今回はパニック障害やパニック発作について、専門医である伊井先生にお伺いしました。
今回も、よろしくお願いいたします。私自身、3年ほどパニック障害に悩まされており、高級感のある飲食店での食事ができないことが苦痛なんです。そこで、パニック障害の症状や原因、発症のメカニズムなどを詳しく教えていただけると幸いです!
目次
パニック障害とは?
まずは、パニック障害について教えてください。──
パニック障害とは、パニック発作が繰り返し起こる状態のこと。
例えば、電車やバスに乗った時など特定の状況によってパニック発作が起き、避けることによって自分の行動範囲が狭まってしまう。また、そこに行くと発作が起きてしまう不安感が高まり、電車に乗ると必ず発作が起きると思い込んでしまう。それがパニック障害です。
パニック障害とパニック発作の関係性
ありがとうございます。では、パニック障害とパニック発作は違うということでしょうか?パニック障害とパニック発作の違いや、関係性について教えてください。──
そうです。パニック障害とパニック発作は違うと認識しておくのが大切です。パニック発作は、急に不安が襲ってきて、呼吸ができなくなる発作的な症状をいいます。3人に1人程度起きることがあるので、これ自体は異常ではないのです。
【パニック障害】予期不安とは?
そうだったのですね。ありがとうございます。パニック障害の方に見られる、予期不安とはなんですか?私も「発作が起きたことがある場所に行かなければ」と思うと、不安から吐き気や動悸が襲ってきたことがあります。それ自体が予期不安なのかな?と思っているのですが、詳細を教えていただきたいです。──
まず、予期不安をあまり定義することはありません。しかし、話していただいたように、予期不安は発作が起きるかもしれない不安のことです。パニック障害に関連するパニック発作以外の不安感は、全て予期不安に近いといえるでしょう。
予期不安への対策はありますか?──
対策としては、そもそも「パニック発作になるかも」と思ってしまうことが予期不安の始まりです。「発作が起きるだろう」と想像してしまう状態から、予期不安は生まれます。例えば、パニック発作を起こしても、翌日また同じ場所に行ったり、同じような状況に直面した時にパニック発作を起こさなければ、予期不安は起きないのです。
ですが、「一度発作を起こしたことがあるから、その場所には行かないでおこう」と思ってしまうと、予期不安を起こしやすくなってしまいます。そのため、最初から避けなければ、予期不安は起きません。
予期不安が起きて、その状況を「避けよう」「やめておこう」と思うことによって、パニック障害は悪化していくことを知っておきましょう。
他の病気と違うのは、発作が起きるほど悪くなるものではないということです。普段パニック障害に悩んでいると、なるべく発作を起こさないために避けてしまいますが、実際には避けないことが正しいを知っておくと、うまく向き合っていけるでしょう。
【パニック発作】主な4つの症状
ありがとうございます!では、パニック障害の方に見られる主な症状を教えてください。──
はい。大きく分けて、4つほど症状があります。
呼吸が苦しくなる・息がしづくなる
気持ちが悪くなる・吐き気
動悸
手足が痺れる
【パニック障害の原因】発症のメカニズム
ありがとうございます。では、パニック障害を引き起こす主な原因を教えてください。さらに、原因について詳しく教えてください。──
原因というよりは、メカニズムだと思った方がいいでしょう。パニック障害は種類があるのではなく、原因や症状に順番があります。
①パニック発作が起きる・症状が出る
何か特定の状況(自分が不安に思っている環境)に身に置くことで、急に呼吸が苦しくなったりドキドキしたり吐き気がすることが最初のきっかけです。一度症状が起きても、何度も繰り返されなえれば気にしなくて大丈夫です。
②原因に気づく・原因と結びつける
原因を不安にに結びつけてしまうと、パニック障害が起きやすくなります。「バスや電車などの乗り物がダメだったんだ」「緊張する場所での食事がダメだったんだ」「あの人と会うからダメなんだ」など、原因と症状を結びつけてしまうとパニック障害に繋がります。
人は症状の原因を探したり、原因を追求したりする生き物なので、結びつけてしまうと予期不安に繋がるのです。
③予期不安が起きる
発作の原因は、たまたま体調が悪いだけかもしれません。しかし、「これが原因だ!」と症状を原因を結びつけてしまうと、また同じ状況に晒されること予期不安が起きてしまいます。
④原因を避けるようになる
予期不安が起きると「ここに行ったらまずい」「あの状況に晒されたら発作が起きてしまう…」と思い込んでしまい、特定の状況を避けるようになります。
避けることによって、さらに不安感が募ってしまうのです。
⑤不安感が募り、繰り返してしまう
不安感が募ることによって、②~⑤をグルグル繰り返してしまいます。そして、繰り返せば繰り返すほど、パニックが強まってしまいます。
そのため、パニック発作が実際に起きていなくても状況を避け続けることで、パニック障害はひどくなっていくのです。脳が「あそこに行くと発作が起きる」と思い、体が発作として反応することで、病気の発症につながります。