フラッシュバックの症状から想定される精神疾患とは?PTSDの治療法

メンタルヘルス

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トラウマがフラッシュバックしてしまう…

人は誰しもつらい経験をすると、過去の出来事を思い出して涙がでたり、眠れなくなったりするものです。日常生活の中でトラウマ体験を思い出すことをフラッシュバックといいます。

トラウマとは心的外傷体験のことです。交通事故や事件など生命に関わる出来事の体験や、戦争や災害などのニュースを見聞きして、強いストレスにさらされた経験そのものを指します。トラウマの多くは時間が経つと記憶が整理されるといわれ、過去の経験として認識できる場合もあります。

フラッシュバックとは、過去のトラウマ体験をまるで今起こっているように感じる、急に思い出すなどの症状です。フラッシュバックに悩み、トラウマ体験の恐怖心が長期にわたって和らがない場合は精神疾患も考えられます。1ヶ月以上トラウマのフラッシュバックが続く場合には、早めに専門医へ受診することも大切です。

参考:2020年 株式会社有斐閣出版 中島義明他 『心理学辞典』p.756

フラッシュバックの主な症状

フラッシュバックは主に3つの症状が挙げられます。

フラッシュバックとは、トラウマの原因を思い出すきっかけがあるときにトラウマ体験が鮮明によみがえる症状です。フラッシュバックが起きると実際にその出来事を再び体験しているような感覚になります。

フラッシュバックによりさまざまな身体症状が生じます。不眠や落ち着かない、仕事に集中できないなどの症状に悩む人も少なくありません。主な症状をそれぞれ一緒に見ていきましょう。

1.不安な気持ちが襲ってくる

つらい記憶が鮮明にフラッシュバックすることで不安感に支配される症状が挙げられます。鮮明に過去の出来事を思い出すため、悪夢を何度も見る症状や不眠に悩む人も少なくありません。

不安な気持ちが急に襲ってくるため常に精神的に緊張状態となって感覚は過敏になります。例えば、「ちょっとした物音で驚く」、「トラウマ体験に対する感情が爆発して怒る」、「急に涙を流す」などの症状です。

2.トラウマに対しての強い恐怖心を思い出してしまう

フラッシュバックの症状には、ふとしたときにトラウマ体験を思い出し、強い恐怖心を覚える人もいます。トラウマ体験を思い出す状況や出来事は人によりさまざまです。無意識のうちにフラッシュバックのきっかけとなり得る状況を、避ける行動がみられるともいわれています。

強い恐怖心によって過度な緊張状態に陥ると、動悸、筋肉の震え、めまい、呼吸困難などの症状が生じます。

参考:文部科学省 在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第2章心のケア各論

3.無力・無気力になる

家族や友人が亡くなった喪失感から無気力状態になる人も少なくありません。受け止めきれない現実に対して自分がどうすればいいのかわからず、無力さを感じる場合があるのです。

また、感情や感覚が麻痺するケースもあります。この症状は強いストレス状態から自分を守るためにみられるごく自然な反応です。周囲の人に対して今まで感じていた愛情や好意を感じられなくなるといわれています。

参考:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「PTSD」

フラッシュバックの原因から想定される主な精神疾患

フラッシュバックが起こる原因は人それぞれです。自然災害や事故だったり、いじめやパワハラなどが原因になったりする場合があります。強いストレスを感じる出来事に対する感じ方は人により異なるものです。

フラッシュバックの原因となるトラウマ体験は大きく2つに分けられます。

  • 1つの大きなトラウマ体験:交通事故・自然災害など
  • 複数のトラウマ体験:いじめ・ハラスメント・家庭内暴力など

フラッシュバックの症状から想定される精神疾患には「急性ストレス障害」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」が挙げられます。

急性ストレス障害は、自然災害や事件の被害者などの生命の危険にさらされるような強いショックを受けた後、1ヶ月以内に回復する場合に診断。

一方PTSDは、強いストレスを感じる出来事を体験、あるいは見聞きした後、恐怖感や悪夢、フラッシュバックなどの症状が1ヵ月以上持続し日常生活に大きな支障が出ているときに診断されます。

参考:新百合ヶ丘スマイルメンタルクリニック「PTSD」

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療法・治し方

PTSDの症状を和らげるために医師のサポートのもと、トラウマの原因に焦点をあてトラウマ体験の記憶を呼び起こす治療法が一般的です。PTSDの症状の慢性化を防ぐために大切なのは早期発見と早期治療です。早い段階で心療内科やカウンセリングを受診すると、改善率は高まるといわれています。

強いストレスを感じる出来事によってトラウマを抱えているケースでは、トラウマ体験をあえて思い出し、恐怖心や不安感の原因を理解する中で恐怖心を克服していきます。なおPTSDと併発して不眠やうつ状態などの症状があるときには、薬物療法として抗うつ薬、気分安定薬などが投与されることも。

ほかにも、自然災害や交通事故など同じトラウマ体験をもつ患者同士で語り合う「グループ療法」といった治療法もあります。

PTSDを治す上で重要なのは、トラウマ体験の原因を理解し頭の中で整理することです。強いストレスを感じる経験は、落ち着いて状況を整理しづらいものです。頭の中でトラウマ体験が整理されないと、事実と感情が混ざったり、必要以上に自分を責めたりすることに繋がります。記憶を正確に把握し、過去の出来事の事実を理解することがPTSDを治すうえで欠かせません。

参考:市ヶ谷ひもろぎクリニック「原因はPTSD?」

一人で抱え込まず、周囲の人に相談しよう

自然災害や交通事故、大切な人を亡くした経験から、不安感や悲しみの感情に支配され悩む人も少なくありません。トラウマに悩やまされるときは、話せる範囲でかまいませんので自分の体験と、そのときに感じた感情を他の人に話してみてください。

人と話すことは記憶を整理する際にも役立ちます。積極的に家族や友人に話す時間を作ることもおすすめです。被災経験や交通事故など同じ境遇の人と互いに支え合う場を活用する方法もひとつです。

例えば、「交通事故の被害者および家族、遺族の会」が挙げられます。交通事故を原因に同じようなつらさを抱えた人同士で励ましあい、支え合うことが目的の自助グループです。強いストレスを感じる体験から現実を受け入れられなかったり、自分の感情がコントロールできなくなったりします。

さまざまな症状に関する悩みを打ち明けることで、被害者自身や被害者の家族や遺族の孤独感を減らしていけるでしょう。

参考:警視庁 交通事故被害者の支援〜担当者マニュアル「第6章交通事故被害者および家族・遺族の会の役割」

仕事・恋愛・家庭で支障が出たら、カウンセリングを受けよう

本記事では、フラッシュバックの症状と想定される精神疾患について紹介してきました。フラッシュバックが続く場合には、PTSDも考えられます。

時間が経ってもトラウマ体験をフラッシュバックしたり、生活に支障ある症状が続く場合には、1人で抱えずカウンセリングを受けることも大切です。相談する病院やカウンセラーがわからないときには保健所の相談窓口へ問い合わせして精神科やカウンセラーを紹介してもらいましょう。

周囲の人や信頼できるカウンセラーなどに過去の体験を話していく中で少しずつフラッシュバックする時間が減り、つらい症状から解放されていくことを願っています。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

清水真心

清水真心

フリーランスライター・メンタルトレーナー|音声配信でも活動。心理学卒、手帳とくま好き。元銀行員営業職。自身もうつ病、不安障害、パニック障害の発症経験がある。「穏やかな暮らしと心の伴走者」がモットー。

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