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日常でできる!4つのトラウマ治療方法
トラウマの治療法のひとつに認知処理療法(CPT)があります。アメリカのリーシック博士をはじめとする3人の女性の臨床心理学者によって開発されました。これまで、性暴力、虐待、PTSDを対象に研究が進められており、有効性が報告されています。
トラウマ体験の後に起こる精神・身体的症状の多くは自然に回復するでしょう。しかし、PTSDの状態では、自然な回復が何らかの要因によって阻まれていると考えます。認知処理療法では、何らかの要因を「ものの考え方」に着目し、探ります。
参考:PTSDに対する認知処理療法 認知行動療法センター 国立精神・神経医療研究センター
1.症状が起こるメカニズムを理解する
トラウマ的な体験をすると、人間の体は命の危険が及ばない場面でも誤作動するようになります。トリガー(引き金)となる似たような場面に遭遇すると、闘争・逃走反応や、凍結反応が起こるのです。
闘争・逃走反応では、体が戦うべきか逃げるべきかを瞬時に判断します。凍結反応では、体が苦痛を感じないように感覚や感情が全て遮断し、何も感じないようにします。
2.トラウマ症状を見つめ直す
まずは症状が起こる時の、自分の体と心の状態を見つめ直します。
例えば、過去にパワハラを受けた経験があり、怒鳴り声を聞くと動悸がして頭の中が真っ白になってしまうなら、それをただ紙に書き出してみます。
怒鳴り声を聞くと頭の中が真っ白になってしまうので、とっさに逃げ出したくなり、動悸もひどくなる。こんな風に文章にして書いてみても良いでしょう。
3.スタックポイント(引っかかり)を探る
トラウマ的な経験をすると、当事者の自分に対する見方が大きく揺るがされたり、変わったりします。例えば、上司に不当に叱られた場合でも、自分のせいにして罪悪感をおぼえてしまうことがあるのです。
自分の中に、症状を長引かせているスタックポイント、誤った信念がないか探ってみましょう。そして、スタックポイントは真実なのか、誤ったとらえ方をしていないか考え直します。
4.5つのテーマを振り返る
スタックポイントは安全、信頼、力とコントロール、価値、親密さの5つのテーマに関係することが多いでしょう。安全の観点から振り返ると、自分は「世界は危険な場所である」と考えている。力とコントロールに関しては「自分は何もできない」と感じているようだと記述します。
このように5つのテーマをもとに自分の信念がどう変化したかを振り返ります。もしまだスタックポイントが残っているようであれば、とらえ直しを繰り返すことで解消します。
思い詰める前に、専門家に相談しよう
認知処理療法は、書籍を通して個人で実践することもできます。しかし、トラウマの治療はフラッシュバックの危険が伴います。基本は専門家と一緒に、安全が確保できる状況、枠組みの中で実施することが望ましいでしょう。
特に、突然つらい記憶がよみがえる「フレッシュバック」や夜眠れず常に神経が張り詰めている「過覚醒」、トラウマにより行動が制限され引きこもりがちになる「回避」といった症状が1ヶ月以上続くなら、医療機関を受診するのをおすすめします。
トラウマ専門の医療機関や心理相談室では、専門家の助けを得ながら、トラウマ治療に取り組めます。ひとりで思いつめ、苦しい状態を長引かせないためにも、早めに専門家に相談しましょう。
下記の「虐待ドットねっと」には、トラウマ治療が可能な心理相談室が記載されています。相談の参考にしてみてください。
トラウマ治療が可能なカウンセリングルーム(心理相談室)全国リスト 虐待ドットねっと
睡眠について学び、快眠で心を整えよう
トラウマが原因で眠れなかったり、眠りが浅かったりする方もいるのではないでしょうか。睡眠は人間の身体・脳の疲労を回復させるための重要な行動です。良質な睡眠をとることができないと、ストレスやうつ病などさまざまなトラブルを引き起こす可能性もあるでしょう。
そこで取り入れたいのが、睡眠に関する学習です。下記にご紹介する睡眠アドバイザーの資格では、日々の眠りを快眠に導くヒントや、睡眠のメカニズムなどを学べます。「うまく眠れない」という悩みを解決するために知識を手に入れ、生活をよりよいものにしていきましょう。
トラウマ・心の傷が原因で適切な睡眠が取れていないと感じる方は、ぜひ以下の記事も併せてチェックしてみてくださいね。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。