てんかん発作が起きた時の適切な対応とは?周りの人にできること

メンタルヘルス

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大切な人が、てんかんになったら…

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返す神経疾患です。

てんかんの発症率は、およそ100人に1人といわれています。子どもから高齢者まで、さまざまな年齢で発症する可能性がある病気です。中には、20代や30代で発症する人もいます。

あなたの大切な家族やパートナー、友人の誰かがいつ、てんかんを発症してもおかしくないのです。もし大切な人がてんかんを発症したら、周囲にいる私たちはどのようなサポートができるでしょうか。

本記事は、てんかん発作への正しい対応方法をまとめています。てんかん発作が起きたとき、どのようなサポートが周囲の人にできるかを知るために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

てんかんとは?症状・原因・治療法・対策まで、臨床心理士が徹底解説!

大人のてんかんの特徴

大人のてんかんは、脳の病気の発症や事故による外傷といった原因により、脳のネットワークに障害が起きたり、脳が傷ついたりして生じます。脳の病気によるてんかんの発症は脳炎や脳卒中、脳腫瘍によるものが多いです。

大人のてんかん患者が抱えやすい悩みとして、就労や生活上の悩みがあげられます。周囲の人の理解がないと、患者がひとりで悩みを抱え込み、ストレスをためてしまうことになりかねません。

そのため、てんかんがどういった病気であるのかを周囲の人が知っており、てんかん発作が起きた際に適切なサポートができる状態でいることはとても重要なのです。

大切な人にてんかん発作が起きた時の適切な対応とは?

てんかん患者の家族やパートナー、友人が発作への適切な対応を知っておくことはとても重要です。家族やパートナーは一緒に暮らしていることが多いため、入浴や食事など、発作が起きると危険なタイミングに居合わせる確率が高いでしょう。

一歩間違えると患者の命に関わることもあるのがてんかんの発作。周囲の人たちが適切な対処を知ることで、患者本人はもちろん、周囲の人も安心して共に暮らすことができるよう工夫できます。

1.身の安全を確保する

もしも突然発作が起きたら、まずすべきは身の安全の確保です。道端や階段で発作が起きた場合は、道の脇に移動したり階段から降ろしたりして、大怪我をしないよう配慮することが大切です。

屋内で発作が起きても同様に、ストーブややかんが近くにあれば遠ざけましょう。入浴時に発作が起きてしまった場合は、お湯から顔を上げて呼吸ができる状態にし、できなければ栓を抜いて排水しましょう。

2.衣服の襟をゆるめる

発作が起きたらマスクを外し、衣服の襟をゆるめて呼吸しやすい状態にします。ベルトを緩める方法も効果的です。発作前に食事中であった場合は、食べ物が喉につかえないよう注意しましょう。

補足ですが、抗てんかん薬には利尿作用があり、てんかん患者は体の水分が不足しやすい特徴があります。真夏などは普段より一層、水分補給を意識してください。ただし、発作の直後だけは水や薬を飲ませないようにしましょう。

3.横向きに寝かせる

てんかんの発作中や発作後は、嘔吐が起こりやすい状態のため、万が一嘔吐して喉に戻したものが詰まらないように、横向きに寝かせるようにしましょう。

多くの発作は5分以内におさまりますが、10分経っても発作がおさまらない場合は救急車を呼んでください。意識が回復しないうちに次の発作が起きたり、顔色が悪く不規則な呼吸が続く場合も同様に救急車を呼ぶようにします。

4.眠ったら起こさない

発作後に眠り込んでしまうこともありますが、起こさずそのまま寝かせてあげてください。

発作により脳が過剰反応を起こした状態となるため、眠ることで脳を休ませ元に戻そうとしているのです。もし、数時間経過しても患者が覚醒しない場合は、病院への連絡が必要です。

睡眠不足はてんかんの誘発因子のため、普段から規則正しい生活リズムで過ごし、十分な時間の睡眠をとるようにしましょう。

5.発作の観察と記録を忘れずに

てんかんの発作にはさまざまな種類があり、対処法も少しずつ違います。より詳細に本人の発作内容に沿った対応ができるようにするには、どのような発作か詳細を医師に伝えられるように記録しておくことが大切です。

発作が起きた時刻、発作のタイプ、発作が起きたときの体調などを記録しておけると良いでしょう。そのほかにも眠ってしまったのか、意識はあったのかなど発作後の様子もわかると役に立ちます。

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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