目次
4.書類を受け取り、退職後の手続きを行う
退職手続き中には、離職票の交付を忘れずに行いましょう。離職票は雇用保険の失業給付金の手続きに必要になります。社会保険や厚生年金の切り替え手続きをする場合は、2週間以内に市区町村の役場へ行く必要があります。
離職票が発行されたら、居住地を管轄するハローワークで失業給付金の受給手続きを行いましょう。失業給付金は給付期間が1年間で、求職中の人に支給される手当です。うつ病により求職活動が難しい場合は、受給期間の延長ができます。
参考:東京労働局 東京ハローワーク 「求職者給付に関するQ&A Q6 病気のためすぐに働くことができません。どのような手続きが必要ですか?」
5.上司や同僚などお世話になった人に挨拶する
うつ病により休職しそのまま退職となった場合に、気がかりなのは会社の上司や同僚などへの挨拶が必要かどうかです。すでに休職していれば、直接顔を合わせないままの退職にならざるを得ません。
気持ちにゆとりがあれば、会社に行って直接上司や同僚に挨拶しても良いでしょう。気持ちのゆとりが作れず、挨拶が負担になってしまう場合は無理しないようにしてくださいね。メールで伝える方法をとることも可能です
休職のまま退職した場合も得られる、お金の制度
うつ病で休職し、そのまま退職を考えている場合、一番の不安材料となるのはお金の問題です。
休職中の給与の扱いは会社によって異なります。有給休暇が余っている場合は有給を消化したり、独自の病気休暇制度があれば利用したりします。まず会社の就業規則を確認するようにしましょう。
休職や退職をするときに利用できる制度は、以下の傷病手当と退職金、失業給付金です。
1.傷病手当
うつ病による休職中で、社会保険(健康保険)加入者であれば、一定の条件を満たせば傷病手当金が支給されます。退職をすると社会保険の被保険者の資格を喪失しますが、一定の条件を満たした場合は、退職後も支給開始から1年6か月を限度に傷病手当金が支給されます。
傷病手当の申請のためには、医師の診断書が必要です。そのため、休職を希望する場合は早めに精神科病院、心療内科クリニックを受診するのをおすすめします。
参考:厚生労働省「退職後、傷疾手当の仕組みはどうなっているの?」
2.自立支援医療(精神科通院医療)
自立支援医療制度は、身体疾患や精神疾患の患者の医療費の上限を決めて、患者に医療費の負担がかからないよう公費で代わりに負担してくれる制度です。うつ病で自立支援医療を利用すると、うつ病に関わる通院費用が1割負担に軽減されます。
自立支援医療の給付を受けるには、市区町村の福祉課窓口で申請書をもらい、提出する必要があります。入院費用や保険適応外の医療費、給付の対象となる疾患以外の治療費では利用できないため、注意が必要です。
参考:厚生労働省 「自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)」
3.失業給付金
失業保険(失業給付金)は雇用保険に加入していて一定の条件を満たすと受給できます。うつ病により退職をした場合、転職先がみつかるまでの間は収入が途絶えてしまうため、失業手当が支給されるのです。
失業保険の受給条件は、働く能力や意思があると認められること、求職の意思があること、一定期間雇用保険に加入していることです。退職理由が会社都合か自己都合かで、失業保険の受給期間や受給開始日が変わります。
参考:厚生労働省「メンタル不調で休職中の社員が退職する場合雇用保険はもらえるの?」
精神的負担を考慮して、少しずつ退職を進めよう
うつ病は仮病や甘えではなく、脳の機能低下が原因で生じる精神疾患です。うつ病になったのはあなたのせいではなく、自分を責める必要もないのです。退職は必要な一時撤退であり、決して逃げではありません。
中途半端に無理をして休職と復職を繰り返すよりは、一度しっかり時間をかけてうつ病の治療に専念するのもひとつの方法です。自分の体と心に負担をかけてまで仕事を続けるべきかどうか、よく考えて判断するのをおすすめします。
退職する際に上司にどのように伝えるか、同僚へ挨拶をするかなどさまざまな心配事がわいてくると思います。基本はご自身の精神的負担を考慮して、無理のない方法で退職の手続きを進めるようにしてください。
金銭的な心配事や診断書の提出など、不安なことがあれば早めに専門医や社会保険労務士に相談するようにしましょう。一人で抱え込まないことが大切です。
※この記事は、悩んでいる方に寄り添いたいという想いや、筆者の体験に基づいた内容で、法的な正確さを保証するものではありません。サイトの情報に基づいて行動する場合は、カウンセラー・医師等とご相談の上、ご自身の判断・責任で行うようにしましょう。