専門医が語る!うつ病の人がとる行動とは?行動がおかしいと感じたら…

メンタルヘルス

近い存在の人がうつ病かもしれない…

うつ病の人がとる行動には特徴があります。このうつ病の人がとる行動を知っておくだけで、「これはうつ病の症状じゃないか?」と周りの人が気づき、本人が気付く前に病院に受診ができて、症状が軽いうちに治療を開始できる可能性があります。

近い存在の人がうつ病かもしれないと思うのは悲しいかもしれませんが、あなたの「うつ病の人がとる行動」と「症状」の知識で、大切な人を救いましょう。

うつ病の人がとる行動を知り、観察することが重要

「この人、うつ病かも?」と気づくためには、まずうつ病の人がとる行動などの「うつ病を疑う症状」を知る必要があります。

身近な人のうつ病を疑ったらその人の症状をしっかり観察しましょう。この記事で書いたうつ病の人がとる行動が1つでも出ていたら、うつ病である可能性は濃厚です。ただし、常にうつ病の人がとる行動が目立つわけではないので、うつ病を疑って注意深く観察しましょう。注意深く観察すれば、普段なら見えなかった「うつ病の人がとる行動」が見えてくるものです。

早期治療につなげることは、回復までの期間を早くすることができ、しっかりと治療することで再発を防げます。

うつ病の人がとりやすい行動を知るためには、メンタルヘルスに関する知識が必要です。まずは手軽に取得できる資格の勉強を通して、心の悩みについての理解を深めていきましょう。

専門医が語る!うつ病の人がとる行動とは?

実は普通の人でも相手をよく観察すれば、うつ病の人がとる行動に気づくことができます。今とっている行動がうつ病の症状かもしれない、うつ病の人がとる行動かもしれない、と気づくことができます。

もしうつ病の症状であれば、精神科のクリニックの受診を勧めることができます。また、うつ病の人がとる行動であれば、それを指摘して、相手に自分はうつ病かもしれないと気づいてもらうことができます。もしうつ病の症状が出ていることに気づくことができれば、相手は自分からメンタルクリニックに行く決意に繋がることもあります。

1.ささいな「決めごと」が決められなくなる

うつ病の人がとる行動では、基本的にこういったささいな決めごとが決められなくなります。みなさんは、「ささいな決めごと」と聞いたらどんなことを思い浮かべるでしょうか?イメージがわかない人もいるかもしれませんので、まずは具体例を挙げておきます。

  • 外食時のメニューの選定
  • 遊ぶ予定を立てて、どこに行くか決める
  • 買い物をしたときにどの色のものが好みかどうか判断する

上記も「ささいな決めごと」です。食事をするためにメニューを眺めていても、上辺だけ見ていて、何が食べたいかわからない、そんなうつ病の症状もあります。外食に行くだけで気付けるうつ病の人がとる行動ですので、チェックしてみてください。

2.動きがのんびりしてくる

うつ病の人がとる行動として、動きがゆっくりしてくるのも特徴です。専門的な言葉では「動作が緩慢(かんまん)になる」といいます。

一緒に準備を始めて、自分は準備が終わったのにまだカバンをゴソゴソしている、カバンの中身が周囲に散乱していてなかなか片付けられていないなどもうつ病の人がとる行動であり、うつ病の症状です。

3.会話の返事が遅くなる

うつ病の人にはなかなか返事を考えられないので、会話の返事が遅くなることも症状として現れます。普段なら間髪入れずに返ってきた答えが、5分待っても返ってこず、10分待ってようやく返ってくるようなイメージです。

返事が遅くなるのもうつ病の人がとる行動・症状として特徴的です。専門的な言葉で「応答潜時(おうとうせんじ)の延長」といいます。会話の返事が遅くなる理由は、動きだけではなく頭で考えるスピードもゆっくりになってしまうためです。

4.仕事や家事の効率が悪くなる

さきほども述べたように、うつ病の人の症状として、動作や思考ががゆっくりになります。その症状は仕事や家事の効率の悪さにも現れます。

片付け一つとっても、「これをどこに片付けるんだっけ……」と悩んでしまったり、「あれ、こんな書類ってあったかな、捨てていいのかな」と分からなくなってしまったりと効率が落ちます。

掃除だけではなく、書類作成のペースや料理の段取りを間違えたり、お鍋を焦がしてしまったりする行動にも現れます。家族の家事や同僚の仕事の効率が悪かったら、うつ病の行動が疑われます。仕事や家事の効率が落ちることも、うつ病の人がとる行動、うつ病の症状となります。

5.遅刻するようになる

遅刻が増えることもうつ病の症状が疑われます。

家事の効率も悪くなり、動きもゆっくりになってしまうので、本人が「いつもならこのくらいの時間に出たら間に合う」と思って用意をし始めると、その時間になっても用意が終わらないことがあります。そうすると、自宅を出る時間が遅くなるので遅刻してしまいます。

