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強迫性障害に悩んでいる全ての方へ
強迫性障害は、3人に1人は性格やストレスなどで発症すると言われています。しかし遺伝性も強いと言われており、さまざまな原因で発症する障害です。強迫性障害になる理由は完全には解明されていません。
しかし、最新の研究では強迫性障害の人は脳内の神経伝達物質であるセロトニンを取り込む受容体が減っていると言われています。これは過去の仮説通りの結果であり、強迫性障害が薬物療法で治すことができる場合がある理由になると考えられます。
強迫性障害を治すためには「アドヒアランス(患者さん自身が治ると信じ、治そうという意欲を高めて治療に臨むこと)」が重要です。お医者さんを信じ、お互い協力をしながら、二人三脚で少しずつ改善へ向かっていく必要があります。
そのためには、強迫性障害への理解と上手な付き合い方を知らなければなりません。一朝一夕で改善することが難しい病気だからこそ、正しい理解を深めて「自分にとってベストな付き合い方」を見つけ、一歩ずつ前へ進んでいきましょう。
今回は、強迫性障害との上手な付き合い方や対策などをご紹介します。ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
参考:厚生労働省「強迫性障害」
参考:ドクターズ・ファイル「強迫症(強迫性障害)とは(症状・原因・治療など)」
強迫性障害で仕事が辛い時、休むことも検討しよう
強迫性障害は、主に強迫観念と強迫行為の2つの症状が現れます。
- 強迫観念:頭から離れない考えのこと。その内容が「不合理(バカバカしい考え)」だとわかっていても、頭から追い払うことができずにずっと意識を取られてしまう
- 強迫行為:強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のこと。無意味だと分かっていてもやめられない
強迫性障害にかかると、日常の大半を強迫観念・強迫行動と共に過ごすことになります。そのため、生活や仕事にも支障が出るケースが多く、休職を必要とすることも多いでしょう。
休職をすることに申し訳なさを感じる人も多いかもしれませんが、休職をすることはストレスから離れ症状を緩和させるための善策です。
実は、休職は法律の規定で定められている制度ではなく、会社によって制度の内容が異なります。強迫性障害が原因で休職を視野に入れている場合は、まずは今の会社に休職制度があるか、どのような制度なのかを確認することが大切です。
また、強迫性障害で休職をする場合、傷病手当金をはじめとした公的支援を受けられる可能性があります。病院や行政と相談をしながら受けられる支援は受け、できる限り生活基盤を崩さないようにサポートを利用しましょう。
参考:atGP「強迫性障害の方の仕事への影響や、休職や復職をする際の手順や仕事の探し方を解説」
厚生労働省「強迫性障害」
参考:ドクターズ・ファイル「強迫症(強迫性障害)とは(症状・原因・治療など)」
強迫性障害との上手な付き合い方とは?
強迫性障害は、症状を軽くするためには病院での診察だけではなく、常日頃から強迫性障害の症状と上手に付き合うことが重要です。強迫性障害を正しく理解するだけでなく、正しい対処方法を学びましょう。
無理にすぐ治そうとせず、付き合い方を学ぶことによってスムーズな改善を期待できます。
1.薬物療法を怖がらない
多くの場合、強迫性障害は不安が原因となっています。不安を軽減するためのサポートになるのが、薬物療法です。通院の場合、抗うつ薬で精神的に安定を図りながら治療を行うのが一般的です。
精神科や心療内科で薬を処方されること自体に不安を感じる人も少なくはありませんが、専門的な医療は快方のための建設的なステップです。前向きに検討することをお勧めします。また、どうしても薬物療法に苦手意識がある際は、その旨を担当医に伝えることで別の療法も検討できますが、そのときは治療期間が長くなることが多いです。
参考:厚生労働省「強迫性障害」
2.ストレスをため込まない
強迫性障害になりやすい人は、元もと物ごとをきちんとしたいタイプの人です。なんでもきちんとしたい性質を持つ人は、自分と同じようにきちんとしていない人を見ることなどでストレスを溜め込みやすく、強迫性障害の改善の最中でも一時的な悪化が見られることがあります。
強迫行為の改善の中で疲れを感じたら、無理をせずに休みましょう。不安やストレスは、時間をかければ確実に減少します。すぐに治そうと焦らずに、自分のペースを見失わないように心がけましょう。
参考:NHK福祉情報サイトハートネット「強迫性障害からの回復」
3.認知行動療法を取り入れる
認知行動療法とは、患者さん自身が「強迫性障害によって『やらなくてはいけない』と思っていた習慣を我慢する」という療法です。たとえば、なにかを触ったらすぐに手を洗わずにはいられない場合に、手洗いを我慢するなどが当てはまります。
意識的に我慢を続けることにより、だんだんと強迫観念(つまらないことだと分かっていても特定の行動や物事が頭から離れず、わかっていながら何度も同じ行動や確認を繰り返し、日常生活にも影響が出ること)の緩和が見込めます。まずは強迫行動を一切無くすのではなく、1日の中で数回だけ我慢してみる、などから始めてみましょう。
参考:厚生労働省「強迫性障害」