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うつ病と間違えやすい病気(精神疾患)とは?
「もしかして、自分はうつ病なのかも」と思ったことはないですか。気分の落ち込みや不眠、食欲不振などの症状がある病気はうつ病以外にもあります。
うつ病と間違えやすい病気には、身体疾患と精神疾患、認知症があります。
間違えやすい身体疾患は、感染症、甲状腺機能低下症、てんかん、脳血管障害、腫瘍などです。ウイルスや細菌により感染症が起こると、人の免疫細胞から炎症性サイトカインが生成され、神経系に作用し抑うつ状態を引き起こしやすくなるのです。
甲状腺機能低下症になると全身の代謝が低下し、無気力になるといった抑うつ状態に似た症状が現れます。てんかんの中でも、発作の発生元が側頭葉にある人は抑うつ状態になりやすいです。脳血管障害も同じく、側頭葉が影響を受けると抑うつ状態を生じやすくなります。
認知症の中でも、パーキンソン病の人の半数は抑うつ状態になるといわれています。
うつ病と間違われやすい精神疾患として代表的なものは双極性障害です。そのほかにも適応障害や不安障害、統合失調症、摂食障害、アルコール依存症などは抑うつ状態を生じやすい精神疾患です。
参考:国立精神・神経医療研究センター 三宅ラボ「うつ病と免疫」
参考:てんかん情報センター「てんかん特有の問題 抑うつ状態」
双極性障害(躁うつ病)と間違えやすいうつ病の5つの症状
うつ病と双極性障害の症状の中でも、いちばん見分けるのが難しいのが抑うつ状態の有無。うつ病と躁うつ病のどちらにも抑うつ状態は現れますが、躁うつ病の場合は躁状態と抑うつ状態が交互に現れます。この気分の波に気づけるかがポイントです。
そのほかの症状では、怒りっぽさや気の散りやすさ、睡眠時間の長さなどもうつ病と躁うつ病を見分けるのに役立つポイントです。うつ病と躁うつ病では同じ症状でも内容が違うため、知っておくと違いに気づきやすくなるでしょう。
1.抑うつ状態が現れる
気分が落ち込み、何もやる気になれない状態のことを「抑うつ状態」といいます。気分の落ち込みや無気力以外にも、無関心、自責感や無価値感、日内気分変動(朝調子が悪く夕方にかけて回復する)などが生じます。
双極性障害で精神科病院を受診する場合、抑うつ状態になってからのことが多いものです。躁状態の時は、むしろエネルギーに満ちて調子が良く感じるため受診に至らないためです。初診の段階で抑うつ状態があり、本人が躁状態を自覚できていないと、うつ病と誤診される可能性が高まります。
2.気分の波がある
うつ病の中でも、非定型うつ病の場合は気分に波が生じやすく、趣味や余暇活動など楽しい出来事があると、抑うつ状態から一転して気分が明るくなることがあります。
双極性障害の場合は、抑うつ状態から躁状態に切り替わる際に、気分が落ち込んだ状態から気分が高揚した状態に移行します。どちらも周囲の人からみすれば「気分に波がある」とみてとれるため、見分けるのが難しいのです。
参考:社会医療法人博友会「女性がなりやすい「非定型うつ」とは?特徴や原因を解説」
3.怒りっぽくなる
うつ病になると、これまでできていたことができなくなり、なぜこんなこともできないのだと焦りや自責感を覚え、イライラと怒りっぽくなってしまうことがあります。
双極性障害の場合は、躁状態では次々とアイデアが湧き創造性が働くものの、自分の思い通りに物事が進まないときにイライラを感じ怒りっぽくなります。ときには周囲の人との人間関係に悪影響を及ぼすことも。同じ怒りっぽさでも、うつ病と躁うつ病では質が異なるのです。
4.気が散りやすくなる
うつ病になると、頭がボーッとしてうまく働かないと感じる機会が増えます。集中力が低下して注意力が散漫になり、仕事や家事、勉強が思うように進められなくなります。特に、優先順位をつけて順番にこなすのが苦手になりがちです。
双極性障害の場合は、ひとつの物事にじっと集中するのが難しくなります。アイデアが次から次へと湧いてきて、興味がどんどん移り変わるので、ひとつの物事に集中することができなくなるのです。
5.睡眠時間が減る
うつ病の場合は入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒といった睡眠障害が増えます。寝ついても眠りが浅く、朝起きた時に頭がぼんやりしたり、体のだるさを感じたりします。睡眠時間が減ることでパフォーマンスが下がるのが特徴です。
双極性障害の場合は睡眠時間が減ってもけろっとしており、むしろ調子が良いと感じます。本人は疲労を感じていませんが、実際は体にダメージが蓄積されており、体重の減少や飲酒量の増加といった症状がみられることも。