大人のADHD(多動性障害・注意欠陥障害)とは?特徴・原因・治療法

メンタルヘルス

この記事を監修してくれたのは…

生きることが、何よりも難しい…

忘れ物やなくし物が多い。仕事でミスを繰り返して怒られる。約束や締め切りを守れず人に迷惑をかけてしまう。このようなことで生きづらさを感じていませんか?

もしかしたら、その悩みの原因は大人のADHDかもしれません。

ADHDと聞くと、子供に発症するイメージを持つ人もいるでしょう。しかし最近は、大人になって症状が顕著になることから、「大人のADHD」と診断される人が増えてきています。

本記事では、大人のADHDの症状や原因、治療法などを紹介します。自分を知り、適切な対策を立てることで、あなたにとって生きやすい方法を見つけていきましょう。

ADHD(多動性障害・注意欠陥障害)とは?

ADHDとは発達障害のひとつであり、主な特徴は以下の通りです。

  • 不注意:集中力が続かない
  • 多動性:落ち着きがない
  • 衝動性:軽はずみで唐突な行動をとる

ものをなくしやすい、順序立てて行動できない、そそっかしいなどの症状が12歳より前に見られ、家庭や学校、職場などで生活に支障をきたしている場合に、ADHDと診断されます。

ADHDの特性は大人になって顕在化しやすいことから、近年、大人のADHDという言葉が注目されています。ADHDの傾向を持つ人は生まれつきその特性があります。しかし幼少期は「少しそそっかしいけど普通の子」と思われて問題視されなかったり、症状が出ていても親や学校の先生のサポートによって、社会生活を支障なく過ごせたりします。

大人になり社会に出ると、仕事に対する責任や自己管理能力が求められます。ミスを繰り返す、集中力が続かないなどのADHDの症状は問題視されるようになるのです。社会生活をうまく送れないことが強いストレスを引き起こし、大人のADHDがうつ病やパニック障害を引き起こすことも少なくありません。

参考:厚生労働省e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」

参考:NHK健康チャンネル「大人の 「注意欠如・多動症(ADHD)」とは?特徴や治療を解説!」

ADHDの人の主な特徴・症状

ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性を持ち、年代や性別によって症状の現れ方は異なります。

大人になってADHDと診断される人は、不注意の症状が目立って現れる傾向があります。幼少期に目立っていた多動性、衝動性が12歳頃を境目に弱まることや、幼少期には見過されていた不注意の症状が、社会に出て問題視されることが理由です。

ここでは、大人のADHDに見られる主な症状や特徴を7つ紹介します。当てはまる症状があり、生活に支障が出るほどつらい思いをしている場合は、専門医を受診してみましょう。

参考:村上佳津美 著「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」

1.静かな場所で落ち着いていることができない

ADHDの「多動性」が強く現れると、会議のような静かにしなければならない場所で、体をもじもじと動かしたり、貧乏ゆすりをしたりと、落ち着いていられない傾向があります。子どものADHDに見られる、授業中に動き回る、机や椅子をガタガタならすといった目立つ行動はおさまることが多いものの、手足の動きや内面に落ち着きのなさが残ることが特徴です。

大人のADHDの傾向にある人は、自分が落ち着けないことを自覚しているため、自ら静かな場所を避けたり、必要以上に離席をしたりすることもあるでしょう。

2.大切なものを頻繁になくす

ものの紛失は誰もが経験します。特にADHDの「不注意」の特性が強いと、財布や家の鍵、パスポートなど大切なものを1年に何度も紛失することがあります。

たとえば鍵の紛失を防ぐためには、帰宅してすぐに鍵を決まった場所に置くことが大切です。しかし、ADHDの人は「鍵をしまう」という意識よりも「横になりたい」「何か食べたい」という次の行動を優先してしまいます。その結果、ものを紛失しやすくなっているのです。

3.忘れ物が多い

忘れ物は誰もが経験することです。しかし頻度が多い、さっき言われたことなのに忘れてしまうなど、生活に支障が出るほど忘れ物が多いときは、ADHDの「不注意」の特性が現れている可能性があります。

私たちは物事を記憶するとき、取り入れた記憶を一時的に覚えています。しかし、ADHDの人はものを覚えておく時間が長くありません。目の前の新しい出来事や刺激に振り回されてしまい、今言われたことを忘れたり、頻繁に忘れ物をしてしまったりするのです。

4.短気でイライラしやすい

ADHDの「衝動性」が強い人は、人と話していていきなり怒ったり、自分の思いどおりにならないとものに当たったりする傾向があります。

突然、いわゆるキレた状態になるため、家庭や職場での人間関係に問題が生じることも少なくありません。ADHDの周囲からは反抗的な人、短期で怒りっぽい人と誤解されることもあるでしょう。

5.一つのことに集中し続けることができない

ADHDの「不注意」の特性が強い人は、作業に集中できなかったり、気がつけば無関係なことに取り組んでしまったりする傾向にあります。

私たちは通常、「一時的に覚える」「優先順位をつける」「無関係な情報を忘れる」というステップを踏み、物事を行っています。

しかしADHDの人は、物事をやり遂げるためのステップをうまく踏めないことがしばしばあります。やるべきことを忘れてしまい他のことに注意が散ってしまう人もいれば、無関係な情報を捨てきれず、作業に関係のない仕事を優先させてしまう人もいます。

関連記事

特集記事

TOP