【学校のいじめ問題】親ができる対応と対策とは?教育現場の人間関係

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学校のいじめ問題とは?

文部科学省は「いじめ防止対策推進法」よりいじめの定義を行い、毎年その認知件数を調査しています。調査によると、2019年度のいじめの件数は61万2496件となっており、過去最多を更新しました。認知件数=学校が把握できた数なので、この数字が実際のいじめ件数の実態を表しているわけではなく、あくまで認知された件数を表しているところがポイントです。

いじめの定義は平成25年度より「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものとする」とされています。

引用元URL:文部科学省 いじめ防止対策推進法(概要)

教育現場のいじめは教師だけでは支えられない…

学校の中だけでなく外でも、いじめは行われます。誰かが声をあげない限り、外で行われているいじめを教員が把握することは難しいです。また、インターネットを通じて行われるいじめは、さらに実態の把握が難しくなります。

そんな時、とても頼りになるのは家庭での目配りです。学校の中では教員が、外では家庭がというように、場面に応じて周りの大人が子どもを見守る体制を作ることが、いじめの早期発見や防止につながります。

本記事では、学校におけるいじめ問題に焦点をあて、学校での取り組みを紹介しています。また、いじめに対する適切な知識を持ち、万が一のことが起こったときに家庭で適切に対処できるよう、いじめ対処法を見出しに沿ってまとめています。

学校でいじめられている時の子どもの気持ち

いじめられている子どもは、いじめの事実がバレて報復されることを恐れていたり、大人に助けを求めることへの無力感を覚えていたり、自分のプライドが傷つくのを嫌がったり、いじめられるような関係でも友達関係にしがみついていたいなど、さまざまな気持ちを抱えています。子どもの気持ちを理解し、配慮しないと大人に心を開いてはくれません。どんな気持ちでいるのか知ることは重要です。

1.仕返しが恐ろしいと思っている

子ども社会の問題を親や教員に訴えることは、子ども社会の暗黙のルールを破ることになります。親や教員にいじめを訴えたことがいじめっ子にバレると、「チクった」とよりいじめがひどくなったり制裁を受けたりすることもあります。

ルール設定は未熟ですが、子どもなりに社会の中でルールを作ろうとはしているため、良い方向に子ども社会が発展できるよう大人が手助けする必要があるのです。

2.自分のプライドを守りたい

いじめられる側にも、いじめられるなりの理由があるのでは……という考えは、子どもだけでなく大人にも浸透しています。いじめられることを公にすると、自分が「いじめられるような子」だと認めることになり、深くプライドが傷つきます。

そのため、いじめられている状況でも「これはいじめではない」と思い込むことも少なくありません。親や教員に対しても身構え、「普通の子どもとして見てもらいたい」「自分で解決しなくては」「いじめられていることは恥ずかしい」と考えるようになります。

3.諦めている

子どもたちはこれまでの経験から、親や教員にいじめの事実を訴えると逆効果となり、前にもまして悪い状況になることを学習しています。この「どうせ話しても何も変わらない」「話すだけ無駄」という子どもの感情は、ますます周囲の大人へ相談させにくくします。

そのため、状況を子どもたちから聞きたいときは、いじめられている子が一人の時に声をかけ、周りの子に教員と話した事実がわからないようにするなどプライバシーの配慮が大切です。

4.仲間でいたい

たとえ間違ったことでも、支持しなければ子どもグループから排除されると思うと、いじめを受け入れやすくなります。いじめられている子は、いじめを訴えないことでグループの一員であることを示したいと思っているのです。それだけ友人を求める気持ちが強いとも言えるでしょう。

そのため周囲の大人は、本当の友達とはどういった関係なのか、考えられる問いかけをしていくことが重要となります。

5.親に心配をかけたくない

両親に余計な心配をかけたくないと思っている場合があります。また、親がいじめの事実を聞いてすぐに教員に訴えに行くのではないかということを恐れています。

いじめの事実がバレてさらに報復されないよう、適切に教員に対処してもらえるようプライバシーには配慮するので安心してほしいと親からも伝えることが大切です。

 

あーちゃん

あーちゃん

1992年生まれ。臨床心理士(公認心理師) 指定大学院を卒業し資格を取得後、街のクリニックで非常勤心理士としてカウンセリングや心理検査の業務に従事する。小学校や高校のスクールカウンセラーとしても活動中

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