摂食障害(拒食症)とは|原因・症状・なりやすい性格・治療法を徹底解説

メンタルヘルス

この記事を監修してくれたのは…

摂食障害(拒食症)とは

年齢や体型によって健康的な食習慣は異なります。個人差の範囲を超えて無茶な食べ方をすれば、健康に悪影響を及ぼすでしょう。社会生活に支障をきたすほど太るのを恐れ、極端な食習慣にこだわるようであれば「摂食障害」である可能性も。

摂食障害には、極端な食事制限により異常に痩せる神経性無食欲症(Anorexia nervosa)、無茶食いとおう吐を繰り返す神経性過食症(Bulimia nervosa)があります。前者は拒食症、後者は過食症とも呼ばれます。

アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアルでは、BMI[体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]が17.5以下で拒食症の診断基準となります。また、拒食症には食事の量や回数の極端な制限、太ることへの恐怖心、ボディイメージの歪みといった特徴がみられます。

実際には痩せているのに太っていると思い込んだり、少しでも体重が増えれば太り続けるのを恐れたりすることも。自分が病気であるとは思っていないため、家族や周囲の人が食事や休養をすすめても減量をやめないことが多いでしょう。

参考:摂食障害とは 厚生労働省

ストレスと摂食障害(拒食症)の関係性

落ち込んだときや退屈なとき、私たちはつい食事に救いを求めてしまいます。食事がストレス発散になる人が多い一方で、摂食障害の人は食べることでストレスをため込んでしまいがちです。憂さ晴らしのつもりで無茶食いをしても、嫌な気分は解消されないのです。

ダイエットがきっかけで食べる量を減らすうちに胃が小さくなり、食べられなくなる悪循環が生じることもあるでしょう。

摂食障害(拒食症)の主な原因

摂食障害になる要因は、主に4つあります。1つ目は社会的要因、2つ目は身体的要因、3つ目は精神的要因、4つ目は家族的要因です。

社会的要因

現在は飽食の時代と言われ、食欲を刺激するようなグルメ情報がそこらじゅうに溢れています。一方、痩せていることを賛美する文化もあり、多くの人が常にダイエットを意識しています。

身体的要因

摂食障害は10代から20代の若い女性がかかりやすい心の病気です。特に思春期になると男性は陰毛やひげ、女性は胸の発育や月経の始まりなどさまざまな二次性徴が起こります。成長に伴い性的にも成熟し、大人の体になることへの抵抗として痩せが生じることがあります。

精神的要因

拒食症になる人は自尊心が低く、痩せることで自信や自尊心を回復したいと思っていることが多いでしょう。

家族的要因

家族との食事は、一日の中でもっともコミュニケーションをとりやすい時間です。食べることと、家族同士の関わりは切っても切れない関係でしょう。

しかし、家族間のコミュニケーションが希薄な場合、食べ物を「いらない」と主張することが本人にとっての唯一の感情表現になることがあります。

摂食障害(拒食症)の症状

摂食障害には身体症状と精神症状があります。

身体症状には痩せに伴う筋力低下や疲れやすさ、低血圧、心拍数低下、低体温、無月経、便秘、下肢のむくみ、産毛が濃くなる、皮膚が乾燥する、手の平や足の裏が黄色くなるなどの症状がみられます。

過食やおう吐がある場合は唾液腺が腫れたり、手に吐きだこがみられたりもするでしょう。血液検査では脱水や貧血、肝機能異常、低タンパク血症、高コレステロール血症の有無がわかります。

また骨粗しょう症や賢機能障害もみられることも。低体重が長く続くと、脳の萎縮がみられることもあります。

精神症状には痩せの影響でうつ気分や不安、こだわりが現れます。本人は自分が痩せていると思っていないので、周囲の人たちとの関係が悪くなることもしばしば。仕事や学業の能率が低下したり、社会生活に支障をきたしたりするでしょう。

参考:摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害はどんな病気?)

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

関連記事

特集記事

TOP