【就労移行支援】「まだ職場復帰する自信がない…」プログラムの内容と参加者のリアルな声

メンタルヘルス系支援制度

心身ともに健康な状態で暮らすためには、安定した生活基盤が必要です。継続的な就労は生活の安心感と精神的余裕を与えてくれます。しかし何らかの障がいを背負っている人は、就労のきっかけがつかめないことがあります。

今回は、障がい者の日常生活と社会生活をサポートする「就労移行支援」についてご紹介します。「働きたい」という気持ちを実現するためには、自分に合った制度を知っておくことが大切です。もしものときに備え、就労移行支援の制度が与えてくれるサポートについて学びましょう。

「就労移行支援」をまったく知らない人は約半数!

株式会社Mentally 「日本のメンタルヘルス支援制度」認知度調査 2022年5月

176名の男女を対象に就労移行支援に関するアンケートを行ったところ、「就労移行支援を知っている」「実際に利用したことがある」と回答した人は全体の22.8.3%でした。「名前だけ聞いたことがある」と答えた人は29.0%、「まったく知らない」と答えた人は48.3%という結果になっています。

就労移行支援は障がい者のための制度であるため、実際に自分や身近な人が障がいを持つまでは意識する機会が少ないでしょう。とはいえ、人生はいつ何が起こるかわかりません。もし障がいを背負ったときのために、制度の存在や内容を認識しておくことが大切です。

就労移行支援とは


就労移行支援とは、障がい者の日常生活や社会生活を支援する「障害者総合支援法」で定められた、障害福祉サービスのひとつです。

障がいを抱えている人は、「社会に出て働きたい」という気持ちを持ちながらも不安が大きく、行動に移せないことがあります。就労移行支援は就労意欲を持つ障がい者を対象に、一つひとつ課題を解決することで社会生活をサポートする制度です。

就労移行支援は最大24ヵ月の期間を利用し、以下の4つのサポートを中心に行われます。

  • 就労に向けたトレーニング……ビジネスマナーや基本情報処理スキルなどを習得し、職業準備性(働く上で必要とされるものを準備すること)を高める。
  • 職場見学・実習……自分にあった職業や職場を考えるために、実際の企業で見学や実習を行う。
  • 就職活動サポート……就職活動のサポートを目的とし、履歴書の作成方法を学んだり、模擬的な面接対策を行ったりする。
  • 職場定着支援……企業に入社した後の相談対応や環境調整依頼などを行う。職場で発生した悩みの相談も請け負う。

職場定着支援は就労後6ヵ月間続き、本当に安心して働けるかを確かめる利用期間を提供します。ハローワークとは違い、就労に必要な技術が得られるだけではなく、職場定着までサポートしてもらえることが特徴です。

障害者総合支援法は、障がい者の総合的な自立と幸福を支援するための法律です。そのため就労移行支援においても「就労すること」だけを目的とせず、本人の適性に合った職場探しやアドバイスを行い、安心して継続的に働き続けられる状態になるまで支援します。

就労移行支援の利用対象者

就労移行支援を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 一般就労の意思がある
  • 18歳以上65歳未満である
  • 精神障がい・知的障がい・発達障がい・身体障がいなどの障がいがある
  • 障害者総合支援法の対象疾病に指定された難病を患っている

また就労移行支援は、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。その際は、医師の診断や自治体の判断が必要になります。

就労移行支援を利用するメリット

ここでは、就労移行支援を利用する際のメリットをご紹介します。就労移行支援では就職という目先の成果だけではなく、将来的に役立つ能力を高められたり自己理解を深められたりすることで、社会復帰のための自信を与えてくれます。

自分の特性に合った計画を提案してもらえる

就労移行支援では、一人ひとりの特性や希望職に寄り添った計画を提案してもらえます。全員が決められたプログラムを行うのではなく、自分の状態や障がいを加味した上で無理のない就労プランが提示されるため、就労後のギャップが少ない状態で社会復帰を目指せます。

自分の強み・弱みを理解できる

就労移行支援では、社会復帰のための訓練の過程で自分の強み・弱みを認識できるのが特徴です。例えば「この作業は得意だけれど、この作業は苦手だからサポートが必要だ」のように自己理解が深まります。自分について理解することは、ストレスが少ない状態で長期的に働くために必要な要素です。また自分自身を客観的に説明できるようになることで、採用の評価点にもなるでしょう。

