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目次
- 心の病気を全て知っておこう!
- DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)とは
- ICD-11(国際疾病分類)とは
- 精神疾患の定義
- 【臨床心理士が解説】精神疾患の種類
- 1.自閉スペクトラム症
- 2.統合失調症
- 3.双極性障害
- 4.うつ病
- 5.適応障害
- 6.気分変調性障害
- 7.社交不安症(社交恐怖)
- 8.全般性不安障害
- 9.身体表現性障害
- 10.パニック障害
- 11.強迫性障害
- 12.心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 13.急性ストレス障害
- 14.複雑性心的外傷後ストレス障害
- 15.解離性同一性障害
- 16.性別違和
- 17.摂食障害
- 18.月経前不快気分障害(PMDD)
- 19.睡眠障害
- 20.アルコール依存症
- 21.ゲーム依存症
- 22.認知症
- 23.シゾイドパーソナリティ障害
- 24.回避性パーソナリティ障害
- 25.依存性パーソナリティ障害
- 26.自己愛性パーソナリティ障害
- 27.境界性性パーソナリティ障害
- 28.演技性パーソナリティ障害
- 29.妄想性パーソナリティ障害
- 30.反社会性パーソナリティ障害
- 自分にも身に覚えがあったら、受診を検討しよう
心の病気を全て知っておこう!
心の病気といっても種類や症状はさまざまです。体の病気であれば、病気のもととなる臓器や原因によって病名がつけられるでしょう。一方、心の病気の多くは脳が関与しているものの、まだ原因がよくわかっていない疾患もあります。
心の病気を診断・分類する基準を作るため、DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)やICD-11(国際疾病分類)が生まれました。現在は、各精神疾患の特徴となる症状と持続期間、社会生活を送る上でどの程度支障があるかで診断しています。
また、外因性・内因性・心因性で分類する方法もあります。心の病気は身体疾患と間違われることが多いため、分類はとても重視されてきました。
本記事では、心の病気を「精神疾患」という言葉で統一して、どのような疾患があるのか、各疾患の特徴を短く簡潔にまとめています。ぜひ参考にしてください。
DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き)とは
DSMとは、アメリカ精神医学会による精神疾患の分類と診断の手引きです。最新版が第5版のためDSM-5と表記し、精神疾患のみが記載されています。
DSM-5には22の精神疾患のカテゴリーがあります。例えばADHD(注意欠陥多動性障害)であれば、DSMの「神経発達症・神経発達障害群」に分類されるでしょう。DSMは診察の際、日常的に用いられています。
参考:2014年 医学書院 監訳高橋三郎 大野裕 訳染矢俊幸 神庭重信 尾崎紀夫 三村將 村井俊哉『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き』
ICD-11(国際疾病分類)とは
ICDとは、世界保健機関(WHO)が作成した国際的な診断基準です。ICDは疾病全般の分類なので、身体疾患も含まれます。
WHOに加盟している国は疾病統計の報告にICDを使う義務があります。日本では公式の診断や報告、行政の認定に用いられています。障害年金や精神障害者手帳の申請に使われるのはICDの診断基準です。
DSMとICDの違い
DSMとICDは、それぞれ改定時期や最新版の発行年が違うため内容にズレが生じやすく、完全には一致しないのが特徴です。日本では2013年にDSM-5が発行され、ICD-11は2022年に発行の予定です。
これまで、DSMは発達障害を「自閉スペクトラム症」に、ICDは「広汎性発達障害」に分類してきました。来年発行されるICD-11ではどちらも「自閉スペクトラム症」に統一される予定です。
精神疾患の定義
精神疾患は脳の働きの変化によって、感情や行動に著しい偏りがみられ、社会生活に支障をきたしている状態をいいます。
心の病気というと、気持ちや感情をイメージする人が多いかもしれません。しかし、気持ちや感情を動かすのは「脳」なのです。脳内のネットワークに不調が出ると、うつ病や統合失調症といったさまざまなかたちで不調が現れるでしょう。
遺伝的な要因により、脳のネットワークの不調が生じる精神疾患を内因性精神疾患と呼びます。ほかにも、身体疾患によるものは外因性精神疾患、精神的負担やストレスによるものは心因性精神疾患といいます。
心因性精神疾患
何らかの精神的負担やストレスからおこるものを心因性精神疾患と呼びます。気分変調性障害や適応障害、パニック障害が該当するでしょう。
内因性精神疾患
脳の遺伝的要因によりおこるものを内因性精神疾患といいます。うつ病、双極性障害などの気分障害、統合失調症は脳の遺伝的要因の影響が大きく、発症の要因のひとつになり得るでしょう。
外因性精神疾患
体の病気が原因でかかるものを外因性精神疾患と呼びます。脳腫瘍や脳血管障害、甲状腺機能亢進・低下症などの身体疾患が脳に影響を与えることがあるでしょう。
また、アルコールや違法薬物といった中毒性物質も脳にダメージを与えます。認知症や薬物・アルコールの依存症が該当します。
【臨床心理士が解説】精神疾患の種類
精神疾患の分類は、DSMとICDとで異なります。本記事ではDSMを基準に、代表的な精神疾患をまとめました。
DSMは熟練の医師が、問診や心理検査から得た情報を診断基準と照らし合わせて判断するものです。一般の人がDSMの診断基準だけで、安易に自己診断はできません。
あくまで参考程度に、セルフチェックのための使用にとどめましょう。
1.自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症には、自閉症やアスペルガー障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)が含まれます。対人関係や社会性の障害、コミュニケーションの障害、興味関心の偏りやこだわりなどの特徴が3歳までに現れ、知的な遅れを伴うことがあるでしょう。
障害自体をを治すよりも、環境を調整することで過ごしやすくし、社会生活上の困難を軽減することを目指します。
2.統合失調症
統合失調症は、幻覚や妄想などの陽性症状、意欲の喪失や感情の平板化といった陰性症状、まとまりのない会話や行動などの解体症状を示す精神病です。
陽性症状が現れる急性期は、薬物療法や入院による治療を優先し、陰性症状が中心となる慢性期は、リハビリや家族への心理教育を重視して社会復帰を目指します。