シゾイドパーソナリティ障害とは|主な原因・症状・治療法を紹介

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シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)とは

シゾイドパーソナリティ障害とは、パーソナリティ障害の一種です。そもそもパーソナリティ障害とは、大多数の人と違う行動や反応をすることで、本人が苦しんだり周囲が困惑し、円滑なコミュニケーションが取れない病気です。

さまざまな精神機能の偏りから生じる症状なので、性格とは関係がありません。良好な人間関係が築けなかったり、社会生活を送りづらくなったりする症状が共通点です。中でもシゾイドパーソナリティ障害は、社会的関係から距離を取る行動が特徴的です。

社会に対して無関心であり、対人関係に豊かな感情を感じられない病気です。特に対人関係においては喜怒哀楽の表現に乏しく、誤解をされやすかったり、社会生活から孤立したりします。「他人に興味が無い」ともとれますが、彼らは実際に他人に興味はありません。

今回は、シゾイドパーソナリティ障害の症状や原因、治療法などをご紹介します。性格や個性だと一括りにせずに、病気であると認知することが大切です。また、シゾイドパーソナリティ障害とうつ病との関連性についても解説します。

参考:MSDマニュアル家庭版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」

参考:厚生労働省「パーソナリティ障害」

シゾイドパーソナリティ障害の原因

シゾイドパーソナリティ障害の発症には、遺伝子が関連していると考えられています。後述する家庭環境も影響しますが、先天的な原因の可能性もあるのです。統合失調症患者・統合失調型パーソナリティ障害患者の家族がいる場合、シゾイドパーソナリティ障害の発症が多くみられます。

環境面では、幼少期にネグレクト(育児放棄)を受けた経験があったり、養育者に冷たくされて育った経験があったりすると、発症しやすくなります。患者は、家族によそよそしくされて育つなど、家庭における人間関係が希薄だった過去が特徴的です。

家族との心理的な距離感が遠いと、子供は「対人関係は満足の得られるものではない」と判断し、シゾイドパーソナリティ障害が発症しやすくなります。また、女性よりも男性の方がやや発症しやすい傾向があります。

参考:MSDマニュアル家庭版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」

シゾイドパーソナリティ障害の主な症状

シゾイドパーソナリティ障害の症状は、主に3つに分かれます。

  • 他者からの孤立

シゾイドパーソナリティ障害の症状で、最も顕著なのが他者からの孤立です。シゾイドパーソナリティ障害の孤立は「行動やコミュニケーションの結果、周りから距離を置かれる」のではなく「自らの意思でコミュニティからの孤立を求める」のが特徴です。

友だちはもちろん、家族を含めた他人と一定の距離を取りたいと望みます。趣味も読書やゲームなど1人で完結できるものを選びやすく、恋人ができることは稀で、結婚をしないことが多いです。患者は能動的に社会的関係からの離脱をし、他者に対し無関心です。

  • 感情表現の少なさ

シゾイドパーソナリティ障害の人は、感情表現がひどく乏しいです。ただの不愛想な人と違うのは、感情を表出するのが困難なわけではなく、感情自体を感じていないのです。

怒るべき時に怒りがわかなかったり、コミュニケーションに深刻な影響を与えることもあります。顔の表情だけに限らず、自分の感情そのものを体現することがほとんどありません。

また、信頼できる相手に自分の感情を出す時に、内心では苦痛を感じているのも特徴です。「信頼できる相手になら感情を出せる」のではなく「信頼している相手に感情を出すのが苦痛」という認識を持ちます。

  • 症状の持続

シゾイドパーソナリティ障害では、上記の症状が継続します。他のパーソナリティ障害の症状と比べても、時間が経過しても同じ状態にとどまる傾向にあります。

  • 他の病気の併発

シゾイドパーソナリティ障害では、しばしば依存症の併発が見受けられるのも特徴です。患者の最大半数は、過去に最低1回のうつ病を発症したことがあるというデータがあります。また、統合失調症や妄想型のパーソナリティ障害も発症するケースが多いです。

参考:MSDマニュアル家庭版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」

参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」

うつ病とシゾイドパーソナリティ障害の関係性

シゾイドパーソナリティ障害では、しばしば他の病気の併発が認められます。その中でも、患者の半数近くがうつ病を患った経験があります。シゾイドパーソナリティ障害は一見他人に無関心に見えますが、本音の部分(無意識下)では人と関わりたいと思っている可能性があると言われています。

しかし、人と関わりたい気持ち以上に「人と関わることが無意味である」「人間関係の中に幸福はない」などの気持ちが強まり、理想と現実とのギャップが生じます。その結果、抑うつ状態になりやすいです。

人間関係が希薄であり、困った時に他人に助けを求める行動をほぼ取りません。そのため、気分転換やストレス発散が苦手で、鬱うつとした気分を溜め込みやすい状態です。

幼少期が原因で、他人に対して期待をしない考えが固まっていることもあるので、自分で何とかしようとする人が多いです。何らかの活動をしても喜びを得づらいことで、周囲との違いを感じることが、うつ病の併発しやすさに関連しているといえるでしょう。

参考:MSDマニュアル家庭版「シゾイドパーソナリティ障害(ScPD)」

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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