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仕事において多様性はなぜ必要なのか?
「多様性」はビジネスにおいて重要視されている考え方です。さまざまな価値観を受けいれることはリスクを伴う場合もありますが、今までにはなかった「新しい変化」を生み、未来への展望を広げます。
例えば、一人の力では達成できない目標でも、多くの人たちのサポートを借りれば実現可能になることは多いでしょう。同様に「一人の価値観では同じようなアイデアしか浮かばないが、多様性のある人たちの想像力や発想を借りることで、まったく新しいアイデアが浮かぶ」という場合もあります。
今回は、多様性(ダイバーシティ)の意味やメリット・デメリット、多様性を導入するにあたってのポイントなどをご紹介します。企業やチームの成長のためにも、注意点を学んだ上で多様性のある人材を受けいれてみてはいかがでしょうか。
多様性(ダイバーシティ)とは
多様性を受けいれる方法を知るためにも、まずは多様性の意味からご紹介します。多様性はダイバーシティとも呼ばれ「幅広く性質の異なる群が存在すること」を指します。多様性における「群」とは、物や人やデザインなどさまざまな物事が対象です。
多様性は大きく分けて2種類あり、それぞれを「表層的ダイバーシティ」と「深層的ダイバーシティ」といいます。
表層的ダイバーシティ
表層的ダイバーシティは「生まれ持った特徴の違い」です。目に見えたり言葉にすることが容易だったり、比較的わかりやすい多様性といえます。
表層的ダイバーシティの例
- 性別
- 国籍
- 年齢
- 人種
- 性的指向
- 性自認
- 障害の有無 など
深層的ダイバーシティ
深層的ダイバーシティは「後天的に備えられた特徴の違い」です。考え方や価値観といった目に見えないもの、概念的なものであることが特徴です。「個人の内面的な、かつ重要な特徴」ともいえるでしょう。
深層的ダイバーシティの例
- 価値観
- 経験
- 嗜好
- 宗教
- 第一言語
- 教育の過程
- コミュニケーションの方法 など
表層的ダイバーシティは国や時代の影響そのものといえ、深層的ダイバーシティは表層的ダイバーシティの影響を強く受けていると考えられるでしょう。
多様性を大切にしている企業の特徴
ここでは、多様性を大切にしている企業の特徴をご紹介します。企業とは、どんなに大きく成長しても個人の集合体であることに変わりません。個人レベルが持っている多様性を尊重することで、企業そのものも変化していきます。
1.年齢性別問わず、さまざまな人を採用している
多様性を重要視している企業では、採用基準に「年齢や性別」を制限しないことが多く、さまざまな人を採用しています。年齢やキャリアによって求めるレベルは変わりますが、一概に「〇歳だから採用しない」「男性のほうを多く採用しやすい」といった基準は敷いていません(特定の職務やTPO次第で、該当の年齢や性別「だからこそ」採用する、というケースはあり得る)。
年齢や性別のような表層的ダイバーシティのみで相手を判断せず、キャリアや能力、内面などを審査した上で採用を検討します。「若いほうがいい」「女性(男性)のほうがいい」などの先入観を持たず、あらゆる年齢・性別への平等な目線を持っていることが特徴です。
2.さまざまな国籍の人が在籍している
さまざまな国籍の人が在籍していることも、多様性を尊重している企業の特徴です。人種という表層的ダイバーシティと、言語や宗教などの深層的ダイバーシティをともに受けいれ、より視野を広げるための取り組みを行っています。
言語能力によって配属先や仕事内容が異なる場合はありますが、国籍のみにより採用を判断することはありません。将来的な企業の成長を考えたとき、グローバルな視点があることで顧客のニーズを拾いやすくなるという考え方も。
3.メンバーの柔軟な働き方を尊重している
現在はコロナ禍によってテレワークを導入する企業が増えましたが、多様性を大切にしている企業では以前より「メンバーのライフスタイルに沿った働き方」が尊重されています。在宅勤務や時短勤務など、個人のパフォーマンスをベストな状態で発揮するための労働システムが整っている傾向にあります。
また実際の職場環境では、休憩室が充実していたり休憩時間が任意だったりすることも。「成果が出せて、納期が守れていれば、後の働き方は自由」という社風もあります。メンバーの人生やタイム感を尊重することで、働き方に柔軟性が出て成果のクオリティにも反映されるという考え方です。
4.フレックス制を導入している
フレックス制とは「出退勤の時間を柔軟に調整できる制度」です。元々決められている「総労働時間」の範囲内で、労働者が生活に合わせて勤務時間を調整できるため、ワーク・ライフ・バランスが守られやすい環境になります。
さまざまな年齢・性別・国籍・思想の従業員を雇用するということは、メンバー同士の生活にも大きな差が生じるということ。各々のライフスタイルに合わせたフレックス制の導入は、「多様なタイプの従業員がいる企業」との相性がよいものです。
5.休暇制度が整っている
多様性を大切にしている企業ではさまざまな休暇制度が整っている傾向にあります。育休や産休、介護時、病気時など基本的な制度の充実はもちろん、被災時にも利用できる特別休暇やボランティア休暇など、ライフイベントや緊急時においても安心して休める環境があります。
「何かあったときも安心して働ける」という精神的余裕は、会社への好感度・貢献度を上昇させるものです。個人の持ちうる能力を企業に注いでもらうためには、組織自体を尊重してもらうことが大切。そのためには、まず組織が個人を尊重する必要があります。