【心身障害者医療費助成制度】「障害を抱えて不安…」生活をサポートしてくれる制度内容と利用方法

メンタルヘルス系支援制度

人生は何が起こるかわかりません。「ずっと健康で生きていたい」と感じていても、思いもよらぬことがきっかけで身体障がいや精神障がいを背負ってしまう可能性があります。障がいが原因で生活に不安を感じるときに、心強いサポートになるのが『心身障害者医療費助成制度』です。

今回は、都道府県の心身障害者医療費助成制度の内容や利用方法、注意点などをご紹介します。心身ともに健康なときには、自分が障がいを背負ってしまう可能性をなかなか想像できないものです。万が一のときに備えて、支援制度を学んでいきましょう。

都道府県の心身障害者医療費助成制度の認知度結果

株式会社Mentally 「日本のメンタルヘルス支援制度」認知度調査 2022年5月

176名の男女を対象に医療費控除に関するアンケートを行ったところ、「都道府県の心身障害者医療費助成制度を知っている」と回答した人は全体の7.4%、「実際に利用したことがある」と回答した人は0%でした。「名前だけ聞いたことがある」と答えた人は17.6%、「まったく知らない」と答えた人は75%という結果になっています。

心身障害者医療費助成制度は比較的重い障がいを抱えている人が対象であるため、健康に一般的な生活をしている人にとっては認知度の低い制度かもしれません。しかし万が一の場合に備え、制度の内容や利用方法を学んでおくことは無駄にはなりません。

都道府県の心身障害者医療費助成制度とは

都道府県の心身障害者医療費助成とは、心身に障がいを抱える医療保険加入者に、保険診療の自己負担分を都道府県が助成する制度です。障がいを抱える人の健康保持と生活の安定を図ることを目的としています。

心身障害者医療費助成で対象となるのは、身体障がい者・精神障がい者・知的障がい者です。障がいの程度によって医療費を全額負担してもらえたり、一部負担になったりと、利用条件や助成の割合はお住まいの市区町村によって変わります。

多くの場合、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳が交付されていることが条件です。医療保険の対象となる医療費や薬剤費は、すべてが助成の対象となります。

都道府県の心身障害者医療費助成制度の利用対象者

心身障害者医療費助成の利用対象者は、各都道府県や市町村によって変動します。以下に基本的な利用条件を記載します。

  • 身体障がい者
  • 精神障がい者
  • 知的障がい者
  • 該当する地域に住所を有している
  • 医療保険に加入している
  • 生活保護を受けていない

その他の細かな条件は各地域によって異なります。住んでいる住所に応じた市町村や福祉保健局のホームページで利用条件を確認しましょう。

都道府県の心身障害者医療費助成制度を利用するメリット

医療費の自己負担額を減額できる

心身障害者医療費助成制度を利用する大きなメリットは、医療費の自己負担額を減額できることです。都道府県や市区町村によって対象となる障がいの程度や助成の内容も変わります。医療費の自己負担は全体の3割であることが一般的ですが、心身障害者医療費助成制度を利用することで全額免除・一部免除になります。一部を負担する場合も、総支払額が10万円を越えると医療費控除の対象になります。

複数の制度を併用することで、本来支払う予定だった医療費を大きく減額することが可能です。

※心身障害者医療費助成制度の支給を受けた金額については医療費控除の対象にはなりません

本人と家族の経済的負担を軽減する

心身障害者医療費助成制度によって医療費が減額されることで経済的負担が軽減され、生活基盤の安定につながります。精神的に余裕を持って暮らせるようになったり、就職や転職のために必要な行動を起こしやすくなったりなど、納得感や幸福感のある人生をサポートします。

心身障害者医療費助成制度の利用方法と注意点

ここでは、心身障害者医療費助成制度の利用方法や注意点をご紹介します。実際に利用する際に慌てないように、必要なものや具体的な申請方法などを学んでおきましょう。

用意するもの

心身障害者医療費助成制度を利用する際に用意するものは都道府県や市町村によって変わります。基本的に必要になるものは、以下の二つです。

  • 健康保険証
  • 療養受診証

療養受診証は、地域によって名前が変わる場合がありますので確認しておきましょう(例:東京都の場合は『マル障受給者証』)。療養受診証を取り扱わない医療機関で診察を受ける場合は、自己負担した額が記載された領収書を保存し、市区町村の申請窓口に医療助成費の申請を行います。

