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適応障害など、精神疾患による休職
「もしかすると自分は適応障害かもしれない」もしくは病院で適応障害と診断されてしまった場合、どうすればいいのかわからない人がほとんどでしょう。
医師からうつ病や適応障害などの病気と診断される段階では、体のだるさや気持ちの落ち込み、眠れないなどの症状が長く続いていることが多いため、すぐに休みが必要と言われるケースがほとんどです。症状によっては、いつ頃から休職するか相談しながら手続きを進めることもあります。
休職を決める際にはメリットだけでなくデメリットや、休職の申請方法など、具体的な情報を知っておくことが大切です。この記事では診断される前からでも知っておくといい休職制度の概要や判断基準、手続きを進める中での注意点をお伝えします。
休職制度とは?
休職制度とは、業務外での病気などさまざまな理由で長い期間にわたり就労ができない場合に働く義務を免除する制度のことです。退職とは異なり、元の企業に所属したまま休むことができるため、休職期間中に病気が回復したり、他の休職理由がなくなったりすると復職ができます。
休職の定義や期間、復職など細かい決まりについては労働基準法で定められていないため、通常は企業の就業規則で定められることになります。そのため、休職の期間や条件については会社ごとに異なることを知っておく必要があるでしょう。休職の理由となるものには、病気の他にも育児や介護によるものがあります。
参考:厚生労働省「【全体版】モデル就業規則(令和3年4月)」
休むべきか?精神疾患で休職するメリット
休職すると戻りづらくなる、または周囲の目が気になるといったデメリットが理由で病院に行きづらい方もいるでしょう。しかし、症状を放置して重症化すると回復までの時間がかかってしまい、受診しないデメリットの方が大きくなることもあります。
この章では受診や休職に迷っている際に知るべきメリットをみていきましょう。
1.治療に専念できる
特にわかりやすいメリットは、治療に専念できることです。適応障害と診断された場合、環境を変えることがそのまま治療となるケースもあります。適応障害は特定の社会・日常生活上のストレスが原因で発症すると考えられるため、まずはストレスを和らげることが役立つことが多いからです。
また、適応障害以外の病気でも無理をすれば、仕事や学業などにおいて人と接することや、普段通りの生活を続けることが難しくなるかもしれません。体に負担がかからない、ストレスのない環境で治療を行うほうが症状は長期化しづらくなるでしょう。
2.心をケアする時間が取れる
仕事や学業に追われていると、心をケアする時間を取ることは難しくなりがちです。十分に心がケアできていない状態で仕事に戻ったとしてもまた同じストレスを抱え、症状が悪化してしまうことも考えられます。
心のケアには安全と安心の確保が基本となり、身体的または精神的な手当てやサポートが必要とされます。時には専門医や心理士による短期的な精神療法、認知行動療法などを行う場合もあるため、時間が必要になることもあるでしょう。
3.人生を見直すきっかけになる
病気のきっかけが周りの環境や人間関係だと感じる場合、本当に自分に合う環境や生き方について考えることもあるでしょう。これまで自然に受け入れていたこと、自分に合っていると感じていたことなどでも、実は無理していた可能性があります。
ストレスなく付き合える人や職場、学校など自分に合った環境や、どう生きたいのかを見直すことで、今まで以上に健康的で充実した生き方を始めるきっかけになるかもしれません。自分に合わない環境から距離を取ることで、自分の考えや望みと客観的に向き合いやすくなるでしょう。
4.仕事のストレスから解放される
もし、病気の原因が仕事だとはっきりわかっている場合、仕事のストレスから解放されることが回復に向かう手助けとなるでしょう。直接的な原因ではなくても、締め切りに追われたり責任の大きな仕事があったりと、プレッシャーやストレスが多い職場では無理をしてしまうことがありますよね。
一度職場から離れてみることで、前向きに治療や休息に取り組みやすくなります。落ち着いた後で自分がなぜストレスを感じているのかを整理できれば、また違った向き合い方や解決方法が見つかることもあるのではないでしょうか。
5.手当を受けることができる
休職中に給与が支払われることは一般的にはありません。しかし、業務外の理由による病気であり、仕事に就くことができないと認められた場合、健康保険に入っていれば傷病手当金が受けられることがあります。また、働けない期間であれば、1年6ヵ月の間は手当をもらうことができます。
支給金額は企業と加入している保険組合によって決まりますが、元の給与の3分の2程度となることが多いでしょう。なお、業務内が理由となる病気の場合は労災保険という別の手当てになります。いずれにせよ、手当があれば安心して休むことができますが、手当を受けるためには事前に受診し、病気の診断書をもらっておくことが大切です。