うつ病とうつ状態(抑うつ状態)について|4つの分類とそれぞれの症状

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うつ状態・抑うつ状態とは

うつ状態・抑うつ状態とは

「気分が落ち込んでいる」「何もやる気がおきない」ことを抑うつ気分といいます。うつ状態は、抑うつ気分が強い状態です。うつ状態の方が日常生活上よく用いられますが、精神医学上は抑うつ状態と呼ばれることもあります。

うつ状態・抑うつ状態は脳機能が低下するため、感情や意欲をうまくコンロールできなくなります。そのため「うつは甘え」といわれることもありますが、決してそうではありません。

このようなうつに対する間違った認識は、症状を悪化させる原因になります。「自分は甘えている」「自分は怠け者だ」と思い込んで、自分自身を責めるのはやめましょう。

「うつ」に関する正しい知識を身につけ、自分や近しい人を守れるようにしてください。

引用元:厚生労働省「うつ病」

うつ状態・抑うつ状態の症状

うつ状態・抑うつ状態とは

うつ状態・抑うつ状態になると、以下のような精神症状や身体症状が現れる場合があります。

・気分の落ち込みがある
・何に対しても興味が持てなくなる
・自責感や無価値感がある
・焦りがあり、イライラする
・日内気分変動がある
・眠れなくなる
・食欲の低下、もしくは過食
・動作が遅くなる(行動抑制)
・疲れやすくなる
・自律神経失調症に似た症状が起こる

うつ状態・抑うつの状態の症状は、人によってさまざまです。そのため、上記以外の症状でも、うつ状態・抑うつ状態の可能性があります。

一般的に、うつ状態・抑うつ状態の症状が悪化した状態を「うつ病」と呼びます。うつ状態・抑うつ状態なのか、うつ病なのかを見分けるには、どれくらい継続して症状が現れるかを目安にするといいでしょう。

うつ状態・抑うつ状態は長くても1週間〜2週間もすれば症状が軽減されます。一方、うつ病の場合は症状が2週間以上も続きます。さらに上記に挙げた症状がいくつも同時に起き、日常生活に支障をきたすようであれば要注意です。

「うつ病」と聞くと特別な病気のように思うかもしれません。しかし、現在では100人に約6人がかかる病気ともいわれており、誰にでも起こり得るものです。うつ病が疑われる場合は、なるべく早く医療機関へ相談するようにしましょう。

以下の記事でうつ病の症状をより詳しく解説していますので、あわせて参照してください。

参考:【臨床心理士が解説】うつ病の症状と特徴とは?5つの主な治療方法

うつ病の分類について

うつ病の分類

うつ状態があるからうつ病であるとは限りません。うつ状態と躁状態を繰り返すようであれば「躁うつ病」の可能性もあります。また、うつ状態が見られるものの、これまでのうつ病の特徴だけでは説明できない症状がみられる「非定型うつ病」であることも考えられます。

ここでは、原因をもとに分類した4つのうつ病を見ていきましょう。以下の記事で躁うつ病をより詳しく解説していますので、あわせて参照してください。

参考:双極性障害(躁うつ病)とは?主な症状・原因を、臨床心理士が徹底解説

1.外因性・身体因性

「外因性・身体因性のうつ病」は、脳腫瘍や脳卒中などの脳の病気、または肝臓病や糖尿病などの身体の病気が原因で発症します。病気を治療するために服用している薬が原因となる可能性もあります。

季節を限定して発症する「季節特有型うつ病」や高齢者が発症する「老人性うつ病」も外因性・身体因性のうつ病です。また、女性は月経周期や妊娠・出産などでホルモンバランスが崩れやすいため、男性よりもうつ病にかかりやすいといえるでしょう。

女性特有のうつ病には「産後うつ病」や「更年期うつ病」などがあります。

引用元:働く女性の健康応援サイト「女性は男性よりうつになりやすい?女性特有のうつ」

2.心因性

心因性のうつ病は、精神的な葛藤や心理的なストレスが原因で発症します。心因性のうつ病はさらに3つに分けられます。

1.無意識的な葛藤によって起こる「神経症性うつ病」
2.長期間に渡って心理的なストレスを感じることで起こる「疲弊性うつ病」
3.特定のストレスを生じる体験によって起こる「反応性うつ病」

反応性うつ病は、仕事の失敗や人間関係のトラブルなどネガティブな体験だけが原因になるわけではありません。昇進や結婚などのポジティブな体験が原因になる可能性もあるのです。

最近では新型コロナウイルスの影響により、精神的な葛藤や心理的なストレスがかかりやすいため、心因性のうつ病にかかる人が増えています。

引用元:こもれび心の診療所「うつ病」

3.内因性

内因性のうつ病は、体質や遺伝などが原因で発症します。また、これらをベースに、心理的ストレスや環境の変化などが重なって発症する場合もあります。

そのため内因性のうつ病は、心因性のうつ病と明確な区別が困難です。また、うつ病になりやすい体質や遺伝には未知のものがたくさんあり、近年では定義があいまいになってきています。

引用元:永山メンタルクリニック五反田「うつ病とは」

4.性格環境因性

「性格環境因性のうつ病」は、性格が原因で発症します。真面目すぎる人や周りに気を配りすぎる人は自己犠牲の傾向にあるため、このうつ病にかかりやすいでしょう。

日本人が特にかかりやすいうつ病でもあります。心因性うつ病や内因性うつ病との違いは明確にはなっていません。

引用元:杉浦こころのクリニック「うつ病・うつ状態について(その1)」

Mentally編集部

「つらいがわかる。つらいがかわる。」をコンセプトに、メンタルヘルス・ウェルビーイングにまつわるコンテンツを発信するMentallyメディア編集部

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