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【臨床心理士が解説】うつ病(鬱病)とは?
うつ病(鬱病)は、気分障害の一つです。誰にでも一時的な気分の落ち込みは起こり得ますが、気分の落ち込みが一定期間続き、日常生活に支障をきたしている場合はうつ病の可能性があります。
うつ病になると、心と体の両方にストレスがかかることを背景に、脳がうまく働かない状態になります。仮病や甘えではなく、脳の機能低下が原因です。また、100人に6人が発症するというデータから、特別めずらしい病気でもありません。
治療には、医師の診察と投薬を行います。うつ病になりやすい物の考え方や生活習慣の見直しのために、臨床心理士によるカウンセリングを行うこともあります。誰でもなり得る心の病だからこそ、必要な知識を持つことで、自分だけでなく身の回りの人を助けることにつながるのです。
引用元URL:こころの病気の患者数の状況
気分障害とは?
気分障害の分類は、①うつ病(重症が大うつ病でそれ以外もある)、②双極性障害(重症が双極Ⅰ型で軽症が双極Ⅱ型)に分かれます。①の主な精神症状は、気分の落ち込み、興味関心の減退、自責感、無価値感、日内気分変動(朝に最も気分の落ち込みがひどく、夕方にかけて回復する)です。身体症状は、食欲不振、睡眠障害、身体の怠さなど。
②の主な精神症状は、気分の高揚、観念放逸(話が次から次へと飛ぶ)です。身体症状は、過活動、食べすぎや飲み過ぎ、衝動買い、寝なくても平気になる、まとまった作業ができなくなるなどが現れます。双極性障害は、気分の波があり、①と②の症状を反復するところが特徴的です。
参考URL:双極性障害(躁うつ病)
【心に現れる】うつ病(鬱病)の主な症状&特徴
うつ病の心の症状として有名なものに「気分の落ち込み」があります。さらに、「興味関心の低下」「自責感や無価値感」「焦りやイライラ」「日内気分変動」があります。
下記に、心に現れる代表的なうつ病の症状や特徴をまとめています。「ただの落ち込み」かうつ病の「気分の落ち込み」であるのか判断するポイントを知り、その違いを理解しましょう。
1.気分の落ち込みがある
一時的な気分の落ち込みと、うつ病の違いはどこで見分けたら良いのでしょうか?ポイントは「どのくらい長く気分の落ち込みが続いているか」です。一時的なものであれば2〜3日で回復しますし、人に話したりストレス解消したりといった対処療法ですぐに元に戻ります。しかし、うつ病は短期間、かつ対処療法だけでは元に戻りません。2週間以上気分の落ち込みが続いている場合は要注意です。
参考URL:うつ病とは
2.何に対しても興味が持てなくなる
何をしていても気分が落ち込み、これまで楽しいと感じていた趣味が楽しめなくなったり、関心のあったものにも興味が持てなくなったりします。趣味やもともと興味のあったものだけでなく、食事や掃除、お風呂といった日常生活での何気ない動作も億劫になります。化粧や着替えなどもできなくなり、外出の機会が減ることもあるでしょう。1日中布団から起き上がれず、ゴロゴロしていることが増えていきます。
3.自責感や無価値感がある
これまで当たり前にしていたことができなくなるので、「こんな自分で申し訳ない」と自分を責める気持ちが湧いてきます。周囲からは意欲がないことを「怠けている」と勘違いされやすくなるので、批判や叱責を受ける機会が増える機会が増え、自責感や無価値感が生じてしまいます。自分なんていても仕方ないと思うようになり、悪化すると「私なんて生きていても仕方ない」と無価値感につながります。
4.焦りがあり、イライラする
うつ病になると、自分ができないことに対する焦りやイライラしてしまう機会が増えます。何かしようと頭の中で考えるのですが、焦りばかりがつのってイライラします。時にじっとしていられなくなってソワソワと落ち着かなくなりますが、気持ちや考えが空回りするばかりで実際には何も解決しないことも少なくありません。また、仕事や家事の段取りが悪くなります。不安や焦りは、高齢者の方に多く生じやすいといわれています。
参考URL:うつ病のこころの症状
5.日内気分変動がある
朝が最も調子が悪く、夕方になるにつれ回復していくといった「日内気分変動」が起こります。ずっと調子が悪いわけではないため、仮病や怠け・甘えではないかと周囲から勘違いされやすくなります。
双極性障害の場合は、元気に見える時期と気分の落ち込みや行動の抑制が強くなる時期の両方がみられ、うつ病と混同されがちです。うつ病患者すべてに見られるわけではなく、夜に最も気分が落ち込む方もいます。
【体に現れる】うつ病(鬱病)の主な症状&特徴
うつ病には精神的な症状以外にも、体に現れる症状があります。「眠れなくなる」「食欲の低下や過食」「動作が遅くなる」「疲れやすくなる」などさまざまな症状を訴える人がいます。また、自律神経失調症に似た症状を訴えることもあります。
うつ病特有のサインを知っておくと、自分や身の回りの人が不調を訴えているときに、すぐ気づけます。では、早速どんな体の症状があるのか見ていきましょう。
1.眠れなくなる
うつ病と不眠には強い関連性があると言われています。もともと不眠があると、うつ病になるリスクが4倍も高くなる報告もあるほどです。うつ病でよく見られる不眠には、「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」があります。
不眠が続くと、1日の生活リズムが崩れます。疲れが取れないまま朝を迎えることになり、頭が重かったりだるかったりなどの症状から、朝方最も調子が悪く夕方にかけて回復していく「日内気分変動」も起こりやすくなります。
参考URL:うつ病とは
2.食欲の低下や過食
うつ病になると食欲の低下がよく起こります。「食べなきゃ」と無理して食事をとるものの、味がしなかったり砂を噛んでいるように感じたりします。食事量が減ると体重も減るため、疲れやすくなります。頭がぼーっとする「思考抑制」が起こり、夕食のメニュー決めや車の運転など、頭の回転が必要な日常生活の動作に影響することもあるでしょう。
一方で、食べても満腹感が得られず、過食し太ってしまうこともあります。
3.動作が遅くなる(行動抑制)
思考抑制では頭の回転が鈍くなりますが、「行動抑制」では体の動きが鈍ります。周囲から見ても明らかに動きがロボットのようにぎこちなくなったり、声が小さくなったり、口数が減ったりします。日常生活の動作が遅くなるので、普段なら何気ない動きでも、一つ一つをこなすだけでとても疲れてしまうのです。
そのため、下記のような「疲れやすさ」が生じます。
参考URL:うつ病について