生活リズムが安定し、体力が付く

就労移行支援に通う中で生活リズムが安定し、通勤や労働のために必要な体力も身に付きます。とくに長い期間休職していた人や引きこもりの状態の人は、自分が思っている以上に体力が低下しているものです。事業所の往復や訓練の中で就労後のイメージが明確になり、心身ともにポジティブな状態で社会復帰を目指せるようになります。

就労に役立つさまざまなスキルが学べる

就労移行支援では就職のサポートだけではなく、職業訓練の過程でさまざまなスキルを学べます。基本的なビジネススキルはもちろん、他の利用者とコミュニケーションを取ることで協調性や社会性も学べるでしょう。就労移行支援は数ヵ月以上利用する人が多いため、他者との関わりの中でコミュニケーション能力が鍛えられ、社会復帰を後押しします。

就労後もサポートが受けられる

就労移行支援の大きな特徴でありメリットとなるのが、就労後のサポートです。実際に社会復帰をした後も、職場環境や人間関係についての相談に乗ってもらえます。利用者と職場が相互理解するために、事業所スタッフが就労後半年間の支援を行います。

就労移行支援の利用方法と注意点

ここでは、就労移行支援の利用方法や利用する際の注意点などをご紹介します。特に精神疾患や精神障がいに悩まされていると、申請方法を調べるだけで労力を使ってしまうものです。実際に利用する際に腰が引けてしまわぬよう、全体像をイメージできるように準備しておきましょう。

用意するもの

  • 障害福祉サービス受給者証

就労移行支援を利用するためには、障害福祉サービス受給者証を用意する必要があります。障害福祉サービス受給者証を申請するためには、まず住んでいる自治体の福祉窓口(障害福祉課など)に連絡し、必要書類を揃えた上で利用したい事業所を伝えましょう。

認定調査員による調査を受けた後に交付されます。障害福祉サービス受給者証を取得することで、行政からの給付金を受けながら福祉サービスを利用できるようになります。

利用方法

  • 最寄りの就労移行支援事業所を探す

市町村の障害福祉課に相談すると、住んでいる場所から通える範囲の事業所を紹介してもらえるのでぜひ利用しましょう。家から近いというだけで決めるのではなく、実際に見学をしてホームページだけでは分からない雰囲気を感じるのも大切です。

  • 事業所を比較検討して利用先を決める

複数ヵ所の事業所を見学した後に、比較検討をした上で利用先を決めましょう。事業所によっては、特定の病気や障がいに特化したプログラムが用意されていることも。分からないことは質問しながら不安を解消します。

  • 障害福祉サービス受給者証を申請し、利用契約を行う

障害福祉サービス受給者証を取得後は、利用希望の事業所へ提示して利用契約を交わします。実際に利用が始まると事業所のスタッフが個別支援計画を作成してくれるため、計画に沿いながらカリキュラムを進めていきましょう。

注意点

  • 利用できる期間が決められている

就労移行支援を利用できる期間は、原則として最長24ヵ月までと決められています。もし24ヵ月を過ぎても利用したい際は、市区町村に申請した上で審査に合格する必要があります。合格基準は「今後も就労移行支援を利用する必要性が認められるか」です。

  • 利用料金が発生する可能性がある

就労移行支援は、基本的に無料で利用することができます。しかし、利用者本人または配偶者の前年度所得に応じて利用料が発生する可能性があることを覚えておきましょう。具体的には、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は利用料が発生しません。市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の場合は月利用上限9,300円、それ以外の場合は月利用上限37,200円が必要です。

  • 自己判断で利用するのは危険な可能性がある

働きたい気持ちが大きくなるあまり、自己判断のみで就労移行支援を利用しようとする人もいるでしょう。しかし、実際はまだ体力的に回復していなかったり、精神的に冷静ではない状態であったりする場合も。就労移行支援を申請する際はまず主治医に相談し、許可をもらってからにするのがよいでしょう。

  • 事業所によって用意されているプログラムが違う

どの就労移行支援事業所も目的は同じですが、それぞれの施設ごとに用意されているプログラムは変わります。自分が希望する職業がある人は、目標のために役立つプログラムを受けられるかを確認しておきましょう。事業所によっては公開講座を行っており、実際に体験することも可能です。

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フリーランスwebライター/ボーカリスト。パニック障害やうつ病を患った経験を活かし、悩みを抱える方の心を暖められる記事をお届けします。得意分野はメンタル/恋愛/ペット。月と星と花と猫が好き。

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