また、ある程度自宅でかかる時間を想定して早めに行動しても、歩くスピードもゆっくりになり、同じように遅刻してしまいます。

6.忘れっぽくなる

うつ病の症状として「忘れっぽくなる」ことがあります。考え方がゆっくりになることで、扱っている情報に「漏れ」が出てしまいまうためです。

例えば、「あれ、なんで持ってこなかったんだろう、あれ、あれ」といって鞄をガサゴソしますが、持ってきていないことが増えます。そのうち、忘れ物がないように全てのものを持ち歩くようになる人もいます。

忘れ物が増えたり過剰な忘れ物対策をすることは、うつ病だけの症状ではありませんが、うつ病の人がとる行動のひとつでもあります。

行動がおかしいと感じたら、一緒に病院へ…

ここまで、6つのうつ病の人がとる行動を説明してきました。どれもうつ病の症状からくる行動で、このうつ病の人がとる行動が見られたら、うつ病を疑うことができます。

こんな人じゃなかった、なんでこんな人になってしまったのだろうといった思いが生じることもあるかと思います。でも、うつ病であれば、早く治療をして、元の元気な友達に戻ってほしいですよね。

本人ひとりでは勇気の出ないメンタルクリニックの受診も、友人がついていくことで勇気を出していくことができます。家族しか付き添いを認めていないクリニックもあるので、付きそう場合には事前に問い合わせをする必要がありますが、本人が望めば友人がついていっても大丈夫なクリニックも増えているので、ぜひ一緒に病院に行ってあげてください。

うつ病の人に周囲の人ができること

うつ病の人に周囲の人ができることは、残念ながら限られています。でも、その限られた中でもできることがありますので、今回は周囲の人ができることをいくつかご紹介したいと思います。

大切な人がうつ病の症状で苦しんでいるのは、見るに堪えないものです。あなたが何かをしたことで楽になるためではなく、うつ病の症状で苦しんでいる大切な人のために、限られた中でもできることをしたいものですね。

1.メンタルクリニックへの受診を勧める

うつ病に対して最も効果的なのは、早期発見・早期治療です。

大きな病院や、精神科だけの病院は敷居が高いでしょう。駅の近くにはたくさんのメンタルクリニックが乱立しています。その中にはたくさんの精神科の先生がいて、たくさんの精神科の患者さんがいます。

苦しんでいるのはあなただけではないし、あなたの大切な人だけでもありません。勇気を出して一歩を踏み出すよう、うつ病の人がとる行動をとっている人に、勧めてあげてください。クリニックのクチコミも一緒に伝えられるとなおいいですね。

2.一緒に食事に行ってみよう

うつ病の症状の中には、食欲低下があります。稀に食欲が増えて増えて仕方ない人もいますが、うつ病になると食欲がなくなる人がほとんどです。食欲が低下していても、お友達など誰かと一緒に食事をすれば一人の時よりも食べられることはあります。

毎日誘うのは相手の負担になってしまいますが、たまに食事に誘うのはいい気分転換になります。ぜひ、適度なペースで食事に誘ってみましょう。

食事に限らず、ウィンドウショッピングなども構いません。もともとの趣味だったものは、うつ病でも比較的最初にできるようになるので、相手を見て誘う場所など決めましょう。

ただ、食事にしても大人数は勧められません。せっかくの療養中に気を使うような場を用意してしまうのはやめましょう。

3.誘って断られたら素直に引き下がろう

もし相手に断られたとしたら、それは必死の思いで誘いを断っていると考えて、無理強いしてはいけません。せっかくの大切な人を追い込んでしまうかもしれないからです。

考え方や行動がゆっくりになっている人にとって、誘いを断りにくいのはうつ病の特徴的な症状です。それを、勇気を出して「今は無理だからまた誘ってね」という返事が来たとしたら、それはまだ一人でゆっくり休ませておいてほしいというサイン。断られた場合はまた時間が経ってから誘ってみることにしましょう。

4.「気にかけているよ」というメッセージを発信しよう

いまはLINEやメールなど、気軽にメッセージを伝えることができます。返事が返ってこなくても、私はあなたのことを気にかけているよ、と伝えるのはうつ病の人へのメッセージに適切です。LINEでスタンプひとつ、近況を報告するような短いメッセージなどは相手にとっても嬉しい気持ちになります。

ここで注意した方がいいことは、長文を送らないことです。うつ病の人がとる行動を見ても、長い文章を集中力をもって最後まで読むのは苦痛になってしまいます。うつ病の人にメッセージを送るときは、適度に短い文章が好ましいでしょう。

うつ病の人に、かけてはいけない言葉とは?

