大人のアスペルガー症候群とは?特徴・原因・治療法をご紹介!

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人とのコミュニケーションがうまく取れない…

上手にコミュニケーションを取りたいのにうまくいかなかったり、人と普通に話したいのになぜか怒らせてしまったり……。対人関係の悩みを抱えている人は少なくありません。

コミュニケーションにおけるトラブルは、相手との相性や性格の問題もあります。しかし、どんな相手とも良好な関係を築けなかったり、人の気持ちがわからずにトラブルを引きおこす機会が多かったりする人は、大人のアスペルガー症候群の可能性があるかもしれません。

今回は、大人のアスペルガー症候群の特徴や原因、症状などをご紹介します。「自分も大人のアスペルガー症候群かもしれない」と思う方や、周囲に障害を抱えていそうな人がいる方も、自己理解にお役立てください。

アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群は、「自閉症スペクトラム(ASD)」に分類されている発達障害の一種です。主には「臨機応変に人と接することが苦手」「自分のペースやルールの維持を最優先させたい気持ちが強い」という特徴があります。

アスペルガー症候群の人は周りからは「少し変わった人」と認識されがちです。ですが自分のペースやルールさえ守らせてもらえれば、「単純作業でもコツコツと努力できて、忍耐強く頑張り結果を出せる」という長所もあります。

そのため、アスペルガー症候群だからといって「健全な社会生活が送れない」とは限りません。発達障害の一種ではありますが、程度によっては問題なく日常生活を過ごせます。

しかし不適切な環境に置かれると、アスペルガー症候群による不適応が発生してしまうことも。対人コミュニケーションにトラブルが起きたり、行動や思考のパターン化によって問題が起きたりすると、社会生活に困難を引きおこします。

参考:医療法人山陽会 心療内科・精神科ひだまりこころクリニック「大人の発達障害(アスペルガー症候群)とは?」

大人のアスペルガー症候群の主な特徴

ここでは、大人のアスペルガー症候群の主な特徴をご紹介します。アスペルガー症候群の特徴は性格や個性でまとめられてしまうことも多いですが、集団や社会生活でトラブルを起こしてしまう可能性が高いです。特徴を知り、当人への理解と社会への適応に役立てましょう。

1.人への興味が薄く、共感性が低い

大人のアスペルガー症候群では人への興味が薄く、共感性が低いことが特徴です。人の話に関心を持てずに「自分の言動で相手がどう感じるか」を想像する能力が乏しい傾向があります。

本人にとっては悪気なく自分の話ばかりをしてしまいます。また相手の気持ちがわからないことから、知らない間に人を傷つける場合も。意図しない失言で周囲を戸惑わせてしまい、だんだんとコミュニティから孤立してしまうケースも多いでしょう。

参考:新宿ストレスクリニック「アスペルガー症候群(高機能自閉症)」
参考:Kaien「大人のアスペルガー症候群」

2.空気を読むことが難しい

大人のアスペルガー症候群では、周囲の空気を読むことが難しい傾向があります。学校や会社で空気を読まない発言をして、周囲を驚かせたりひんしゅくを買ってしまったりします。本人は周囲がなぜ焦った反応をするのかを理解できていません。

一般常識的な「この場面なら、普通はこう反応する」という感覚がわからず、空気を読もうとしても失敗しがちです。特に会議やミーティングでは進行を妨げるような発言をしてしまうことが多く、嫌な目で見られてしまう場合もあります。

参考:国立精神・神経医療研究センターNCNP病院「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)」

3.臨機応変な対応ができない

大人のアスペルガー症候群の人は自分のペースやルールを尊重しているため、臨機応変な対応が苦手です。習慣化されたルーチンワークは得意としますが、応用が利かずパニックになってしまうことがあります。

興味の対象が限定されているため、興味のない行為を要求されると集中力が散漫になります。特定の対象への強い没頭やこだわりを持っているため、柔軟に対応することが苦手です。

参考:厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」
参考:LITALICOワークス「大人のアスペルガー症候群|特徴・診断、治療、仕事の工夫などご紹介」

4.予想外のことが起きたり、計画が崩れたりするとパニックになる

大人のアスペルガー症候群では、突発的で予想外のことが起きるとパニックになる傾向があります。予定していたスケジュールが崩れると頭が混乱してしまうのです。

特に「幅のある曖昧な表現」はパニックになりやすく、突発的な頼まれごとで「適当に」「大体で」「もう少しだけ」などのような表現をされると対応が難しい場合があります。

参考:NHK健康ch「大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!」
参考:LITALICOワークス「大人のアスペルガー症候群|特徴・診断、治療、仕事の工夫などご紹介」

5.決められたルールや物事に強いこだわりを持つ

大人のアスペルガー症候群では、決められたルールや物事に強いこだわりを持っていることが多いという特徴があります。自分なりのやり方やルールにこだわるあまり、細部にとらわれてしまい最後まで物事をやり遂げることが苦手です。

たとえば芸術や職人的な物事であれば、こだわりと貫きとおすことで周囲から評価されることも多いでしょう。しかしスピードや効率が重要視される業種では、周囲から「融通が利かない」と思われて避けられてしまう傾向があります。

参考:国立精神・神経医療研究センターNCNP病院「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)」
参考:NHK健康ch「大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!」

大人のアスペルガー症候群の原因

大人のアスペルガー症候群の原因は、感情や認知などの部分に関与している脳の異常だとされています。親の育て方やしつけが原因ではありません。

またアスペルガー症候群は生まれつきの脳の機能障害と考えられていますが、機能障害の原因がなぜ引きおこされるのかは特定されていません。遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合い、発症するとされています。

遺伝的な要素が関与しており、体内環境や周産期のトラブルもきっかけになるとされています。生まれつきの障害ではありますが、知的な遅れはありません。そのため、成人後や社会人になった後にアスペルガー症候群の症状に気づく人が多い傾向にあります。

現在は研究により、アスペルガー症候群の原因は「遺伝」と「環境」であることがわかっています。とはいえまだ未解明の部分は多く、具体的にどのような遺伝子や環境が原因となっているかははっきりとわかっていません。

参考:新宿ストレスクリニック「アスペルガー症候群(高機能自閉症)」
参考:国立精神・神経医療研究センターNCNP病院「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)」
参考:Kaien「大人のアスペルガー症候群」

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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