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HSPは他の人より疲れやすく、疲れが取れない…
HSPとは“Highly Sensitive Person”の略で、感受性が豊かで繊細な人たちの気質の総称です。近年、「自分もHSP・繊細な人かもしれない」と感じる人が増えており、社会的にも広く認知され始めています。HSPに当てはまる人は、“DOES”という4つの特徴を持っています。
- D:思考を深く処理すること(Depth of Processing)
- O:過剰に刺激を受けやすいこと(Overstimulation)
- E:感受性が豊かで共感力が高いこと(Emotional response and empathy)
- S:些細な刺激でも他人よりも気づきやすいこと(Sensitivity to Subtleties)
HSPは誰よりも感受性と共感力があり、些細なことにも気づきやすい一方で、情報過多になりやすくストレスをうまく処理できずため込んでしまいやすいところがあります。ストレスをため込んでしまうので、疲れやすくつらい思いをしながら過ごしている人が多いのです。
HSPは長所!改善策よりも上手く付き合うための対策を考えることが大切
HSPは社会で生きづらく疲れやすい気質であるため、「改善したい」「治したい」と思っている人も多いでしょう。疲れを感じると、「どうしてこんな気質を抱えてしまったのだろう」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。しかし、HSPは病気ではなく気質・個性のひとつであり、長所になる点もたくさんあります。
例えば、誰よりも感受性が豊かで共感力も高いHSPさんには、人に対して気遣いができる人が多く、周囲の人から好かれます。些細なことにも気づくので、他人が気づかないような新しい発見ができたり、仕事の小さいミスでも見逃さずに損失を未然に防いだりできることも。また、芸術や音楽に触れるとき、誰よりも深く感動できることもHSP・繊細な人の特徴だと言われています。他の人が感じないような川のせせらぎや青い空、風のささやきにも深く感動し、良い影響を受ける一面もあるのです。
このように、HSPは悪い面ばかりを意識してしまいがちですが、素晴らしい一面もあります。HSPをつらい性質と考えてしまうのではなく、どのように向き合うのかを考えることが重要です。そして、HSPによって生じる疲れの取り方や、嫌な刺激を避ける対策など、上手く付き合っていくための方法を考えてみましょう。
HSP・繊細な人が取り入れるべきストレスをためない方法
HSPを抱える人は「生きづらい、苦しい」と感じてしまうほどストレスや疲れをため込みやすいもの。HSPのポジティブな一面を際立たせ、ネガティブな一面をできるだけ鎮められるように、ストレスや疲れをため込まない方法や疲れの取り方を意識することが大切です。
ここでは、HSP・繊細な人が取り入れるべき疲れの取り方を5つご紹介します。自分の感情にしっかり向き合い、つらくなりすぎる前に対策を取れるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.自分の感情を受け止める
つらいことや悲しいことがあると、自分の感情から目をそらしたり我慢してなくそうとしたりしますよね。しかし、それらの行動はむしろ自己否定につながり、余計にストレスや疲れをためることも少なくありません。
自分の感情を避けようとするのではなく、受け止めて理解することでHSPの特性を前向きに考えられます。なぜあなたがつらくなってしまうのかが理解でき、疲れてしまう前に気づけるようになります。自己否定も少なくなり、自分を傷つけることがなくなります。
2.文字にして感情を吐き出す
HSPの人は、物事を深く考えすぎてしまい感情に振り回されてしまいます。他人からの影響を受けやすいので、本当の気持ちを見失うこともあるでしょう。結局何を考えているのかもわからなくなり、ネガティブな感情に追い込まれ自分を責めてしまいます。
しかし、感情を書き出せばあなたが何を考え、何を悩んでいるのかが明確になります。対策や解決策もはっきりして、行動を選択しやすくなるのです。あなたの感情をありのままに、何も書けなくなるまで書き出してみましょう。心が落ち着いていくのが実感できます。
3.ヨガで体を動かす
ヨガで体を動かすことも疲れの取り方としておすすめです。ヨガは自分の体の感覚や呼吸に意識を集中させながら体を動かしていくものです。一連の動作によって自分の感情にも集中でき、ストレッチでリラックスしていく感覚をより繊細に感じ取れます。
自分の感覚に集中している間は、外部からの刺激も気にならなくなるでしょう。体がほぐれていくうちに心が落ち着いていき、ストレスと疲れが解消されていきます。
4.マインドフルネスで心を穏やかにする
HSPはネガティブな感情を生み出す扁桃体が活発に働いているので、ストレスを感じやすいのです。また、考えすぎる性質は前頭前野の発達が原因で、疲れがたまりやすいのは脳の過剰な活動で脳疲労を起こしていることがわかっています。
たまった脳の疲れの取り方としておすすめなのは、マインドフルネスです。マインドフルネスは、前頭前野と扁桃体の活動を抑え、自律神経を整える効果があるのです。自分の感覚に集中するので、思考と感情の整理をする時間にもなります。5分間のマインドフルネスでも効果を実感できるので試してみてください。
5.自然環境音を聴く
川のせせらぎや風に吹かれる木々の音を聴いていると癒されますよね。自然の音を聴くのも心の疲れの取り方としておすすめです。
電子機器や車の音ばかりが耳に入ってくる生活は、HSPの人にとって常にストレスにさらされているようなものです。仕事が忙しくなかなか自然のある場所に行けない人も多いでしょう。しかし、自然に直接行かなくても、動画サイトで聴ける自然の音だけでも高いリラックス効果があるとわかっています。あなたの好みの自然を探して、日常に自然の癒しを取り入れてみてください。
出典:NEWSWEEK 自然の音を聞くと気分が落ち着く…は、科学的に実証されている
ストレスや疲れを、未然に防げるようになろう!
4つの疲れの取り方は一度試すだけでも、高いリラックス効果ができます。しかし、全てを無理に行う必要はありません。自分に合うものを見つけて、楽しめるものを習慣にしましょう。
もちろん、完全に解決することはできませんが一つでも多くの対策をしておけば、安心して過ごせるようになります。ストレスや疲れを未然に防いで、人生をもっと楽しく過したいですよね。あなたにとって何がストレスや疲れになるのかを把握し、苦手な状況をあらかじめ避けることで無理に我慢する必要が少なくなるのです。