「うつ病の人に『頑張れ』と言ってはいけない」そういう話を聞いたことはありませんか?

実は、頑張れ以外にも言わない方がいい言葉があります。また、「頑張れ」であっても、この人にはかけてはいけない、この人にはあえて頑張れと言った方が回復が早いなど、うつ病も多様化しています。

そして、それを普通の人が見分けるのは困難なので、頑張れという言葉はうつ病の人には使わない方が良いでしょう。「頑張れ」以外にも気をつけてほしい言葉がありますので、具体例をあげていきます。

1.相手に「指示」をするような言葉かけはやめよう

相手に指図するような声掛けはやめましょう。

たとえば、「早く一緒にご飯行こうよ」「今度の祝日にデパートに行かない?」という言葉をかけたとします。これをうつ病の人が聞くと「一緒にご飯に行かなければならない」「デパートは人が多いから嫌だけど行かなきゃダメ」と思ってしまいます。

うつ病の症状として、相手の誘いは断りにくくなってしまうことや、断る言葉を考えることも非常に時間がかかって疲れることから、指示に従ってしまった方が楽だと勘違いしてしまいます。

相手に「支持的に」接することは大切なことですが、「指示的に」接することはやめましょう。

2.どんなことであれ、「焦らせる言葉」は禁物

うつ病の人が回復を焦ってしまうような言葉も気をつけましょう。

「早く会社で会えるのを待ってるよ」「早くみんなで遊びに行けるようになろうね!」といった言葉も避けましょう。悪気のない言葉でも、うつ病の人は「早く良くならないといけないんだ」と焦ってしまいます。

そうすると余計に、うつ病の状態が悪くなっていってしまいます。励ましている側に意図がなくても、うつ病にとって一番悪いのは「焦る」こと。ゆっくりとした療養が一番大事なのです。

早く治ってほしい気持ちがあるなら、「早く」とか「待つ」といった相手を焦らせるような言葉を使わないようにしましょう。

3.うつ病になる前の本人と比較するのはやめよう

うつ病の後で目指すべき人間像は、どういうものだと思いますか?「早く元に戻って欲しい」というのは周囲の願いだし、「早く元の元気な自分に戻りたい」と思うのはよく聞く言葉です。

でも、「以前の自分」は本当にうつ病を治した後に目指すべき姿でしょうか?

「以前の自分」に戻ってしまったら、またうつ病になってしまうかもしれません。そのため、うつ病が治った後には「うつ病を経験したからこそ、うつ病になりにくい考え方を持った新たな自分」を想像する方が良いでしょう。

同じように生活して、同じような性格のままだったら、またうつ病になってしまいます。うつ病は再発を繰り返すことで再発しやすくなっていく病気なので、「元の自分」よりも、新しい自分を目指してみましょう。

そのため、周りの人はうつ病になる前の本人と比較しないことが大切です。

4.どんなときも付かず離れずの距離感を保とう

病気の時こそ、この付かず離れずの距離感を大事にしましょう。どれだけ親しい友人であっても、付かず離れずの距離がありますよね。

離れてしまうと、うつ病になったせいで友人がいなくなったとネガティブに考えてしまいます。友人がうつ病になったときは「あなたを焦らせる意思はないし、復活するのを待っているけれども、今はそっとしておくね」と相手に感じてもらうのもとても大事です。

付かず離れずの距離を保ち、寄り添い続けること。自分にはきちんと待っていてくれる友人がいて、それは変わっていないんだ、と思えるのは本当に力強い気持ちに変わります。

黙って寄り添う優しさも…

友人や同僚の話であれば、今はどんな状態か、元気になったのかなどの情報が伝わってくることもあるでしょう。親しければ親しいほど、逆にそばにいることが増えるかもしれません。

家族だったら、精神的な支えになったり、本人ができないことを助けたりして、介護に近いこともしなければならない時期もあります。

そんな時に、どれだけ嫌でも、イライラしても、本人に対してだけは「黙って寄り添ってるよ」という優しいメッセージだけを出しましょう。イライラも、本人の前ではないところで解消しましょう。

うつ病は一生続くものではありません。うつ病の人には黙って寄り添う姿勢を見せ続けることが1番の薬になります。

適切なコミュニケーションのために、メンタルに関する知識を身につけよう

身近な人や大切な人がうつ病になってしまったときに、どんな言葉をかけたらいいのか迷いますよね。間違ったコミュニケーションをとってしまうと、相手の状態がさらに悪化する可能性もあります。

「大切な相手だからこそ、選ぶ言葉や行動を間違えたくない」。そんな人におすすめしたいのが、メンタルに関わる資格の取得です。

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※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

Mentally編集部

「つらいがわかる。つらいがかわる。」をコンセプトに、メンタルヘルス・ウェルビーイングにまつわるコンテンツを発信するMentallyメディア編集部

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