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ことあるごとに、自分を責めてしまう…
問題が生じたり自分に落ち度のある出来事が起こったりすると、自分で自分を責めてしまいますよね。反省も必要ですが、自分を責めすぎることはメンタル不調にもつながる可能性もあります。
この記事では、自分を責めてしまう苦しさを感じている方が苦しさを少しでも和らげられるように、自分を責めてしまいやすい病気についての情報を提供します。
自分を責めてしまう原因とは?
さまざまな精神疾患に共通する症状に「自分を責めてしまう」ことがあります。ものごとに対するものの見方や受け止め方がネガティブな人は、自分を責めやすいです。自分を責める負のループから抜け出せないと、精神疾患にかかりやすくなります。同じミスを起こしても自分を責めて自己嫌悪に捉われてしまう人もいれば、反省しながらも環境を改善しようと考える人もいるでしょう。つまり、ものごとに対する「見方」や「思考の癖」によって自分を責めてしまう場合があるのです。
できなかったことばかりに固執せず、できたことを記録する、自分を褒めるなど、視点を変える工夫をしてみるのも良いでしょう。
日常生活に支障をきたし始めたら…
大切な人との別れによる悲しみや、大きな失敗によって落ち込むことは誰もに起こります。通常は数日〜1週間程で、少しずつ気持ちが落ち着くことが多いです。自分の行いを反省したり、悲しい出来事に落ち込むのは健全な心の働きですが、問題をひとりで抱え込んでしまい、辛くて生活や仕事に支障が出てしまうような場合は病気の兆候かもしれません。
もし自分を責めてしまう考えから抜け出せずに心身の不調が出ている場合は、周りの人や専門医への相談を検討してみましょう。通院の目安として、2週間以上の気持ちが落ち込んでいて回復しない、睡眠障害が起きて生活に支障をきたしている、体重の急な増加や減少がある場合などは、受診を検討すると良いでしょう。
自分を責めてしまうことから考えられる病気・精神疾患とは?
自分を責めてしまう原因には、病気、性格、思考の癖など様々な原因があります。自分を責めやすい人は、現状の自分に満足していない向上心の強い人であるともいえるでしょう。上手く行かないことがある時は「次は同じ失敗をしたくない」と気づく機会でもあります。
しかし過度に自分を責めてしまうことで苦しみから抜け出せない場合は、専門医やカウンセラー、同じような経験をした人に相談することも良いでしょう。
ここからは、自分を責めてしまうという症状や特徴のある病気を5つ紹介します。
1.社交不安障害
社交不安障害は人前で話すときや、人と接するときに緊張して起こる症状です。かつては対人恐怖症とも呼ばれていました。
社交不安障害の人は人前でうまく振舞わなければならない、自分が緊張していることを周囲の人に悟られてはならないと不安になります。時に、人前でうまく振る舞えない自分を責めてしまうことも。
人前で緊張する経験は誰しもありますが、極度に緊張や不安を感じて他人との会話や接触の機会を避けるなど、生活に支障をきたしてしまいます。
2.境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は、感情や対人関係の不安定さから社会生活に苦痛や支障を引き起こしてしまう障害です。
境界性パーソナリティ障害の人は一見、物腰柔らかい「良い人」に見えることが多いでしょう。しかし相手が自分を大事にしていないと感じると、不安や怒りといった感情を上手くコントロールできず急に攻撃的になるなど、極端な感情の変化があります。
また自己像も安定しづらく、自分の趣向や意見が突然変わることがあります。攻撃的な感情になった後に強い自責の念や後悔にかられるため、慢性的な自己嫌悪感や空虚感を抱えている人が多いです。
参考:坂田駅前メンタルクリニック「境界性パーソナリティ障害」
3.PTSD
PTSD (心的外傷後ストレス障害)は災害や事故・犯罪などの命がおびやかされるような体験をし、強いショックを受けたことで生じる精神疾患です。生死の危険に際すると多くの人に不安や動悸、不眠のような症状が出ますが、ほとんどは一過性です。体験後1ヶ月以上経っても症状が続いて、生活に支障をきたす場合にPTSDと診断されます。
PTSDの症状のなかには認知や気分が変化して、自分や他人に対して否定的な感情が持続するというものがあります。これまで好きだった物事への楽しさを感じられなくなり「自分が悪い」「人を信じられない」といった否定的な気持ちが続きます。このようなPTSDの治療はこころの傷の回復と、苦しい症状の軽減が基本となります。
参考:みんなのメンタルヘルス総合サイト(厚生労働省)「PTSD」
4.うつ病
うつ病は現代では患者数の多い病気です。精神的なエネルギーが低下して、うつ病の症状がいくつか生じている状態を「抑うつ状態」または「うつ状態」と呼び、重い抑うつ状態が続いて生活に支障をきたすことを「うつ病」と表現します。
うつ病(うつ状態)になると、気分や思考、身体症状などに支障をきたし、症状が進むと自分を否定して消えてしまいたいという気持ちが生じます。脳の神経伝達物質のバランスが乱れることで物事の認知が否定的になり、特に周囲や将来に対して悲観的な考えに偏りやすいのです。
悲しいことや辛いことが起きたときに抑うつ的な状態になることは珍しくありません。その多くは自然と回復しますが、症状が重く2週間以上続いているような場合はうつ病が疑われます。
参考:厚生労働省「心の健康(うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル)」
5.適応障害
適応障害の症状はうつ病と似ていますが、うつ病の原因は複雑で断定しにくいことに対して、適応障害は特定の状況や新しい環境に適応できずに発症してしまう疾患です。
憂鬱な気分や不安感、意欲・集中力の低下、身体症状等に加えて、ものの見方が否定的になり「自分はダメだ」「自分が悪い」と自分を責めてしまう症状もあります。引越しや結婚、昇進や部署異動など、例え本人が望む変化であっても、変化はストレスやプレッシャーを与えるのです。新しい環境には少しずつ慣れていけば良いのですが、ストレスによる症状が生じて、生活や仕事に支障がきたす場合に適応障害と診断されます。
適応障害はストレスの原因がはっきりしていることが多く、原因を解決することや環境を調整することで解決に向かいます。逆に環境を変えづらい場合は慢性化しやすいことが特徴です。