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「うつになりそう…」と、思ったら
うつ病は誰でも発症する可能性がある病気です。とはいえ、実際にうつ病を患うまで「自分は大丈夫だろう」と思っている人も多いでしょう。もしも、自分がうつ症状に悩まされたときは我慢するのではなく、適切な対処法を取ることが大切です。
今回は、うつ症状になりかけているときに取るべき行動についてご紹介します。症状を自己判断せず、専門医の力を借りながらできる限り早い段階で治療を始めていきましょう。
心や身体に異変を感じたら、すぐに専門医を受診しよう
もし、うつ症状により心や体に異変を感じたら、できる限り早い段階で専門医のもとへ受診しましょう。一般的にうつ病の治療は時間がかかりやすく、寛解(症状の一部または大部分が軽快した状態)に至るまで症状の波をくりかえす場合があります。治療を始めるタイミングは早いに越したことはありません。
特にうつ症状の初期にしてしまいやすいのが「自己判断」です。私たちはストレスを抱えながら生活しているため、落ちこんだり悲観的になったりすること自体は珍しくありません。だからこそ「すぐに回復する気分の落ちこみ」と「うつ症状」を見わけるのは困難です。
気分が落ちこむ日が続いても「なんだか最近調子が悪いな」「放っておけばそのうち元に戻るだろう」と軽く片づけてしまい、うつ症状の発見に気づくのが遅れてしまうことも。
「うつかもしれない」と思ったら、まずは休みを取り、専門機関へ受診をしましょう。休みを取ることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、まずは自分の健康を最優先にしてくださいね。
参考:医療法人東横会たわらクリニック「うつ病になった時、どんな過ごし方をしたら良いの?治療の方法は?」
うつ病になりかけているときの対処法とは?
「もしかしたら、うつ病になりかけているかも」と思ったときに、まず試したい対処法をご紹介します。うつ状態では強い倦怠感(だるさ)を抱え、判断力が低下する場合がほとんどです。だからこそ、頭と体が動く初期のうちに「できることだけでいいからやる」という気持ちを持つことが大切です。
1.セルフチェックを行う
気分が落ちこむ日々が続いたら、インターネット上でできる「ストレスのセルフチェック」を行いましょう。あくまでセルフチェックのため診断結果が絶対に正しいわけではありませんが、うつ状態の程度や病院に行くべきかの判断をする指標になります。
インターネット上のセルフチェックはさまざまな種類がありますが、おすすめは厚生労働省が定めた「うつ病チェック」です。誰でも無料で閲覧できるため、自己理解のためにも1度試してみてはいかがでしょうか。職場がストレス源になっている方は「5分でできる職場のストレスチェック」もお試しください。
参考:厚生労働省「チェックリストなどのツール(働く方へ/ご家族の方へ)」
2.心の変化や体調の変化を記録する
うつ状態になる時間が多くなると、考え方や体調に変化が少しずつ起こります。例えば、考え方がネガティブになったり不安や焦燥感に悩まされたり、肩こりや倦怠感に悩まされるなどが挙げられます。
変化に自分で気づければ「病院に行くべきか」が自己判断できますが、うつ状態では判断能力も鈍るため冷静な決断が難しいものです。
自分の状況を客観的に判断するために、心や体調の変化を記録しましょう。実際に通院を始めた場合も、記録があれば医者や心理士とのコミュニケーションがスムーズになります。
参考:医療法人社団博仁会大江病院「第14回 「こんな症状があればうつ病に注意」」
3.生活リズムを見直す
うつ症状は、生活リズムを見直すと改善される可能性があることがわかっています。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀(くぬぎ)部長によると「運動量が少ない人はうつ病になるリスクが高く、運動をするとうつ病が改善する報告が多い」とされています。
運動以外にも「朝は決まった時間に起きる」「朝食は毎日食べる」「通勤時は日光を浴びる」などを行うことで、気分がよくなりうつ症状が軽くなる可能性も。自分のペースで、無理なくできる習慣から取りいれてみましょう。
参考:ヘルスUP病気・医療「うつに効く「運動」「睡眠」 生活リズムを整える」
4.有給などを利用して、数日間休みを取る
うつ症状に気づいたら、症状が酷くなる前に数日間休みを取ることをおすすめします。連休の取得が難しければ、思いきって有給を利用して休日を設けましょう。心が不調なときは「安心して休息する」ことが大切です。
単日の休みだと、翌日の仕事のことを考えてしまってしっかりと休めません。特にうつ状態ではネガティブな思考になりやすいため、緊張を感じたまま休みが終わってしまうことも。仕事の存在を忘れて、しっかりと羽を伸ばせる日数の休日を設けてくださいね。
5.レジリエンスを刺激すること
レジリエンスとは、直面している困難や脅威への「うまく適応できる能力」を指します。うつ状態においては「ストレスをはね返し、立ちなおろうとする力」です。レジリエンスを高めることで、うつ状態の改善が見こまれたり、うつ病の予防にもつながったりすると期待されています。
うつ症状におけるレジリエンスを高めるためには、まずは「専門の病院で治療を受けること」。治療に向かって能動的に行動しているという事実こそが、うつの回復力に直結するとされています。