聴覚過敏の症状が出る病気(精神疾患)とは?音に敏感になったら…

メンタルヘルス

この記事を監修してくれたのは…

音や声に敏感になった…どこにいても、うるさく感じる…

カフェで作業をしていると周りの話し声やBGMがやたらと気になる、工事中の道路の音がものすごくうるさく感じる、会社でキャビネットがカチャリと鳴るだけで発作的に涙が出てしまう。

そういった症状を感じてはいるものの、これは病気なのだろうか?と自問自答して悩んでしまう。音や声に敏感になっただけだから病気ではない、そう感じている人も多いのではないでしょうか。

そういった症状の原因は、実は聴覚過敏という病気である場合があります。今回は聴覚過敏の症状や原因について見ていきましょう。

聴覚過敏とは?主な症状

聴覚過敏とは、何でもない音が大きく感じる、日常の生活音がうるさく感じるなど、普通に日常生活を送る中で特に聴覚が敏感になる疾患です。音が不快に感じられたり、声が耳に入るのが苦痛に感じられたりすることで、日常生活に支障をきたしてしまうのが主な症状になります。

聴覚過敏においてどのような音が不快に感じられるかは人それぞれで、ドアをバタンと閉める音、キャビネットをカチャリと閉める音や工事中の音、子どもの泣き声、女性のヒールのコツコツという甲高い音やなど、大きな音から小さな音までさまざまです。

聴覚過敏の主な原因

聴覚過敏の主な原因として挙げられるのは、身体的原因、心因性の原因、精神疾患などさまざまです。中には原因不明な場合もあります。いずれにせよ、できる限り原因を突き止め、対処することが必要です。それではここから、主な原因と考えられるものを見ていきましょう。

1.脳・耳など、身体的原因

聴覚過敏の原因としては、まず、内耳という耳の一部で音を調整して伝達する機能に支障が出ている場合などの身体的原因が考えられます。

人間の耳は全ての音を同時に拾っているわけではなく、大きい音は瞬間的に遮断して、鼓膜のダメージを防ぐなどの役割を果たしています。

しかしそういった役割が果たせなくなっている状態では、聴覚過敏の症状が出やすいのです。

2.心因性の原因(ストレスなど)

聴覚過敏の原因として、ストレスや自律神経の乱れも考えられます。過度なストレス下にあって聴覚過敏に陥ってしまったり、自律神経が乱れて交感神経が優位になり続け、緊張が続く状態になることが聴覚過敏の原因になってしまう場合が考えられます。

3.原因不明の場合も…

耳鼻科で検査しても、聴覚過敏の原因がわからないという場合もあります。原因不明のまま聴覚過敏になることもあるのです。

ただし、耳鼻科に行って原因がわからなくとも、精神疾患が原因で聴覚過敏の症状が出る場合もあります。下記に説明していきますので、ご覧ください。

聴覚過敏の症状が出る病気(精神疾患)

身体的要因や心因性の原因からではなく聴覚過敏の症状が出る場合、精神疾患の可能性を疑う余地もあります。発達障害や統合失調症、その他さまざまな精神疾患から聴覚過敏の症状が出る場合もあるのです。

1.発達障害

聴覚過敏は、発達障害(ASD)の特性でもある感覚過敏のひとつです。発達障害の聴覚過敏は、感覚過敏(五感の過敏さ)から生まれるもので、他にも視覚・触覚・味覚などの過敏さが生じることもあります。

ちょっとした音が原因になることが多く、オフィスなどで社員の話し声や足音、タイピング音などが気になる場合もあります。

2.統合失調症

統合失調症における聴覚過敏は、幻覚や妄想などの精神症状が出る前段階に、睡眠障害や聴覚過敏が出ることがあるという点で厄介です。

逆に言えば、聴覚過敏の状態で早期に医師に相談していれば、幻覚や妄想などの精神症状が出る前に投薬などの治療を行うことができるというひとつのサインにもなります。

3.その他の精神疾患

発達障害や統合失調症以外にも、さまざまな精神疾患の副反応として聴覚過敏の症状が出る場合があります。例えばHSP(ハイパーセンシティブパーソン)であったりする場合に聴覚過敏の症状が出ることが考えられます。

音に敏感になったら、専門機関を受診しよう

上記に記したように、さまざまな精神疾患と隣り合わせである場合が多いのが聴覚過敏です。イヤーマフをつけるなど対策をすることはできますが、何らかの重要な精神疾患のシグナルである場合も考えられるので、まずは専門機関を受診することをおすすめします。

聴覚過敏の人の悩みとして、「聴覚過敏」という症状が病気として捉えられていない、認知度が低い傾向にあるため、「音くらいで大げさな」と他人から軽視されてしまう場合が考えられます。

しかし、当事者である人にとって音の問題は自分の日常の中で大きな部分を占めることが多いため、当事者と周囲の人との間に齟齬が生まれやすいのです。

イヤーマフなどで物理的に音を遮断することもできます。ですが、まずは「聴覚過敏」という症状がひとつの病気として存在することを、当事者の周りの人も理解することが必要となるでしょう。

※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。

Satomi Tashiro

Satomi Tashiro

1990年生まれ。大学4年時に統合失調症発病、障害者手帳取得。特例子会社勤務経験あり。当事者の目線から、読者に寄り添った記事執筆を心がけている。

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