感神経が優位になるよう規則正しい生活リズムを送ることを意識しましょう。できるだけ決まった時間に食事をとることも生活リズムを整えるのに役立ちます。

人間の体は一旦体温が上昇しその後下降するときに眠くなるため、日中エアコンがよく効いた場所で過ごすことが多い人ほど、夕方に軽めの運動を取り入れたり、シャワーや入浴で体を温めたりできると良いですね。

2.バランスのとれた食事をとる

自律神経を整える作用のあるセロトニンを多く含む食事をとるようにしましょう。日中に摂取したセロトニンは、夜間にメラトニンへと変わり、良質な睡眠をサポートしてくれます。

セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンなどの心身に興奮や緊張をもたらす神経伝達物質の調整にも役立ちます。セロトニンを多く含む食べ物として代表的なのはバナナやアボカド、ヨーグルト、ナッツなどです。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」

3.適度な運動を取り入れる

自律神経を整えるために運動するなら、おすすめの時間帯は朝と夕方です。朝は筋肉の柔軟性が乏しくけがをする恐れがあるため、ウォーキングやヨガなどの激しすぎない運動をするようにしましょう。

夕方は体温が十分に上昇し脂肪燃焼しやすい時間帯なので、ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動が効果的です。日光を浴びたりウォーキングやジョギング、サイクリングなどのリズム運動を行うことでセロトニンの分泌量が増えます。

4.就寝1〜2時間前は照明強度を落とす

眠りを促すホルモンをメラトニンといいます。メラトニンは照明が明るい環境では分泌が促されません。そのため就寝1〜2時間前は照明強度を落とし、パソコンやスマホもナイトモードに切り替え眠気の生じやすい環境を作るようにしましょう。

照明の色味はオレンジの電球色がおすすめです。

参考:国立精神・神経医療センター 睡眠覚醒研究部「自宅待機中の睡眠健康を保つコツ」

つらい症状を抱えこまずに病院に相談することが大切

更年期障害や自律神経失調症で病院を受診するのは気が引けるという人、薬を飲みたくないため症状を我慢してしまっている人もいるかもしれません。しかし、社会生活に支障を来すほど症状に悩まされているなら、早めに病院に相談することもひとつの方法です。

よほど症状が重くない限り、更年期障害や自律神経失調症に対して医師が強い薬を処方することはまずないので、安心してくださいね。

思い当たる症状のうち更年期障害の症状が強い人は婦人科を、自律神経失調症の症状が強い人は心療内科を受診するのをおすすめします。あなたのつらい症状が少しでも早く改善されるために、本記事が役に立てば幸いです。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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