利用方法

以下に、心身障害者医療費助成制度の一般的な利用方法をご紹介します。

  • 療養受診証を発行する
  • 保険証と療養受診証を医療機関で提示する

療養受診証を発行するためには、健康保険証と自身の障がいに関わる証明品(身体障害者手帳・療養手帳・精神障害者保健福祉手帳など)を役所に持参し、交付申請をします。約一週間で郵送され、医療機関受診時に健康保険証と受診証の両方を提示することで利用できます。

ただし細かな利用方法もそれぞれの都道府県や市区町村により変わるため、詳細は電話やホームページで確認しましょう。

注意点

各都道府県や市町村によって利用条件や利用方法が異なる

心身障害者医療費助成は、各都道府県や市町村によって細かな利用条件や利用方法が異なります。例えば東京都の場合は精神障碍者保健福祉手帳1級を持っている人が対象となりますが、岡山市の場合はさらに自立支援医療受給者証も所持している必要があります。

心身障害者医療費助成を利用する際は住んでいる地域の条件を調べ、自分が対象になっているかや利用方法を確認しましょう。

保険診療外は助成の対象にならない

心身障害者医療費助成で対象となるのは、保険診療の自己負担分のみです。そのため、入院時の食事代や先進医療にかかる費用、通院時の交通費などは基本的に対象になりません。

該当する障がいにより申請窓口が異なる

心身障害者医療費助成は身体障がい者・精神障がい者・知的障がい者を対象としているため、該当する障がいにより申請窓口が異なります。それぞれどの窓口に申請するべきかは市町村のホームページに記載されているため、事前に調べておきましょう。

所得の審査によって医療費が受けられなくなる可能性がある

住んでいる地域や療養受診証を発行した時期によっては、助成の認定基準として所得の審査が毎年行われる場合があります。審査の結果、一定期間医療費の助成が受けられなくなる可能性があることも覚えておきましょう。

類似する支援制度

医療費控除

医療費控除は、一年間に支払った医療費が基準額を越えたときに、過払い分の医療費が課税対象の所得から控除される仕組みです。利用する際には確定申告が必要になります。心身障害者医療費助成制度によって減額された後の自己負担額に適応され、本来支払う予定だった税金の一部が還付されます。

【医療費控除】「手続きが難しそう…」税額を下げる制度内容と申請方法

高額療養費制度

高額療養費制度は、ひと月の間に支払う医療費が一定額を超えた際に、超過分が返金される制度です。ひと月ごとの上限額は年齢や世帯ごとの所得によって変動します。以下の記事では利用方法や細かな上限額についてもまとめられていますので、ぜひ参考にしてください。

【高額療養費制度】「医療費が高額で苦しい…」金銭的負担を軽減する制度内容とリアルな声

自立支援医療制度

自立支援医療制度は、医療費の自己負担額を軽減できる制度です。精神疾患の治療である精神通院医療や、身体障がいの治療である更生医療などの場合に利用できます。身体障害者手帳や精神障害者手帳の所持・未所持にかかわらず、通院により継続的な治療が必要な人であれば誰でも利用可能です。

【自立支援医療制度】「医療費が高い…」メンタル疾患での通院に役立つ支援内容とメリット

都道府県の制度を活用して金銭的負担を軽減しよう

今回は、心身障害者医療費助成制度の内容やメリット、注意点などをご紹介しました。障がいを背負うような出来事は、ある日突然直面するものです。今までのライフスタイルが一変すると収入や将来に不安を感じ、ネガティブな考え方を持ってしまうこともあるでしょう。

そんなときに心強い味方になってくれるのが、心身障害者医療費助成制度をはじめとする支援制度です。金銭面での負担が軽減されることで、生活面だけではなく精神的にも余裕が生まれます。

障がいや疾患を抱える可能性は、誰にでも平等に存在しています。自分や大切な人が障がいを抱えたときにできる限り慌てないように、心身障害者医療費助成制度や他の支援制度を活用していきましょう。

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参考リンク一覧

厚生労働省「こころの病気への助成について」
東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」
座間市「心身障害者医療費助成」
岡山市「心身障害者医療費助成制度について教えてください。」
埼玉県日高市「重度心身障がい者医療費助成制度」
仙台市「心身障害者医療費助成制度」
奈良県「心身障害者医療費助成事業」

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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