この記事を監修してくれたのは…
目次
思い込みが激しくなってしまっている…
自分は真剣に悩んでいるのに「考えすぎだよ」「思い込みが激しいだけだよ」といわれると、落ち込んでしまいますよね。思い込みが激しいことには性格以外にも原因があるといわれており、悩みのルーツを理解すると対処しやすくなります。
思い込みが激しいこと自体は、悪いことではありません。人の気持ちを察する力が強いという魅力です。個性として捉え、上手に付き合えば今よりもっと楽な人付き合いができるようになるでしょう。
今回は、思い込みが激しくなる原因や予想される精神疾患、対処法などをご紹介します。想像力の豊さや感受性の強さという個性はそのままに、心配の量を減らしてより生きやすい毎日を目指していきましょう。
思い込みが激しい主な原因とは
思い込みが激しいと、周囲とのコミュニケーションが上手に取れなくなります。間違いを指摘してもらっても素直に受けとれなかったり、自分の意見を押しとおすために相手の気持ちを無視してしまったり……。
気づいた時には仲間が離れてしまっていたという事態にもなり得ます。悲しい状況になる前に、思い込みが激しい原因を考えてみましょう。
1.自分の考えを強く否定されてしまった
過去に自分の考えを強く否定されてしまった人は、思い込みが激しくなりやすい傾向があります。多くの人は自分の間違った認識を他人から指摘されたとき、考えを改める人が多いでしょう。
しかし、ショックを受けるような否定をされると、自分を守るために相手の意見を否定したい気持ちが強まることがあります。自分の価値観や意見を正当化するために「思い込み」が強まり、物事を正しく見られなくなります。自分を改めるよりも「否定してきた相手」が間違っていると考え、自分の心を守ろうとするのです。
2.過去の成功体験から前に進められていない
一度成功体験をすると、当時の価値観や考え方からなかなか抜け出せません。時代と共に周囲や世の中の価値観も変わり、接し方やニーズも変化することを認められずにいます。
「昔はこれで成功したんだから、自分のやり方は間違っていない」と思い込んでいて、知識や価値観をアップデートしないでいることも多々あります。そのため段々と時代やコミュニティに取り残され、孤独を感じるようになります。
3.精神疾患の可能性がある
空想や想像は誰にでもある症状です。実際に子供のころは空想の世界で遊ぶ時間が多く、大人になっても想像の中だけで夢を叶えたり、悪い空想をしてしまって傷つくこともあるでしょう。
しかし、想像や空想が「思い込み」に変化し、あたかも現実かのように感じ、徐々に「これは事実に違いない」と思ってしまう場合は、それは妄想となり、精神疾患になっている可能性を疑います。とはいえ、思い込んでいる本人からすると妄想の症状を精神疾患と認めることは極めて困難であり、通院のためには周囲からのサポートが必要となる場合もあります。
思い込みが激しい症状から想定される病気(精神疾患)
思い込みが激しい場合は、軽度であれば「性格」として片づけられることも多いでしょう。
しかし、思い込みの激しさが原因で社会生活に支障が出たり、健全なコミュニケーションを取るのが困難になったりする場合は、精神疾患として解釈されるケースも。
思い込みが激しい症状から想定される病気(精神疾患)をご紹介します。
1.妄想性パーソナリティ障害(PPD)
妄想性パーソナリティ障害(PPD)は、他人が自分に危害を与えようとしていると思い込み、人を避けるようになっていくパーソナリティ障害です。周囲を疑いすぎて日常生活に支障が出て、対人関係にもトラブルが起こります。
相手からするとまったく悪意が無い言動でも被害的にとらえてひどく傷ついてしまい、相手に対し「自分を傷つけようとした」と思い込みます。自分の疑いが正当なものであると確信するために、相手の悪意の証拠を探そうとすることも特徴です。
参考:MSDマニュアル家庭版「妄想性パーソナリティ障害(PPD)」
2.統合失調症
統合失調症は、脳のさまざまな動きをまとめることが難しくなり、主に幻聴を呈する幻覚や妄想などの症状が現れる病気です。実際には聞こえない音が聞こえており、その幻覚や妄想の世界に入り込んで現実と妄想の区別がつかなくなってしまいます。
幻覚や妄想は現実感が強く、なかなか病気である自覚を持てません。本人には実際に見えたり聞こえたりしているためです。日本での統合失調症の患者数は約80万人といわれていて、生涯のうちに統合失調症を発症する人は全体の1%と推測されている身近な精神疾患です。
参考:厚生労働省「統合失調症」
3.その他の精神疾患
他に当てはまる「思い込みが激しい症状から想定される精神疾患」は、妄想性障害が代表的です。妄想性障害では、他人に利用されていると感じたり、攻撃されていると感じたりなどの「1つまたは複数の妄想」が1ヵ月以上継続します。
妄想性パーソナリティ障害の症状に起因して併発するケースもあり、他人に対して全般的な不信感を抱きやすい状態になります。
思い込みの種類は「家族や恋人に裏切られる」という現実的にありえるものから「体に傷を付けずに内臓を持ち去られた」という妄想性の高い内容まで、幅広い傾向があるのが特徴です。