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吐いてしまうことが怖い…もしかして、嘔吐恐怖症かも?
「吐くのが怖い」「人が吐いているのも見たくない」こんな思いで悩まされていませんか?吐くことは誰もが嫌がること。しかし、嘔吐や吐き気への恐怖心が強くなりすぎると、食事や旅行など日常生活の一部を制限せざるをえなくなり、楽しい日々を送れなくなってしまいます。
このような苦しい状況にある場合、嘔吐恐怖症を生じているかもしれません。
本記事では、嘔吐恐怖症の症状や原因、治し方を紹介します。自分の症状が嘔吐恐怖症に当てはまるのか、自分に合った治療法をチェックするだけでも、嘔吐への恐怖心を和らげる大きな一歩となるはずです。
嘔吐恐怖症とは
嘔吐恐怖症とは「吐くのが怖い」「バスで人が吐いたらどうしよう」など、自分や他人が嘔吐することに対して強い恐怖心を覚える症状のことです。
嘔吐恐怖症になると、自分が嘔吐しそうになる状況や、人が嘔吐する可能性の高い場面を必要以上に避けるようになります。例えば、生ものを食べない、酔っている人がいる会食や居酒屋には行かないなどが挙げられます。嘔吐への恐怖心が増すあまり、学校や会社へ行けなくなったり、バスや電車など公共交通機関に乗れなくなったりする人も。
日常生活に支障をきたすこともある嘔吐恐怖症ですが、高所恐怖症や対人恐怖症などと同じく「限局性恐怖症」のひとつです。恐怖症と聞くと「医師に相談して治す」という考えにならないことも多いでしょう。しかし原因が分からないまま苦しんだり、周りの人に理解されずに余計悩んだりすると、悪化してしまう恐れがあります。
嘔吐恐怖症になる原因や症状は、人によってさまざまです。原因を知り、あなたに合った治し方を取り入れることが、嘔吐恐怖症の克服への第一歩となります。本記事をチェックして、楽しい生活を少しずつ取り戻していきましょう。
嘔吐恐怖症になる主な原因
嘔吐恐怖症になる原因は人によってさまざまです。過去の嘔吐に関する嫌な体験がきっかけになっている人もいれば、心配性な性格が要因になっている人もいます。
嘔吐恐怖症を治すためにも、原因を突き止めることは大切です。気持ちがつらくなければ、医師や信頼している人に話を聞いてもらい、あなたを悩ませている原因をひも解いていきましょう。
ここでは嘔吐恐怖症になる原因を4つ紹介します。あなたに当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
1.過去の嘔吐に関する経験がトラウマになっている
過去に自分が嘔吐して苦しんだ経験や、家族や友人が吐いているのを見た経験がトラウマとして心に強く残り、嘔吐恐怖症を発症するケースです。その時の印象があまりにも強いため、「嘔吐は怖くてつらいもの」という考えが頭から離れなくなっています。
嘔吐の場面だけでなく、嘔吐を連想させる嘔吐物のにおいや、ちょっとした喉のつまりもトラウマとして残り、嘔吐恐怖症の原因となっていることもあります。
参考:病気スコープ「嘔吐恐怖症って?原因や症状をチェック!病院で受ける治療を解説」
2.人前で嘔吐して恥ずかしい思いをした経験がある
「バスに酔って友達の前で吐いてしまった」「給食を食べすぎて吐いてしまった」など、人前で吐いてしまった経験はありませんか?その際、恥ずかしい思いをしたり、他人から拒絶されたりしたことがきっかけとなり、嘔吐恐怖症を発症することがあります。
人前で吐いた経験がトラウマになっている人は、他人からの批判が忘れられず「人前で吐くと拒絶される」という考えになってしまっています。人前で吐くことを恐れるあまり、学校や会社に行けなくなったり、公共交通機関に乗れなくなったりする人も多いです。
参考:病気スコープ「嘔吐恐怖症って?原因や症状をチェック!病院で受ける治療を解説」
3.嘔吐に関して偏った考えを持っている
「吐き気を感じたら嘔吐は止められないもの」「食後に運動すると絶対吐いてしまう」というような、嘔吐や吐き気に対する強い思い込みは嘔吐への恐怖心を増大させてしまいます。
嘔吐に対する強い思い込みは、過去のトラウマの有無にかかわらず生じます。これが原因で悩まされている人は、「のどに違和感があるからといって吐くわけではない」「食事後、多少運動しても大丈夫」というように、嘔吐に対する思い込みと、客観的な現実との違いを実際に確かめていくことが大切です。客観的事実を確認することで、柔軟な考え方ができるようになり、嘔吐恐怖症の克服に近づくことができるでしょう。
参考:認知行動療法研究「パニック症と広場恐怖症が合併した嘔吐恐怖症に対する認知行動療法の一症例報告」
4.嘔吐のシーンを避ける行動を繰り返している
嘔吐の場面を避けるために「生ものや特定の食品を食べない」「食事中に離席する」「外出を避ける」などの行動をとることは、一時的に安心感をもたらしてくれます。しかし、このような行動を続けると、不安感を持続させるだけでなく、嘔吐への恐怖心を強くしてしまうことがあります。
嘔吐や吐き気を警戒しすぎて、行動を制限してしまう時は「食事中は相手との会話に集中する」「味覚を楽しむ」など、他のことに集中してみましょう。できることが増えると、嘔吐の場面を必要以上に避ける行動も減っていき、少しずつ元の生活を取り戻せます。