この記事を監修してくれたのは…
目次
自己愛性パーソナリティ障害とは
自己愛パーソナリティ障害とは、日本語では人格障害とも呼ばれる精神疾患の一種です。近年急増している病気の1つで、自己愛性が持てない、つまり自分を愛せない病気です。自己愛が健全に育まれないことこそが、自己愛性パーソナリティ障害の本質とされています。
そもそも「自己愛」の意味とは、自分自身を愛することです。通常、私たちは成長の過程で、自分を愛し大事にすることを学びます。しかし何らかの環境的トラブルや人間関係トラブルが起き、上手に自分を愛せなくなった人の一部が自己愛パーソナリティ障害を発症します。
自己愛性パーソナリティ障害の症状は、知らない人からすると「性格」「個性」で一括りにされてしまうケースも多いです。しかし、症状が原因で良好な人間関係が築けなかったり、スムーズな社会生活が送れなくなったりするので、性格の一言では括れない深刻な病気です。
今回は、自己愛性パーソナリティの原因や症状、治療法などをご紹介します。ご自身が自己愛性パーソナリティで悩んでいる方はもちろん、周囲の人の自己愛性パーソナリティの行動に悩まされてる方もぜひご参考くださいね。
参考:MSDマニュアル家庭版「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」
自己愛性パーソナリティ障害の原因
自己愛性パーソナリティ障害の原因は、遺伝子と環境要因が関わっている可能性が高いとされています。環境要因として大きな影響力を持つのは「家庭環境」と言われます。幼少期から、健全な自己愛を持てない環境で成長した人間が発症しやすい病気です。
具体的には、親が必要以上に子供に批判的な言動をとったり、逆に過度に子供を賞賛したりすることなどが挙げられます。子供への愛情が「批判」や「甘やかし」として現れ、本人が自分の評価を正しく認識できなかった過去が影響しています。
親から正しく認めてもらえないまま大人になるので、過去に満たされなかった承認欲求を取り戻すように、大人になっても周囲に必要以上に求めがちです。また、本来以上に自分の能力は高いと信じ込み、その自己イメージを他人に振りかざします。
中には、実際に特別な才能や能力を持っていることが原因となるケースもあります。その際は、自分の価値を他人からの賞賛や尊敬を結びつけるのに固執しがちです。
参考:MSDマニュアル家庭版「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」
自己愛性パーソナリティ障害の主な症状
自己愛性パーソナリティ障害の症状は、大きく3つに分かれます。「誇大性」「自分は特別であるという空想」「賞賛を受けることへの依存」です。
1.誇大性
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分の能力を過大評価しています。自分は人より優れている人間であると思い込みます。業績や実績を語る時も大げさに表現し、自分を大きく見せるために他人を過小評価しがちです。
2.自分は特別であるという空想
自己愛性パーソナリティ障害の人はプライドが高く、自尊心が傷つかないことを重要視します。そのため、自分は選ばれた特別な人間であると信じ、同じように才能がある人間とのみ関わろうとします。人によっては、知性以外にもルックスや影響力の高さを認識し、周りにもアピールします。
3.賞賛を受けることへの依存
自己愛性パーソナリティ障害の人は、人から賞賛されることで自尊心を守る傾向があります。過度の賞賛を受ける必要があり、自分が誰にどれだけ褒められるかに非常に敏感です。反対に、批判をされたり恥をかいたりするのを強く恐れ、自分が失敗するかもしれない場面を避ける傾向があります。