解離性同一性障害(多重人格障害)の主な原因

解離性同一性障害は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と関連の深い精神疾患でしょう。なぜなら、解離性同一性障害の発症のきっかけの多くは、患者が幼少期に受けた心的外傷(トラウマ)だからです。

幼少期にひどい虐待(特に性的虐待)を受けるたび、耐えがたいストレスを軽減するため解離が起こり、本人とは別の人格が形成されてしまうのです。

虐待を受けたことがなくても幼少期に大切な人と死別していたり、保護者が不仲であったり、学校でのいじめの経験があったりして、強い精神的ストレスを経験している人もいます。

解離性同一性障害の人格交代も、何らかの強い精神的ストレスが引き金となって起こることが多いでしょう。人格交代のスイッチが入ると、解離性混迷や運動障害・けいれんが起こるので、声をかけても反応せず、意識はあるものの喋ることが難しい状態になってしまうのです。

参考:Mentally PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?主な症状と治療法を紹介!

解離性同一性障害(多重人格障害)の治し方・治療法

解離性同一性障害の治療において何を「完治」の状態とするかは難しい問題です。

大きく分けて、完治の状態は2通りあると考えられます。1つめは、人格がひとつにまとまり、記憶も全て戻った状態。2つめは人格は複数のままであるものの、社会生活を送るには支障がない状態です。

後者を完治の状態とするのに引っかかりを覚える人もいるかもしれません。しかし、DSM-5の診断基準をみると、社会生活に支障がない限りは精神疾患となる要件は満たさないのです。

以前は人格をひとつにまとめるのが正しい治療とされてきました。現在では、複数の人格は患者にとって必要があるから存在すると考え、調和を図るのが望ましいとされています。

薬物療法

解離性同一性障害そのものに有効な薬はないのが現状です。対症療法的に、人格交代により生じる気分の波や、不眠や悪夢に対して抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗精神病薬が用いられます。

抗うつ薬は、患者の症状によってはかえって衝動性や攻撃性を増してしまうこともあるため、医師の診察の上で慎重に処方が決定されます。薬物療法のみで治療するというよりも、ほかの治療法と併用されることが多いでしょう。

精神療法

精神療法では、臨床心理士(公認心理師)と話し合いながら、主人格と交代人格がお互いに協力し合い、トラウマ記憶に脅かされずに生活できるようになるのを目指します。主人格の知らない心的外傷(トラウマ)記憶を交代人格が持っていることが多いため、トラウマ体験の適切な処理が必要になるでしょう。

治療にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療と同じ技法が用いられます。もちろん、トラウマ記憶を無理に引き出さないよう細心の注意を払います。

解離性同一性障害(多重人格障害)の方が働く際に気をつけること

解離性同一性障害の人が働く際に気をつけなければならないことが3つあります。1つめは、記憶の混乱と欠如です。前触れなく人格が交代する可能性があるため、常にメモをとる癖をつけておくと、物忘れによるミスを減らすことができるでしょう。

2つめは、交代人格に共有したい内容がある場合は、自分がよく見るメモを活用することです。参考URL先のはるさんはLINEメモを活用しています。LINEは日常的によく目にするツールなので情報共有にもってこいでしょう。

3つめは、極力疲れやストレスを溜めないことです。疲れやストレスが溜まると、交代人格が出現する可能性が高まるでしょう。たとえ交代人格が出現してしまったとしても、焦らず、よく休むようにするのが大切です。

参考:PARACafe 解離性同一性障害による健忘と「働く」のバランス

解離性同一性障害(多重人格障害)の方への正しい接し方

周囲の人が解離性同一性障害の患者と接する時に大切にしてほしいことは、病気に対する正しい知識を身につけ、患者にとっての理解者となることです。解離性同一性障害は特徴的な症状を持つため、架空の疾患であると誤解を受けやすい精神疾患です。

双極性障害や統合失調症、てんかんなど、ほかの疾患と似ている症状がみられることも多いため、病名を決めつけずに、まずは精神科やメンタルクリニックへの受診を勧め、適切な問診と診断を受けることが大切です。

患者に接する際は、患者の様子がおかしかったとしても、演技や甘えと決めつけずに、いつも通り穏やかに接するのを心がけてください。決して「嘘つき」などと罵ってはいけません。

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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