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4.必要に応じ学習やリワークを行う
職場の環境調整と並行して医療機関や企業内のリワークプログラムを受けられることもあります。リワークとは(return to work)の略語で、精神疾患を原因に休職している働く人に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションを行うことをいいます。
リワーク施設では、うつ病を再発しないための「ものごとの考え方」を認知行動療法を通じて学ぶことが可能です。1人で職場復帰の準備をするのが不安な場合は、リワーク支援を受けられないか主治医に確認してみることをおすすめします。
参考:日本うつ病リワーク協会 「リワークプログラムについて」
5.状況に合わせて転職も検討する
職場の環境調整や復職準備を行う過程で、どうしても調整が難しいと分かるケースもあります。本人の年齢や希望する働き方、職場とのマッチング、今後のキャリアを踏まえて、状況に応じて転職を検討した方が望ましい場合もあります。
20〜30代の場合はまだまだキャリア形成途中のため、とくに積極的に、自分に合った職場への転職も今後の選択肢として視野に入れてみましょう。希望する職種への適正や職場とのマッチングを知るために、キャリアカウンセラーに相談してみるのもひとつの方法です。
休職中に退職したいと思ったら?誰に相談するべき?
うつ病で休職中の場合、退職や転職などの大きな決断を一人でするのは避けた方が良いでしょう。なぜなら、うつ病により脳が疲労しエネルギーがない状態では、正しい判断・決断をするのが難しいケースが多いためです。
まずは、通院先の主治医や職場の産業医に退職しようか迷っていることを相談しましょう。専門医は患者の精神・体調面の観点から適切なアドバイスをしてくれます。
労働安全衛生法により、従業員が50名以上いる企業には産業医の配置が義務づけられています。従業員が50名以上の場合は月1回勤務の嘱託産業医が、1,000人以上の場合は専業産業医が常駐しています。
自分の会社に産業医が配置されているか確認してみましょう。産業医との面談は医療費がかからないメリットがあります。
そのほか、退職に関わる具体的な手続きや今後のキャリアについて相談したい場合は、社会保険労務士やキャリアカウンセラーを頼る方法もあります。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人のこころの相談を電話やメール、SNSで行っています。各種相談窓口の紹介もしてくれるため、まずはじめに問い合わせてみることをおすすめします。
参考:厚生労働省 「産業医について」
参考:厚生労働省 「こころの耳 働く人の『こころの耳相談』」
休職後、スムーズに退職する5つのステップ
うつ病で休職後、退職したいときにすべきことを以下にまとめています。退職する場合はさまざまな手続きが必要です。特にお金の問題は、退職後の治療や復職準備をスムーズに進めるためにも重要なことなので、あらかじめ確認しておきましょう。
退職の意思を人事や上司に伝えなければいけない、職場の同僚にも挨拶しなければいけない…と負担に感じるかもしれませんが、必ずしも直接伝えなければいけないことはないので安心してくださいね。
1.金銭面や受け取れる手当を確認する
退職の意思を上司に伝える前に、退職後に受け取れる手当や給付金の確認を行いましょう。それぞれ諸手続きが必要なため、確認しておくことで退職の流れを事前にイメージしておけます。
未払いの残業代がある場合は、労働契約書やタイムカードを用意し、きちんと会社に請求しましょう。職場が原因でうつ病を発症したなら労災による治療費の請求も可能です。退職後には一定の条件を満たせば、傷病手当や失業給付金、退職金を受給できます。
2.直属の上司、人事に退職の旨を伝える
うつ病を理由に退職する際の方法は、大きく分けて2つあります。一つ目の方法は上司や人事への退職届の直接提出です。民法上は2週間前に申し出ることで退職が可能です。
仕事の引き継ぎを加味して1ヶ月前には申し出ることが望ましいですが、耐えられないほど仕事がつらい場合は無理をしないようにしてください。二つ目の方法は、会社に退職届を郵送する方法です。郵送には内容証明郵便を利用します。
3.診断書など必要書類をまとめ、提出する
うつ病により会社を退職する場合は、あらかじめ医師に診断書を書いてもらうことをおすすめします。診断書があることでうつ病の証明ができ、自己都合退職になった場合でも失業給付金を早く受給できるメリットが得られます。
また、退職後も傷病手当金を継続的に受給することが可能になります。退職届にうつ病による退職であることを記載したくない場合は、一身上の都合、あるいは体調不良といった理由を書くこともできます。