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相手に合わせて尽くしてしまう…
いつも人の顔色を伺いながら機嫌を損ねないように気を使ってしまい、自分の気持ちよりも相手が喜ぶかどうかを優先しがち。そうこうするうちに、いつの間にか相手に尽くしすぎて「都合の良い人」になっていませんか。
サービス精神が旺盛なあなたは、一緒にいて心地が良いので誰からも好かれやすいはず。人当たりが良く協調性がある反面、優柔不断で八方美人なところがあるといえます。人が良すぎる、優しすぎることが裏目に出てしまうこともあるのです。
人に合わせることが習慣化していて、自分の気持ちがわからなくなったり、言えなくなったりしている人もいるかもしれませんね。自己主張の強い人に支配されやすく、相手に迷惑をかけられて困っていることはないですか。
上記の特徴があてはまるようであれば、「依存性パーソナリティ障害」の可能性があります。
依存性パーソナリティ障害とは
依存性パーソナリティ障害(Dependent personality disorder)とは、面倒を見てもらいたいという広範で過剰な要求があり、そのために従属的でしがみつく行動をとるものをいいます。
親やパートナー、恋人など面倒をみてくれる人と離れることを怖がる「分離不安」があるのが特徴です。男女の有病率はほぼ同じくらいですが、病院を受診し診断に至る人は女性の方が多いといわれています。
この障害を持つ患者は、依存する相手がいない状態が続くとうつ病になることもあるので注意が必要です。
アメリカ精神医学会の精神疾患の分類と診断の手引きDSM -5では、以下の参考URLの特徴に5つ、またはそれ以上当てはまると依存性パーソナリティ障害の可能性が高いと定めています。
参考:診断基準 DSM-5 依存性パーソナリティ障害 ハートクリニック
臨床心理士が語る、依存性パーソナリティ障害の原因
依存性パーソナリティの原因は、まだ明らかになっていないことが多いです。
依存性パーソナリティの特徴の1つである「分離不安」の原因は、親子の愛情の不安定さや、親子の元々のストレスへの脆弱性です。同様に依存性パーソナリティ障害の原因にも、親の過保護・過干渉といった親子の愛情の不安定さの影響が考えられるでしょう。
1.幼少期の養育者の不在
幼少期に両親の離婚や別居を経験しており、特定の養育者との継続的で安定した愛情関係をきずきにくいと、依存性パーソナリティ障害を発症する可能性は高まるでしょう。離婚や別居以外にも、幼少期の両親との死別も不在に含まれます。
子どもは主な養育者との十分な愛情関係をよりどころ、帰る場所にすることで、初めて新しい物事に挑戦できるようになります。養育者との関係が不安定だと、ひとりで新しい物事に挑戦するのを恐れるようになるでしょう。
2.養育者の過保護・過干渉
養育者がアルコール依存症であったり、家庭内暴力を繰り返す人であったりすると、依存性パーソナリティを形成しやすくなります。そこまでいかなくとも、養育者が支配的で横暴な場合もあります。
いつ養育者に怒鳴られたり暴力をふるわれるか分からない環境で育つと、自然に相手の顔色をみて、機嫌をそこねないように振る舞う方法を身につけてしまうのです。
3.条件つきの愛情関係
学校のテストで良い点がとれてら褒めてもらえるが、悪い点をとると無視されるといった「条件つきの愛情」下で育った子どもは、知らず知らずのうちに相手の期待を先読みして行動するようになります。
条件つきの愛情関係で育つと、「相手の期待通りに振舞わなければ愛されない」という間違った認識を強めてしまうでしょう。そのため、大人になってからも押しの強い相手の要求を断れなくなることがあります。
4.親と子どもの関係の逆転
親自身が依存性パーソナリティの気質を持っていて、子どもに過度に依存する場合があります。アルコールやギャンブル、買い物依存症の親は、「あなたがいないと私はダメになる」というメッセージを子どもに発し、子に自分の世話をさせ束縛します。
この関係パターンを身につけたまま大人になると、「この人は私がいないとダメになる」と必要以上にパートナーや恋人に尽くしすぎるようになるのです。